トシの読書日記

読書備忘録

熱狂と呪詛

2007-12-11 16:05:17 | ま行の作家
モブ・ノリオ「介護入門」読了

第131回芥川賞受賞作。一ヶ月くらいかけてすこしづつ読んだので、ちょっと印象が薄くなってしまったが、なかなかおもしろかったです。

大麻に耽りながら自宅で祖母の介護をする「俺」が、ラップ調の饒舌体で語る全編モノローグの小説です。

いろいろかっこつけていきがったり、小難しい理屈を並べる「俺」が、最後の最後で「俺はいつも・・・・この家にいて祖母に向き合う時にだけ、辛うじてこの世に存在してるみたいだ。知らず知らずのうちに、ばあちゃんの世話だけを己の杖にして、そこにしがみつくことで生きてきた。・・・」と白状するところがなかなか可愛かったです。

作家の個性

2007-12-04 10:57:02 | や行の作家
山本文緒「プラナリア」読了

山本文緒・島本理生・江国香織・・・この手の作家は、どうも読む気にならなかったんですが、直木賞受賞作ということで手に取ってみました。

そこそこ楽しめました。でもねぇ・・・文体、テーマ、どれをとっても個性がないんです。仮にこれを角田光代の小説だといって読まされても、なんの疑問ももたなかったと思います。

自分の世界をゆるぎなく持ってる作家が好きです。小川洋子、川上弘美、井上荒野、堀江敏幸、村上春樹、長嶋有、絲山秋子、橋本治・・・・・・こんな作家が好きです。