トシの読書日記

読書備忘録

せつなく、そしてけなげで

2007-01-10 19:22:30 | た行の作家
大道珠貴「銀の皿に金の林檎を」読了

16歳の女子高生が31歳になるまでを「16歳」「21歳」「26歳」「31歳」と5年毎の4章に分けて書かれた物語。

本作家のテイストは、いつものままなのだが、「しょっぱいドライブ」「背く子」「裸」とはまた違う世界。

主人公の夏海が、なんとも健気でいじらしいんです。

祖母の子供が、孫の自分より年下という、要するに叔父、叔母が自分より若いという、複雑な家庭に育ち、また、祖母も母も水商売で、自分もまた、ホステスになるんです。

夏海は、いつだって一人で生きていけると思っているのだが、心の奥底では、やはり、愛する人、または家族というものを希求しているのだということが、にじみ出てるんですね。

祖母のツバメである、魚谷陽太郎に対する思いにそれがあふれている。小説の最後、31歳になった夏海は、一人、静岡の海のそばの古い家を借りて住むのだが、そこへ魚谷が突然やってくる。「家を修理しにきたから」と言って。
夏海は、魚谷に、ここにいつまでもいてほしいと願う。それは、男としての恋とか愛でもなく、かといって親として見ているわけでもなく、ここのところの夏海の微妙な心の描写が、なんともせつないんです。

僕が今まで読んだ、大道珠貴のナンバーワンでした。


北尾トロ「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」読了

今日、所用で出かけたついでに寄った本屋で買い、即、読み終わりました(笑)

これ、おもしろいです。裏表紙のコピーをそのまま引用します。

知人に貸した僅か2千円の返済を迫る、電車でマナー知らずの乗客を叱り飛ばす、初恋の女性に23年の時を越えて告白する、激マズ蕎麦屋で味の悪さを指摘する・・・・
変人だと思われ相手に逃げられようが、暴力を振るわれようが、後悔するより、まずは行動!ちょっとした胸のつかえを取るために小心ライターが挑んだ、愛と勇気のルポ。

気持がすごくよくわかります(笑)でも、それをやってしまうところがすごい!
決して見習おうとは思いませんが(笑)

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