ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはん…いわき駅前の某店での、カツオとメヒカリ

2011年10月01日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

   小名浜漁港から宿泊するいわき駅へと戻り、視察最後の夜は地魚料理の店でいわきの漁業の現状、そして原発にまつわる地元の生の声を聞いてみることに。

 駅周辺の繁華街にある店でカウンターに落ち着き、品書きからいわきの地魚を探すとメヒカリ、ヤナギガレイ、カツオ、ウニなどとある。しかし「通常ならメバルやヒラメもとれるが、モニタリング調査の結果による県内一斉操業自粛で、秋からの底引き網も中止が決まった。ウニは今年度の漁の自粛がすでに決まっているし、このままだと名物のアンコウも操業できなそう」とご主人。

 なので店では現在、それらいわきの「地魚」は、各地から同種を取り寄せて使っている。そんな中、カツオは小名浜沖でとれたもの。45キロと大振りで食べごろだそうで、戻りガツオにはやや早く脂ののりはほどほどだが、赤身が瑞々しくふっくら。新鮮な赤身ならではの深いコクがいい。

 カツオは通常なら今が一本釣りや巻き網の水揚げ時期だが、今は小名浜に水揚げすると「福島産」となり全く売れない。なので市街の魚料理屋では他県の漁港で水揚げしたものを取り寄せたり、小名浜で揚げてセリにかけずに直接買い付けているという。

「どこのカツオ船も漁場は気仙沼沖や小名浜沖で同じなのに、水揚げが宮古や気仙沼や銚子ではなく「福島の」小名浜というだけで売れない」と話すように、こうした福島県の漁業の風評問題はいわきの魚料理の店にとって死活問題なのである。

  そしていわき市の魚にもなっているメヒカリも、現在地物は流通していない。なので料理店では愛知や宮崎などで水揚げされたものを取り寄せるほか、震災以前に漁獲した地物の冷凍物もあるが、もう在庫が少ないという。

 この店では愛知から取り寄せた生のメヒカリを使っており、白身の乳製品のような柔らかく優しい甘さにホッとする。頭も骨も柔らかく、まるごとバリバリ食べられる。またホッキ貝は四ツ倉で漁をしているが、現在は北海道や青森から取り寄せている。歯ごたえがシャクシャク、身は瑞々しくあっさりしていて貝ならではの旨味はほどほど。

 メヒカリは以前、小名浜のいわきら・ら・みゅうで味わった自家製のメヒカリ開き干しに比べると、大振りで身がたっぷりとついている。またホッキ貝はいわきのは小粒だが北海道のは大きく身が厚いなどと、いちいち比べるのは無粋というもの。いわきの「地魚」を頑張って提供している店の姿勢に敬意を表し、いわきの辛口の地酒「太平櫻」の肴に地魚宴の気分でいきたいところか。