日本文藝家協会編「現代小説クロニクル 1990~1994」読了
講談社文芸文庫から平成27年4月に発刊されたものです。講談社文芸文庫もいろいろ企画をやるもんですね。現代小説の担い手とうたわれる10人の作家の短編を集めたアンソロジーです。大庭みな子、鷺沢萌、山田詠美、安岡章太郎、石牟礼道子、後藤明生、古山高麗雄、多和田葉子、中沢けい、笙野頼子の面々です。
こういうの、いいですね。いろんな作家の個性を味わうことができて、ちょっと得した気分です。すごい!とうなるものもあれば、なんだかなぁという作品もありましたが。
石牟礼道子の「七夕」、これはよかった。読んでいて幸田文の小説を思い出しました。あんなにパキパキした文体ではないんですが、登場人物の心情がありありと心に浮かんできて、そのあたりの空気が幸田文を彷彿とさせます。とにかく文章が抜群にうまいです。
多和田葉子「光とゼラチンのライプチッヒ」、笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」はいずれも再読ですが、いかにも多和田、笙野らしい作品で、相変わらず不思議な世界を描いていて、元気だなぁという印象です。
さて、次は村上春樹の案内本から誘われて、安岡章太郎、いってみましょうか。
ネットで以下の本を購入
長野まゆみ「冥途あり」 講談社
ブライアン・エヴンソン著 柴田元幸訳「遁走状態」新潮クレストブックス