トシの読書日記

読書備忘録

記号としての「家族」

2009-04-13 10:47:11 | か行の作家
小島信夫「抱擁家族」読了


以前、「男流文学論」で取り上げれれていて、かなり酷評されていた小説です。それで逆に読んでみる気になって手に取ってみました。

読了後、「男流文学論」をもう一度読み返してみたんですが、自分の記憶違いで、そんなにけなしてもいなかったですね。

しかし、家族とは、かくも危ういものであるのかという思いを禁じ得ません。主人公である俊介と妻の時子のような夫婦は、一見どこにでもいそうな気がするんですが、その内面はすごいものがあります。どちらも、相手から見限られたくないという強い気持ちがあり、孤独を極端に恐れ、建前だけでも理想の夫婦を演じようという様が非常にリアルに描かれています。そして、また自分の都合を押し付けたがる子供たち。まぁ、子供なんてものは大体こんなもんですが。


これを悲劇とみるか、喜劇とみるか… いろいろ考えさせられる小説でした。

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