ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

セービング・フェース

2012年04月16日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

  以前、このブログでパキスタンやトルコで日常的に行われているという婚前交渉を行った実の娘を殺害する名誉殺人などの女性虐待について紹介しました。

              ↓
http://blog.goo.ne.jp/tobiomasahiro/e/0188b3b9bf71362901e228b615bc01aa

http://blog.goo.ne.jp/tobiomasahiro/e/9f039b7adfaf5cfa6d38e9b9f81c778c

 またもや、いやになるような風習を知りました。
 米国でドキュメンタリー部門のアカデミー賞を受賞した「セービング・フェース」によって。
 「顔の救済」とも訳されるこの作品、あまりに凄絶です。

 パキスタンでは、求婚したのに断られた男や、妻が不貞を働いたと思いこんだ男が、相手の女の顔に硫酸をかける事件が頻発しているというのです。
 硫酸をかけられた女は、顔を布ですっぽりと覆い、外に出ることもなくなり、泣き寝入りするのが常だとか。

 パキスタンで売春婦をしていた女がお金持ちの客に見染められ、結婚したそうです。
 結婚後ほどなくして夫から妻への暴力がエスカレート。
 妻は母親の家に逃げましたが、就寝中に夫が押し入ってきて妻の顔へ硫酸をかけたそうです。
 鼻はつぶれ、口がふさがり、窒息しかけたところ、ストローを口にさしこまれてかろうじて息をし、生き残ったそうです。
 妻はイタリアで38回もの整形手術を受け、やっと唇が動くようになったそうですが、世をはかなんで飛び降り自殺。
 享年33歳だったそうです。

 夫はというと、起訴はされたものの父親が元州知事という名門一家だったためか、目撃者が次々と証言を撤回、無罪を勝ち取ったそうです。

 男女差別もここまでいくと馬鹿げていますねぇ。
 男と女の違いよりも、個人差のほうがはるかに大きいのに。
 同じ人間で、どうして性別によって扱いがこんなに違うのか不思議です。

 私の職場は女性の正職員が多く、昇進にも差が無いので、よけい不思議に感じます。
 ていうか同年齢で勤続年数も同じで能力もほぼ同等の場合、男女差別だと責められるのを避けるため、女性を先に昇進させる傾向すらあります。

 世の中には外で働くのが向いている女性もいれば、会社の仕事では使い物にならない男性もいます。

 すべては男女差ではなくて個人差なのだと、肝に銘じることが求められます。

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ノーベル賞作家

2012年04月16日 | 文学

 1972年の4月16日、我が国で最初のノーベル文学賞を受賞した作家、川端康成が亡くなりました。
 親交のあった三島由紀夫の割腹自殺から一年半後、作家72歳の春でした。

 ガス自殺説では、老醜をさらしたくないがためであるとか、三島由紀夫を喪った喪失感であるとか、ノーベル文学賞受賞の重圧のためであるとか、甚だしきにいたっては、可愛がっていたお手伝いさんが辞めたからだとか、様々な憶測がとびかいました。
 また、なれないガス暖房器具を自ら操作したため、誤って事故死したのだという説も有力です。

 いずれにしろ、真相は闇の中。

 ミステリアスでセクシャルな雰囲気が漂う美的世界を追い求めた作家には、むしろお似合いかもしれません。

 川端康成という作家、数々の日本の美を詠う作品を残しましたが、じつは食うために少女小説も多く書いていて、これがなかなか面白いのですよ。

 当時良家の子女に大人気だった雑誌「少女の友」に発表された「乙女の港」では、当時男女交際が破廉恥な行為とされていたことから、女学生の上級生と下級生が特別な友人関係を結ぶという、いわば擬似恋愛のようなS(sisterの略)という関係性を描いた小説は面白かったですねぇ。

 大人向けの文芸作品では、私は「眠れる美女」という作品を偏愛しています。
 もう役に立たなくなった老紳士がこっそり訪れては、すやすやと眠っている美少女と一緒にと特に何をするでもなく一緒に眠る、というシステムの一種の性風俗店を舞台にした、屈折したエロティシズムを感じさせる名品です。

 川端康成は「女を見るときはあたまのてっぺんからつまさきまで、舐めるように見なければならない」と言ったとか言わないとか。
 女性が大好きだったのでしょうねぇ。
 親友の三島由紀夫が男色を好んだのとは好対照ですねぇ。

 終戦直後、国敗れた祖国の惨状を見て、「もう私は、日本の美しか詠わない」と宣言し、だからこそナショナルな文学はインターナショナルたりえ、ノーベル文学賞受賞にいたったものと思われます。

 授賞式にはモーニングではなく紋付き袴姿で表れ、「美しい日本の私」と称する記念講演では、

 春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり

 という道元禅師の和歌を朗吟し、季節感を大切にする我が国の美的感覚を強調しました。
 坊主であって歌をあまりよくしなかった道元禅師のこの歌が、わが国で人口に膾炙するようになったのは、この講演のおかげといっても過言ではありません。

 わが国の文学史上に巨大な足跡を残した川端康成先生が亡くなられてからちょうど40年。

 昭和は遠くなりにけり、ですねぇ。

眠れる美女 (新潮文庫)
川端 康成
新潮社



美しい日本の私 (講談社現代新書 180)
エドワード.G・サイデンステッカ-
講談社



完本 乙女の港 (少女の友コレクション)
中原 淳一
実業之日本社



『少女の友』創刊100周年記念号 明治・大正・昭和ベストセレクション
実業之日本社,遠藤 寛子,遠藤 寛子,内田 静枝
実業之日本社

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