トシの読書日記

読書備忘録

静謐な日常

2007-03-30 18:07:39 | は行の作家
橋本治「生きる歓び」読了


堀江敏幸の「雪沼とその周辺」を読み、この空気は前に味わったことがあったはずと思い、これを思い出して再読した次第。

短編集なのだが、タイトルがおもしろいです。


にしん
みかん
あんぱん
いんかん
どかん
にんじん
きりん
みしん
ひまん

と韻を踏んでるんですねぇ。

どこにでもいる男(女)のなんてことのない日常を綴ったものばかりなのだが、そこに流れる空気というものがなんともいいんです。

この作家は、非常に多才な人で、こういった静かな空気の小説も書いてみたり、かなりラディカルな評論もしてみたりと、目が離せません(笑)

物語を刻む言葉

2007-03-08 00:50:42 | あ行の作家
内海隆一郎「居酒屋志願」読了

久しぶりにイタいやつ読んじゃいました。なにこれ。ほんと、つまんない。

いわゆる「ハートウォーミングなストーリー」ってやつですか・・・
こんな、まさに手垢のついた言い回しがぴったりくる小説でした(苦笑)


そして小川洋子「物語の役割」読了

これは、エッセイというか、あちこちで講演したものをまとめたもの。


小川洋子は、小説ももちろんいいんですが、こういったエッセイもいいですねぇ。

小川洋子が、「ホロコースト文学」(アンネの日記など)にこだわるのは、その物語の役割がもっともはっきりした形で現れているからだということがよくわかりました。

「アンネ・フランクの記憶」、読まねば!