松浦理英子「裏ヴァージョン」読了
本書は平成21年に文春文庫より発刊されたものです。以前、同作家の「犬身」を読んで、なんだかなぁと思ったものでしたが、この作家は玄人受けするというか、何か新刊が出ると、例えば中日新聞の「中日春秋」なんかですぐ取り上げられるわけです。そして必ず言われるのが寡作な作家であると。なので「待望の新刊」とかよく言われるようです。
それでまぁ気になる作家ではあるわけで、それで3、4冊程まとめて買ってみたのでした。
高校時代の同級生で、一時は疎遠になっていた40代の女性二人が、一方のマンションに居候する代わりに、その相手に短編小説を毎月一編書いて読ませるという約束をする。作品はその短編とそれに対する家主のコメントで綴られていきます。
この作家のことは詳しくは知りませんでしたが、普通の男女の性愛ではなく、女同士、いわゆるレズビアンの問題に関して積極的に取り組んでいる方なのでしょうか。この小説に出てくる女性達はレズビアンではないのですが、作中で書かれる作品はレズビアンを扱ったものが多く、その登場人物達の感情を巧みな筆致で描いています。
しかし、読んでいて特にガツンと来るものもなく、なんとなく読み終えてしまいました。自分は松浦理英子に向いてないのかも知れません。
せっかく何冊も買ったので、次、もう1冊松浦理英子、いってみます。