地雷臭が漂うたたずまいの店を、あえて攻める。ダマされたつもりで行ってみたら、やっぱりダマされた結果が多い中、たまにお宝を掘り当てた時の征服感こそ、無目的散歩の真骨頂だ。定番や人気店を回避しての「勝利的発掘」、これはたまらない。
桑名の昭和な駅ビルと昭和な飲食店街にひっそり挟まれたこの店、鄙び過ぎてしまっている見た目からして危険な香りが漂う。しかもラーメン専門店にして、「ちゃーみーすーぷ」なる屋号。店内の雑然具合も大概な感じで、雑誌を棚にしまいダンボールを奥に片して差し上げたい衝動に駆られる。き◯なシュランの世界観ながら、そこそこお客の入れ替わりがあるのに、期待感がギリギリ維持される感じである。
中華なのにコック帽姿の親父さんオススメの台湾ラーメンにしたら、これがなかなかやる。たっぷりのニラともやしは、生から加熱に至るギリギリ絶妙な炒め加減で、これだけで料理として成り立つ見事さ。輪切りの赤唐辛子もたっぷり混ざり、ザクザク火を吹くかの旨辛だ。スープも店名の如く、牛骨のコクがあり穏やか。極細麺の軽さもあり、どんどん飲みすすれる。
ちなみに台湾ラーメン、名古屋名物としてカテゴライズされているが、本場にはこんなラーメンはないらしい。なぜかおまけについてくる小皿のチャーハンも、油っぽさのなくパラパラな軽さで、あっと言う間に食べ終えられた。バツグンの当たりを引いた嬉しさに、店を後に店頭を振り返れば、実は味があり年季を重ねた店構えに見えてきた気も。