トシの読書日記

読書備忘録

美味求真

2015-05-20 00:30:50 | あ行の作家


嵐山光三郎編「文人御馳走帖」読了



本書は平成26年に新潮文庫から発刊されたものです。


明治から昭和にかけての文人たちの食にまつわるエッセイ、短編をまとめたアンソロジーであります。こういう軽い読み物、いいですね。肩が凝りません。


森鴎外に始まって幸田露伴、永井荷風、種田山頭火、内田百、川端康成等々、そうそうたるメンバーが18人、顔を揃えています。


秀逸だったのは坂口安吾でしたね。この人、やることが半端じゃないですね。友達を呼んで鍋料理をやるというと、とんでもない大きな鍋を用意して、ロース肉、もも肉、ランプ肉をそれぞれ一貫づつ、また、キャビアの瓶詰めを山ほど買ってきて、客が「うまい」と言うとそれを三つも四つも土産に持たせるなど、尋常ではない振る舞いかたです。やはり、この作家の「狂気」のなせるわざなんでしょう。


いや、いろいろ楽しませてもらいました。軽いものばっかり読んでいると、頭がなまってしまいそうなんで、次、たまには小説、いってみましょうかね。

極上の世間話

2015-05-12 00:14:29 | あ行の作家

伊丹十三「日本世間話大系」読了


本書は1976年に単行本として、1979年に文春文庫から発刊されたものです。


これを読むのは3~4回目くらいなんですが、何度読んでも面白いですね。伊丹十三の面目躍如といった感があります。


飛行機に乗る男、新幹線で会員制の弁当を売る男、整体師の話等々、あたかも見てきたようなことを書いているんですが、多分これ、間違いなく全部創作でしょうね。いや実に面白い。奇想天外、抱腹絶倒、伊丹十三が天才と呼ばれる所以だと思います。


最後は天皇陛下、といっても孝明天皇の話です。この天皇の日常を語るわけですが、こんなこと書いていいのかと心配になるくらいでした。


ちょっときつい仕事の合間を縫って息抜きをさせてもらいました。




4月のまとめ

2015-05-01 00:49:49 | Weblog


今月読んだ本は以下の通り


堀江敏幸「河岸忘日抄」
関川夏央「貧民夜想會」


と、今月は2冊にとどまりました。堀江敏幸、やっぱりいいわぁ。この控えめながら意外と強い自己主張、ここが堀江の魅力ですね。関川夏央も堀江敏幸と同じ匂いがします。この、なんというか、声高に自分を押し出すのではなく、静かに自分の思うところを語る、という姿勢、すごく共感できます。



仕事の方は、ちょっと休みなしには体がもたないので、定休日をつくることにしました。が、もろもろの事情で、それが実現できるのは、6月中旬以降になりそうです。とにかく頑張ります!



4月 買った本0冊
   借りた本0冊



諧謔の一人旅

2015-05-01 00:27:45 | さ行の作家

 関川夏央「貧民夜想會」読了


昭和61年に単行本として、65年に文庫として発刊されたものです。関川夏央が30代の前半に世界各地を旅して綴ったルポというか、エッセイというか、そんなような体裁の作品です。


フィリピン、タイ、イタリア、メキシコ等、さまざまな国へ行き、その地で出会った人、物について語るわけですが、なかなか鋭い切り口で面白かったです。ただ、若気の至りというか、文章がちょっと青臭いところがあって、それが鼻につきます。奇をてらってるというか、かっこつけすぎかな?


まぁそれを抜きにすれば、海外のそれぞれの国の人達の、日本ではおよそ考えられないような「常識」というものが散見できて、なかなか面白かったです。