G・ガルシア・マルケス著 鼓直訳「族長の秋」読了
ずっと以前、読もうとして途中で挫折した同作家の「百年の孤独」。これにも一回挑戦しようと思ったんですが、その前に手始めに本書を読んでみようと思ったのでした。
年齢は107歳から232歳の間といわれる中南米のある国の大統領。この大統領をめぐるさまざまな事件とそれにかかわる人間たちの壮絶なドラマであります。
しかしこの大統領、やることがめちゃくちゃですね。国がやっている宝くじを、自分が当選するように不正をし、それに無理やり加担させた子供たちを、不正が発覚するのを恐れて大統領府の地下室に隠し、それがふくれにふくれあがってなんとその数2000人に達し、どうにもならなくなるとみるや、セメントを満載した船に子供たちを乗せて沖に船を出し、ダイナマイトで爆破させるという、もうとんでもないやつです。
ほかにも、自分の部下の中将を終生の友と信じ、お互いの信頼関係を築いていたのはいいんですが、あることがきっかけで、その中将を信じられなくなり、自分を裏切るのではないかという妄想にとりつかれ、とうとうその中将を殺してしまうんですね。それだけならまだしも、その中将をオーブンで焼き、部下達を集めた晩餐会のメインディッシュとして食べさせるという、なんとも極悪非道の行いをします。
こういったとんでもないエピソード満載の小説なんですが、結局この大統領は孤独なんですね。「裸の王様」ではないんですが、側近達が大統領が読んで満足するようなウソの新聞を作って毎朝届けたり、大統領が望む結末になるようにテレビドラマをテレビ局に作らせたり…。しかし、このことを大統領は見抜いていたんです。見抜いていたんですが、何も言わない。ここにこの大統領の孤独があると思うんです。派手なエピソードの裏に隠された大統領の暗い影。これがこの小説の読みどころだと思います。
しかし、とにかくめちゃくちゃスケールの大きいほら話を聞かされ続けた感じで、ちょっとめまいがしました。いや、面白かったです。
ブックオフで以下の本を購入
太宰治 「ヴィヨンの妻」
星野智幸「俺俺」
庄野潤三「プールサイド小景・静物」
ずっと以前、読もうとして途中で挫折した同作家の「百年の孤独」。これにも一回挑戦しようと思ったんですが、その前に手始めに本書を読んでみようと思ったのでした。
年齢は107歳から232歳の間といわれる中南米のある国の大統領。この大統領をめぐるさまざまな事件とそれにかかわる人間たちの壮絶なドラマであります。
しかしこの大統領、やることがめちゃくちゃですね。国がやっている宝くじを、自分が当選するように不正をし、それに無理やり加担させた子供たちを、不正が発覚するのを恐れて大統領府の地下室に隠し、それがふくれにふくれあがってなんとその数2000人に達し、どうにもならなくなるとみるや、セメントを満載した船に子供たちを乗せて沖に船を出し、ダイナマイトで爆破させるという、もうとんでもないやつです。
ほかにも、自分の部下の中将を終生の友と信じ、お互いの信頼関係を築いていたのはいいんですが、あることがきっかけで、その中将を信じられなくなり、自分を裏切るのではないかという妄想にとりつかれ、とうとうその中将を殺してしまうんですね。それだけならまだしも、その中将をオーブンで焼き、部下達を集めた晩餐会のメインディッシュとして食べさせるという、なんとも極悪非道の行いをします。
こういったとんでもないエピソード満載の小説なんですが、結局この大統領は孤独なんですね。「裸の王様」ではないんですが、側近達が大統領が読んで満足するようなウソの新聞を作って毎朝届けたり、大統領が望む結末になるようにテレビドラマをテレビ局に作らせたり…。しかし、このことを大統領は見抜いていたんです。見抜いていたんですが、何も言わない。ここにこの大統領の孤独があると思うんです。派手なエピソードの裏に隠された大統領の暗い影。これがこの小説の読みどころだと思います。
しかし、とにかくめちゃくちゃスケールの大きいほら話を聞かされ続けた感じで、ちょっとめまいがしました。いや、面白かったです。
ブックオフで以下の本を購入
太宰治 「ヴィヨンの妻」
星野智幸「俺俺」
庄野潤三「プールサイド小景・静物」