村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」(下)読了
本書は平成3年に講談社文庫より発刊されたものです。
「僕」はユキの世話をしたり、映画俳優で同級生の五反田君と会ったりして毎日を過ごします。殺されたメイについては警察の捜査は何の進展もありません。
そして「僕」はなんというか、話の流れでユキとハワイへ行くことになります。ハワイで10日ほどのんびりして日本に戻るんですが、「僕」はなんと、ハワイでキキに出会うんですね。しかし、それは現実のことなのか、そうでないのか、そのあたりははっきりとしません。「僕」は絶対に現実のことだと思い込もうとするんですがね。
そして「僕」は東京に帰って来るんですが、いろんな人が死にます。ユキの母親のアメの世話をしている片腕の詩人、ディック・ノース。そしてキキ、それから五反田君。何かがつながりそうでつながらない、そんな手詰まりの状況の中、「僕」はもう一度札幌へ行こうと思い立ちます。そこでユミヨシさんに会おうと。
こうして「僕」はさまざまな希望と絶望を通り抜けながら、ユミヨシさんと結ばれるわけですが、札幌のドルフィンホテルで羊男のいる「あちら側」の世界へユミヨシさんと行ったくだり、あれが夢オチだったとは、いささか陳腐な感も否めないんですが、そのラストを除けば、ほんと、面白い小説でした。この当時の村上春樹には読む者をぐいぐい引き付けるとてつもないパワーがありました。やっぱりこの頃の村上春樹が絶頂なのかなぁ。
次は「ねじまき鳥」にいってみようと思います。その前にちょっと別の本をはさもうかなと思っております。