トシの読書日記

読書備忘録

12月のまとめ

2013-12-27 16:38:22 | Weblog
今月読んだ本は以下の通り


中上健次「枯木灘」
野坂昭如「マリリン・モンロー・ノー・リターン」



というわけで、今月は2冊で終わってしまいました。まぁ12月は仕方ないですね。店の売上はそんな大したことないんですが、やることがありすぎてほんと、本を読む時間がない!

家へ帰れば帰ったで、居間で一杯やりながら本を読もうと思っても、家族がにぎやかにテレビをつけてて、気が散って読めないし…。


来年は心も懐も余裕をもって読書に励みたいもんです。




姉に以下の本を借りる


丸谷才一「星のあひびき」
多和田葉子「尼僧とキューピッドの弓」
古井由吉「聖耳」
佐野洋子「神も仏もありませぬ」
立川談志「人生、成り行き」
種田山頭火「草木塔」


12月 買った本 0冊
    借りた本 6冊

芸術とリアリズム

2013-12-27 16:25:04 | な行の作家
野坂昭如「マリリン・モンロー・ノー・リターン」読了



久々の更新となってしまいました。ブックオフでふと見かけ、定価1000円のところ、550円だったので買って読んでみました。


表題作の他に「娼婦三代」「母陰呪縛譚」「死の器」「不能の姦」と五つの短編と中編が収められています。


やっぱり野坂昭如は文章が上手い。助詞を極力排したセンテンスは、そこに自ずとリズムが生まれ、まるで講談を聞いているような心地よさがあります。


どの作品も戦中から戦後、そして高度成長期へと時代が移り変わる中での、それが娼婦であったり、軟派の学生であったりと、彼等、彼女等の人生模様が軽妙洒脱な語り口で繰り広げられています。


野坂昭如は戦後のどさくさの情景を書かせると上手いですね。かなりデフォルメして書いているとは思うんですが、妙にリアルに迫ってくるものがあります。戦後の無秩序の、言ってみればカオスのような状態から現在に至る日本の状況を眺めると感慨深いものがあります。と言いながら昭和30年代生まれですが。



路地の私生児

2013-12-04 18:50:40 | な行の作家
中上健次「枯木灘」読了



ずっと前から読まねばと思っていた中上健次の代表作をやっと読了することができました。

それにしても重い小説でした。主人公の竹原秋幸(26才)の一家の物語なんですが、実父、義理の父親、腹違いの兄弟、種違いの兄弟がいっぱいいて、何が何やら読んでてわけがわからなくなりそうでした。

それにしても、小説の舞台となる枯木灘で繰り広げられる一族の愛憎劇のなんとも凄まじいこと!めまいがしそうでした。


竹原秋幸の仕事はいわゆる土方なんですが、この作品は多分に事実も織り交ぜてあるのではと推測されます。中上は一度、自分の一族のことを書いておかねばと思ったのではないでしょうか。


最後の方で、秋幸が腹違いの弟、秀雄を殺すところ、まさに鬼気迫るものがありました。しかし、小説はそこで終わってよかったのでは、と思いました。あとの30項はちょっといらないかな。


いずれにせよ、胸にずっしりとくる、重厚な作品であることには間違いありません。堪能しました。