エイミー・ベンダー著 菅啓次郎訳「燃えるスカートの少女」読了
本書は平成19年に角川文庫より発刊されたものです。
何年か前に本書を読んでものすごい衝撃を受け、ふと思い立って再読してみたのでした。
やっぱりこの作家はいいですね。「私自身の見えない徴」という長編があり、これもなかなかいいんですが、やはりエイミー・ベンダーは短編がいいです。スパッと鋭利な刃物で切ったような潔さがあります。
そして着想が面白い。恋人が人間から猿になり、そして海亀からサンショウウオに似た生き物に「逆進化」していくという「思い出す人」、父が死んだ日に図書館で何人もの男とセックスする図書館員の「どうかおしずかに」、火の手を持った女の子と氷の手を持つ女の子が登場する「癒す人」、等々。
おかしな表現ですが、全体に暗い明るさが漂っています。前に読んだブライアン・エヴンソンにも似た世界を感じますが、作風は全く違います。
解説の堀江敏幸、自分の好きな作家なんですが、ひいき目でなく、いいポイントを突いた解説になっています。さすがです。