吉田知子「千年往来」読了
本書は平成8年に新潮社より発刊されたものです。初出は平成7年の「新潮」10月号とのこと。
いやすごいです。さすが吉田知子です。以前読んだ「無明長夜」に通ずるような吉田ワールドを見せてくれました。現在の話の章があるかと思うと、戦時中の話になったり、鎌倉時代(?)あたりの話が出て来たり、果ては人間ではなく、虫の話になったりと、まさに千年往来、読む方はついていくのにもう大変でした。
著者独特の血縁の濃い家族、親戚関係の描き方も相変わらずで、ここも吉田知子の真骨頂とも言えると思います。
ネットで本書のことを調べてみたら、ある人のブログにこんな感想がありました。曰く、
<(本書を理解するには)まずは「お供え」「箱の夫」を読んで基礎的なことをひと通り学んで(可能なら「吉田知子選集」全三巻も読んで)ことに挑まれたい。>
このブログ氏と是非語らいたいと思いましたね。
吉田知子の描くこの曼荼羅絵図にただ呆然とするしかない自分です。