トシの読書日記

読書備忘録

危険な読書案内

2011-02-28 16:19:11 | か行の作家
車谷長吉「文士の魂・文士の生魑魅(いきすだま)」読了


エッセイかと思って読み始めたらそうではなく、著者の読書遍歴というか、今までに感銘を受けた作家の作品を取り上げてその核心に迫るという、そんな体裁の本であります。


しかしこれは、いろんな意味で危険な本です。まず、買って読みたくなった本が一気に増えました。また作中、数は少ないんですが、痛烈な批判を加えている本もあり、そんなこと書いていいのかと、読んでいるこちらが心配になりるくらいのものでした。


この車谷長吉というし小説家、どこまでいっても「自分」というものから離れられない人ですねぇ。良くも悪くも「自分」というものを徹底的に見つめ、掘り下げ、そしてそこから浮かび上がってくるものを言葉にしていくという、ある意味非常につらい生き方を自らに強いた作家であると言えると思います。自分としてはその凄惨な姿に惹かれるんですがね。


以下に、本作品に出てくる本の中で読んでみたい本、読まねばと思う本を列挙しておきます。



深沢七郎「楢山節考」
幸田文「流れる」
三島由紀夫「金閣寺」「愛の渇き」
谷崎潤一郎「細雪」
瀬戸内晴美「遠い声」
井伏鱒二「川」
富岡多恵子「ハタチか二十一か二十二の男と三十五か六か七に見える女」
宇野千代「おはん」
野呂邦暢「諫早菖蒲日記」
樋口一葉「たけくらべ」「にごりえ」
富士正晴「どうとなれ」

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