嵐山光三郎編「文人御馳走帖」読了
本書は平成26年に新潮文庫から発刊されたものです。
明治から昭和にかけての文人たちの食にまつわるエッセイ、短編をまとめたアンソロジーであります。こういう軽い読み物、いいですね。肩が凝りません。
森鴎外に始まって幸田露伴、永井荷風、種田山頭火、内田百、川端康成等々、そうそうたるメンバーが18人、顔を揃えています。
秀逸だったのは坂口安吾でしたね。この人、やることが半端じゃないですね。友達を呼んで鍋料理をやるというと、とんでもない大きな鍋を用意して、ロース肉、もも肉、ランプ肉をそれぞれ一貫づつ、また、キャビアの瓶詰めを山ほど買ってきて、客が「うまい」と言うとそれを三つも四つも土産に持たせるなど、尋常ではない振る舞いかたです。やはり、この作家の「狂気」のなせるわざなんでしょう。
いや、いろいろ楽しませてもらいました。軽いものばっかり読んでいると、頭がなまってしまいそうなんで、次、たまには小説、いってみましょうかね。