トシの読書日記

読書備忘録

夢の逃避行

2020-08-09 10:52:39 | ま行の作家



村田喜代子「屋根屋」読了



本書は2014年に講談社より刊行されたものです。


本書の帯にこうあります

<雨漏りのする屋根の修理にやってきた屋根屋。自在に夢を見られると語る彼の誘いに乗って、「私」は、夢のなかの旅へ一緒に出かける。九州訛りの朴訥な屋根屋と、中年主婦の夢の邂逅は、不思議な官能をたたえながら、ファンタジーの世界へと飛翔する。>


姉が1年ほど前に図書館から借りてきて、めっぽう面白かったそうで、なんと、自分に読ませるために改めて書店で買ってきて貸してくれたものです。そこまで読ませたいのかと、その熱い思いを受け止めつつ読んだんですが、申し訳ない、そこまででもなかったです。もちろんつまらなくはないんですが、自分の思う面白さとはちょっと違うかなと。


日本の古い神社仏閣の構造とかその歴史、また、フランスのノートルダム寺院始め、あちこちの大聖堂の構造、またその歴史に多くの項を割いているんですが、そういった方面にさっぱりうとい自分としては少しそのあたりも苦痛でした。


二人で同じ夢を見て、その世界で二人で京都のお寺の屋根に登ったり、フランスのパリの上空を自由に飛び回ったりするシーンは圧巻で、そこは面白かったんですがね。


ちょっと残念でした。



あからさまに書くという行為

2020-04-14 14:57:24 | ま行の作家

牧野信一「父を売る子/心象風景」読了



本書は1993年に講談社文芸文庫より発刊されたものです。大正から昭和にかけて文芸誌に掲載されたものを収録した短編集です。


いやぁしんどかったですね。ただでさえ読書力が落ちているというのに、こんな暗い私小説を読まされる羽目になるとは(と言いながら自分で選んだんですが)。とにかくつらく修行のような280項でした。全部で12編が収められているんですが、最後の2編はとうとう読めず、挫折致しました。まぁ6分の5を読んだんでよしとしましょう。


代表作といわれる「父を売る子」「熱海へ」などは牧野信一の父の行状、父との交流などが描かれているんですが、かなりあけすけな内容になっていて、それを書いたことを作中に書き、それを妻にとがめられるという、ちょっと私小説ならではの読みどころもあるんですが、自分の琴線にはふれてこなかったですね。残念でした。


仕事帰りに聞くNHKの「ラジオ深夜便」のコーナーで「絶望名言」というのがあって、それを担当している頭木弘樹(かしらぎ ひろき)という人が、この牧野信一という小説家の話をしていて、それで興味が湧いて買ってみたのでした。


いつも行く近くのバー(といっても最近は例の騒ぎで足が遠のいていますが)のマスター(といっても自分の息子の中学の同級生ですが)と最近、読書力が落ちているという話をしたら、今までに読んで面白かった本、わくわくした本を再読してみたらどうかと提案してくれました。かつての自分の中の名作を再読することは今までちょいちょいやってたんですが、それ、ここ最近、ちょっと忘れてましたね。


彼の提案に従って、そのへんから少しリハビリしてみようかしらんと思っております。

生きることの虚しさ

2020-02-18 15:33:33 | ま行の作家


松家仁之「光の犬」読了

本書は2017年に新潮社より発刊されたものです。


夜、仕事終わりで帰る車の中、よくNHKラジオの「ラジオ深夜便」を聞くんですが、月に一度くらい「やっぱり本が好き」(だったか?)というコーナーがあり、長江朗という、作家で書評家の人がいろいろな本を紹介していて、本作品も取り上げられていて(大分前ですが)、興味が湧いて買ってみたのでした。


441頁という長編で、読了するのに少し時間がかかりましたが、かなり読み応えのある作品でした。


北海道に住む添島一家の三代にわたる物語です。父、眞二朗、母、登代子、長女、歩、その弟、始、そして眞二朗の三人の姉たち、眞二朗の母、よね、それから添島家で飼われていた北海道犬たちと、主な登場人物はこんな感じです。


特に主人公というものはなく、語り手も歩だったり始だったり登代子だったりと、いろいろに変わります。全体にとりとめもない話の流れという印象で読み終え、なんだかなぁという読後感だったんですが、時間が経つにつれ、じわじわと感動がこみ上げてくる感じで、ちょっと自分でそれに驚いています。堀江敏幸のテイストにも少し似ているところも自分のストライクゾーンだったのかも知れません。


読んでいる間は自分の評価は少し低かったんですが、今は全然違いますね。やっぱりいいです、この小説。


姉の歩と弟の始の細やかな心情が、幼いときから50代半ばまでの人生が精緻に描かれていて、それが心にじんわりと染みてよかったですね。歩は30代半ばで癌で亡くなってしまうんですが。


この松家仁之という作家の他の作品も読んでみたくなりました。まぁその前に読みたい本が山ほどあるので、どうなるか分かりませんが。 


ネットで以下の本を購入 

カルロ・ロヴェッリ著 冨永星訳「時間は存在しない」NHK出版


そして姉から以下の本を借りる

アンナ・カヴァン著 佐田千織訳「あなたは誰?」文遊社

日常生活に侵入する蠱惑的な魔法

2019-09-17 14:01:26 | ま行の作家



スティーブン・ミルハウザー著 柴田元幸訳「私たち異者は」読了


先週は岡崎美術館へ「キスリング展」を観賞しに行きました。素晴らしかったです。自分の勝手な思い込みで、キスリングという画家は風景画の人だと思っていたんですが、人物画もたくさんありました。その人物画が良かった。どの絵の人物も同じような目が描かれているんですが、その目が良かった!   

それはともかく…


本書は令和元年に白水社より発刊されたものです。


待望のミルハウザーの新刊です。しかし、これは自分の気持ちの問題なんですが、なかなかのめり込むことができず、読了するのに2週間ほどかかってしまいました。本作に全く非はありません。あくまで自分の問題です。


全部で7編の短編が収められた 作品集です。とはいえ、表題作の「私たち異者は」は73項のやや長めの作品となっております。そしてこの作品がすごかった。これまでミルハウザーといえば精緻できめ細かな描写が大きな特徴であったわけですが、本作品はなんというか、そこから更に進化して、ちょっとひと味違う展開に持ってきているというのが自分の印象です。


日常生活の中に異物を挿入させて、そして物語は淡々と進んでいく、といったらいいんでしょうか、読んでいて奇妙な違和感を覚えるんですが、読み進めていくうちにそれが快感につながっていくんですね。そしてその話をすんなり受け入れている自分がいるわけです。業師ですね。そして紛れもなく職人です。


久しぶりに自分の心に深く入り込んでくる味わいました。これで少しは読書のペースも上がるかもしれません。



姉と恒例の「定例会」を行い、以下の本を借りる


リチャード・ブローディガン著 藤本和子訳「芝生の復讐」新潮文庫
ホルヘ・フランコ著 田村さと子訳「外の世界」作品社
ダーク・ソルスター著 村上春樹訳「ノヴェルイレブン、エイティーン」中央公論新社
多和田葉子「地球にちりばめられて」講談社



また、ネットで以下の本を購入

岸政彦「図書室」新潮社
平野啓一郎「ある男」文藝春秋社

蝉と殺人

2019-07-16 15:51:14 | ま行の作家



村田沙耶香「殺人出産」読了


本書は平成26講談社文庫より発刊されたものです。


姉から借りたものです。本作家の「授乳」という作品を5年ほど前に読んで、なかなか面白いんだけど文章がなぁ…という感想を持った覚えがあるんですが、本書も全く同じでありました。あ、芥川賞受賞作の「コンビニ人間」(なんというベタなタイトル!)も読んでました。


着想はいいんです。面白いことを思い付くなぁと感心するんですが、いかんせん文章が…。はっきり言って高校生の作文を読まされているような文章です。プロとしてこんな表現力の乏しい作家に芥川賞を受賞させるのはいかがなものかと。


残念至極でありました。



姉と恒例の「定例会」を行い、以下の本を借りる


荻原魚雷編「吉行淳之介 ベストエッセイ」ちくま文庫
安部公房「無関係な死・時の崖」新潮文庫
池澤夏樹編「池澤夏樹の世界文学リミックス」河出文庫
野谷文昭編・訳「20世紀ラテンアメリカ短篇選」岩波文庫
フリオ・コルサタル著 寺尾隆吉訳「奪われた家/天国の扉」光文社文庫
山尾悠子「歪み真珠」ちくま文庫
伊丹十三「問い詰められたパパとママの本」中公文庫
海老沢泰久「美味礼賛」文春文庫
穂村弘「君がいない夜のごはん」文春文庫
本谷有希子「異類婚姻譚」講談社文庫



また、所用で名駅まで出たついでに高島屋の三省堂に寄り、以下の本を購入


橋本治「黄金夜会」中央公論新社
スティーブン・ミルハウザー著 柴田元幸訳「私たち異者は」白水社
中島義道「死の練習――シニアのための哲学入門」ワニブックスPLUS新書
残雪(ツァンシュエ)著 近藤直子訳「蒼老たる浮雲」白水社

世界の縁

2019-05-14 14:06:07 | ま行の作家


 
村上春樹「海辺のカフカ」(下)読了


本書は平成25年に新潮文庫より発刊されたものです。


いやー感動しました。世界一タフな15才、田村カフカ。まぁいつものごとく謎に包まれたところはあちらこちらにありましたが、そんなことはどうでもいいと思わせるくらいの素晴らしい出来ばえですね、この小説は。


印象に残ったところ、引用します。

甲村図書館、大島さんのセリフです。

<「僕らはみんな、いろんな大事なものをうしないつづける。大事な機会や可能性や、取りかえしのつかない感情。それが生きることのひとつの意味だ。でも僕らの頭の中には、たぶん頭の中だと思うんだけど、そういうものを記憶としてとどめておくための小さな部屋がある。きっとこの図書館の書架みたいな部屋だろう。そして僕らは自分の心の正確なありかを知るために、その部屋のための検索カードをつくりつづけなくてはならない。(中略)言い換えるなら、君は永遠に君自身の図書館の中で生きていくことになる。」>


また、

<比重のある時間が、多義的な古い夢のように君にのしかかってくる。君はその時間をくぐり抜けるように移動をつづける。たとえ世界の縁までいっても、君はそんな時間から逃れることはできないだろう。でも、もしそうだとしても、君はやはり世界の縁まで行かないわけにはいかない。世界の縁まで行かないことにはできないことだってあるのだから。>


田村カフカが森の奥深くを進んでいるときに思索を重ねる場面も非常に印象的でした。ちょっとどんな感想を綴っていいのか、うまく言葉にできません。「ねじまき鳥」もよかったんですが、本作品もそれに負けず劣らず、いや、もっとすごい作品に仕上がっています。


こんなすごい作品を次から次へと送り出していた村上春樹なんですが、今の、例えば「騎士団長殺し」なんかを読むと、なんとこの体たらくという思いで、しっかりせーよ!と背中をどやしつけたくなるのはきっと私だけではないと確信しております。


そんなこんなで村上春樹をめぐる旅も終わりを告げるときが来ました。初期から中期にかけて読んできたわけですが、この物語の構築力たるや、もうため息が出るくらい素晴らしいものがありました。やはり日本文学界における稀有の作家であることは論を俟たないところでありましょう。


何年か後にもう一度同じように再々々読してみようかと思っております。

オイディプス王と佐伯さん

2019-05-07 14:43:44 | ま行の作家



村上春樹「海辺のカフカ」(上)読了



本書は平成17年に新潮文庫より発刊されたものです。


さて、村上春樹祭りもいよいよ大詰めを迎えてまいりました。このあとも読みたい本、よまなきゃという本が目白押しなので、そろそろこの辺(本書の上、下巻)で打ち切りにしたいと思っております。


前回読んだ「ねじまき鳥クロニクル」はテーマを簡単に言ってしまうと「愛」と「暴力」であると思ったんですが、本書の(上)だけ読んで思うのは、なんというか、もっと複雑なものが入り組んでいて、なかなか一筋縄ではいかないような読後感でありました。


田村カフカ(主人公)、カラスと呼ばれる少年(カフカの心の中に住む友人)、ナカタさん、星野青年、大島さん、佐伯さん、田村浩一(カフカの父)といったところが主な登場人物なんですが、聞いたところによると、本作品はギリシャ神話を下敷きにしているようなことらしく、それでちょっと調べてみたんですが、主人公のカフカがオイディプスとして、母が甲村図書館館長の佐伯さんということなんでしょう。だとするなら下巻でカフカと佐伯さんが交わる場面があるということなんでしょう。


あと、父、田村浩一(ジョニーウォーカー)を殺したのは作中の文章を読むかぎり、ナカタさんということになっていますが、田村カフカが意識を失って気がついたら服に血がべったりとついていた、というのは多分ナカタさんがジョニーウォーカーを殺した時刻と符号するということなんでしょう。なので現実に田村浩一を殺したのはナカタさんであるけれども、なんだろう、メタファーとしてカフカが父親を殺したという意味に著者は受け取らせたいということなんだと思います。自分は浅学にしてそれ以上のことは推察できません。


「ねじまき鳥クロニクル」も、それ以前の作品に比べて、より深いテーマを掲げていると感じたんですが、本作品は、それらをさらに深く掘り下げたものを感じます。小説として、文学として、より本質に近づいた感じがします。


下巻が非常に楽しみです。

クミコの孤独

2019-04-09 17:53:54 | ま行の作家



村上春樹「ねじまき鳥クロニクル第三部鳥刺し男編」読了



第一部、第二部でいつもの書き出しを忘れていました。本書は平成9年に新潮文庫より発刊されたものです。


この壮大な三部作を読み終えて、大きなため息をついています。いえ、決して悪い意味でのため息ではありません。すごいですね。すごい作品です。自分なりに考えるんですが、本作品のテーマは「愛」と「暴力」ではないかと思います。


ノモンハン事件という史実を脚色して「皮剥ぎボリス」という暴力に立ち向かう間宮中尉の物語、そこに現代の綿谷ノボルという悪(暴力)を叩き潰そうと立ち上がる岡田トオルのストーリーをオーバーラップさせるあたり、まさに手練れの技です。ほんと、うまいですねぇ。その岡田トオルの姿がクミコに対する強い愛を感じさせるわけですね。いやいや読ませます。


第二部でギタリストにバットで殴りかかられ、その男を何回も殴ったというエピソードも第三部を読み終えて、ようやくその意味を飲み込むことができました。


綿谷ノボルとクミコとの間に何があったのか、例によってそういった部分ははっきりとは明かされずじまいでしたが、しかし充分に読みごたえのある、素晴らしい長編でした。

僕は世界のあらゆる僕の一人だった

2019-03-26 16:31:06 | ま行の作家



村上春樹「ねじまき鳥クロニクル 第二部予言する鳥編」読了



第二部は

<間宮中尉をバスの停留所まで見送ったその日の夜、クミコは家に帰ってこなかった。>

という書き出しで始まります。そう、妻のクミコは失踪してしまいます。この編は妻のクミコのことを中心に語られていきます。


「僕」はクミコのこと、自分にふりかかるいろいろな不可解な出来事について思考するのに一切のものを遮断するため、家の近くの空き家の庭にある涸れた井戸に降ります。しかし、笠原メイの仕業で「僕」は三日近く井戸の中で過ごすはめになります。そこへ何故か加納クレタが登場し、「僕」を助けます。ようやく井戸から出ることができた「僕」は家に帰るんですが、そこでクミコから長い手紙が届いていることを知ります。


このあたりの展開、なかなか読ませますね。面白いです。


この第二部では、いろいろな人が「僕」の回りから離れていってしまいます。クミコ、加納マルタ、クレタ姉妹、そして笠原メイまでも。しかしこうやって見てみると「僕」のまわりは女性ばかりですね。大したもんです。


途中、新宿で歩いている人の顔をずっと見ている時に、札幌へ出張した時、ライブハウスで見たギタリストを見つけ、あとをつけていって、その男が小さなアパートに入っていったあと、「僕」もそこへ入った時、いきなりバットでなぐりかかられ、「僕」もその男の顔面を何回も殴るんですが、このエピソードは何を表しているのか、ちょっと理解できませんでした。


それから今日のブログのタイトルにもしたんですが、印象に残ったフレーズを一つ引用します。

<ここに井戸があり、その底に今こうして僕が浮かんでいるというのは、とても自然なことのように思えた。これまでそのことに気がつかなかったことの方がむしろ驚きだ。それは世界のあらゆる井戸のひとつであり、僕は世界のあらゆる僕の一人だった。>


この頃はこんなキレのあるセンテンスを書くことができたんですね。


いろいろなものを失った「僕」は果たしてどこへ行き着くのか。第三部が待たれます。


最近、昔 聞いた デビッド・ベノワというアーティストをまた聞いてまして、やっぱりいいなーと思って、またCDをアマゾンで二枚買ってしまいました。


そしてそして、念願だった以下の本も購入


伊丹十三選集 一「日本人よ!」
伊丹十三選集 二「好きと嫌い」
伊丹十三選集 三「日々是十三」岩波書店

三冊で約一万円でしたが、思い切って買ってしまいました!

加納クレタの人生

2019-03-19 18:35:10 | ま行の作家



村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」第一部「泥棒かささぎ編」読了



さて、いよいよというか、やっとというか、「ねじまき鳥」に手をつけました。全三巻のうちの第一部であります。こんな長い作品は、たしかデビュー以来初めてではないでしょうか。


相変わらず快調です。

<台所でスパゲティをゆででいるときに、電話がかかってきた。僕はFM放送にあわせてロッシーニの「泥棒かささぎ」の序曲を口笛で吹いていた。スパゲティをゆでるにはまずうってつけの音楽だった。>

どうですか、この書き出し。いきなり何かが始まる不穏な空気満載です。


僕こと「オカダ・トオル」は失業中の身で、毎日主夫のようなことをしているんですが、その周りでいろいろなことが巻き起こり始めます。妻のクミコ、近所に住む少女、笠原メイ、そしてクミコの兄、ワタヤ・ノボル、その知り合いという加納クレタと加納マルタの姉妹。それから本田伍長と間宮中尉。


これだけいろんなキャラクターが登場すれば面白くないわけがないですね。第一部は、まだまだほんの序章という感じで、表立った事件は起こりません。


第二部がめちゃ楽しめです。




先週、姉と恒例の「定例会」をやって以下の本を借りる


太宰治「斜陽」集英社文庫
谷崎潤一郎「マゾヒズム小説集」集英社文庫
リチャード・パワーズ著 柴田元幸訳「舞踏会へ向かう三人の農夫」(下)河出文庫
ナサニエル・ウェスト著 柴田元幸訳「いなごの日/クール・ミリオン」新潮文庫
スティーブ・エリクソン著 越川芳明訳「きみを夢みて」ちくま文庫