ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

岸和田だんじりてくてくさんぽ5

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
岸和田の市街は古い建物が多く、路地に入ると白壁や板塀の民家や商店、洋館を生かした医院に銀行など、江戸〜大正期の建物がたくさん見られる。最近はこうした建物はリノベされて小洒落たカフェとかアートスペースに活用されがちだが、現役のものも目立ち、岸和田駅前商店街から一筋入ると昔ながらの和菓子屋、雑貨屋、洋品店なども点在。提灯屋、足袋や晒しを売る店もあり、さすがは祭りの町である。連ドラのロケ地ゆかりの看板も目立ち、商店街の中ほどにはこんなお店も。

この商店街もだんじりの曳行ルートで、アーケードの下をだんじりが疾走するのも凄い。な訳で散策は終了、祭りのハレ食探訪と行きましょう。

岸和田だんじりてくてくさんぽ4

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
だんじり会館そばの紀州街道は、かつて大阪高麗橋から和歌山まで湾岸の町々を結んでいた、城下の幹線街道である。交通量の多い府道の一つ裏ながら、なまこ壁の土蔵、千本格子に竹矢来の民家、黒壁や虫籠窓やうだつの商家などが建ち並び、大阪のベッドタウンとは思えない古風なたたずまいを見せている。だんじりの曳行が絵になる通りだが、静々と巡行するのではなく全力疾走、しかもやり回しポイントが連続。城下町を見通されないよう、街道をクランクにした名残で、雰囲気とは違ったエキサイティングな旧街道なのである。

市役所別館前は紀州街道から左・左・右と折れて、岸和田城に向けてこなから坂を登っていくポイント。宮入前のハイライトだが、左右の角折れが連続したのちに登り坂と、大工方も梃子も息つく間がない。仏壇シメノの前はゆるいS字カーブ、堺町のだんじり蔵前は直角クランクながら、ともに滑るようにだんじりが流れていく人気の観覧スポットだ。堺町のほうは、角角に古い黒壁銅板の商家、惣菜を扱う商店があり、曲がり損ねただんじりに突っ込まれないかと気になってしまう。どちらの沿道の家や店舗も、心なし外壁が新しいような?

商店街から左右へ折れるやり回しの名所・小門貝源から、アーケードの駅前商店街へと、日差しを避けに行きましょう。

岸和田だんじりてくてくさんぽ3

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
ここで祭りの基本を抑えるべく、岸和田城近くの「だんじり会館」へとやってきた。見ものの一つは、かつて祭りで引かれていた、だんじりの現物の展示。ホールに入ると艶やかな提灯が目を惹くだんじりが、堂々と鎮座している。この紙屋町だんじりは、江戸期以前の体裁を残した、古いタイプの代表的なだんじりである。胴部の土呂幕(どろまく)に施された彫り物は、源平合戦や三国志がモチーフとか。岸和田のだんじりの彫刻は木目を生かすのが特徴で、近寄ってみると騎乗で躍動する武者をはじめ細密な装飾が施され、まさに疾走する美術工芸品といえる。

そしてもうひとつの見ものは祭りの大画面映像で、注目はだんじりを旋回させる「やりまわし」。前側の衆がグッと引くとだんじりが大きくコーナー外側に振られ、後方の衆が放射状の縄で放り出されないよう抑えると、だんじりがズッとドリフトして向きを変える。そのバランスたるや、阿吽の呼吸のようで計算し尽くされているようで、実に見事だ。だんじりを旋回させるには、屋根にのった「大工方」が方向を指示し、直前直後を引く「前梃子」「後梃子」が梃子を押し引きして旋回させる。と書けば簡単だが、前梃子はブレーキでピンポイントで減速させたり、後梃子は数本の綱(ドンス)をタイミング合わせて引いたりしないとならない。息が合わないと、きれいに旋回させることはできないのだ。

これと別に「3Dだんじりビジョン」もあり、立体眼鏡で見る屋根上の大工方目線の映像が面白い。まっすぐ快走したかと思えば、カーブで振られるとおっと、と落ちそうに。観客席からの立体映像も楽しめ、S字カーブを飛び出してくるだんじりに、つい逃げてしまう。にしてもこのやり回し、直角旋回もS字走行も、だんじりが滑り流れるように駆けていく様はなかなか美しい。荒くれ者が屋根で跳ね、力技で方向を変えてだんじりをブン回す、といった荒々しい祭りのイメージが、俊敏ながらも優雅な印象に少し変わったかも。

笛太鼓の鳴り物体験や、模擬だんじりの屋根に登って大工方の気分も楽しんだら、だんじりの巡行ルートを駅に向けてたどってみましょう。

岸和田だんじりてくてくさんぽ2

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
岸和田城に隣接する岸城神社は、地域の総鎮守である。岸和田城三の丸に鎮座しており、岸和田だんじり祭り発祥の地である(諸説あり)。もとはこの地にあった稲荷社に五穀豊穣を祈願した祭りで、9月の例祭の際には、市街を曳き廻されただんじりが15台、宮入して勢ぞろいする様が壮観だ。

大手門から城入りしただんじりは、堀に沿って3度折れ曲がってひとまわりし、神社参道の石畳を最後のひと登り。祭りの映像では、コーナーを高速で旋回する「やり回し」に次ぐ名シーンで、最後の力を振り絞り曳き廻した後、境内を闊歩する曳行衆の晴れ晴れしい表情が印象的だ。

境内は夏の装いで、七夕の竹飾りや夏越の祓えの茅の輪が据えられていた。輪を八の字に潜り無病息災祈願してしばし佇むと、あたりには風鈴の音が響くのみ。参道、鳥居越しに、城から入ってくるだんじりの宮入の熱気を、想像するのが難しいほどの静寂さである。

なので祭りの熱さを感じるべく、展示施設に立ち寄ってみましょう。

岸和田だんじりてくてくさんぽ1

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山の後は、泉州岸和田へやってきた。このところ追いかけている、祭りの際に味わうハレの料理を訪ねるべく。

まずは当地の名城に表敬と、岸和田城からスタート。楠木正成の一族・和田高家が築いた城で、そもそも「岸」という地名の場所を「和田」氏が治めたことが、地名の由来という。別名の千亀利(ちきり)城は、機織りに使う同名の道具と、城の縄張りの形が似ていることからついたとか。白亜の天守は壁面が眩しく、屋根まわりの装飾もきらびやか。堀に囲まれこぢんまりしていながら、まとまった威風堂々さである。

城の周りはだんじり祭りの際、ラストを飾る宮入のルートになっている。紀州街道から城郭へ向かい、難所の「こなから坂」を駆け上がり、堀に沿って西〜南〜東と城を4分の3周して、隣接する岸城神社の境内へと入っていく。豪壮な天守を巡り廻る、彫刻が満載の勇壮なだんじり。さぞかし絵になるシーンだろう。

こちらも天守を見ながら堀を半周して、岸城神社の境内へ。