スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

論者の評価&見学

2018-07-20 18:57:07 | 歌・小説
 伝記作家の評価について記述したことは,伝記を読む場合に特有に注意しなければならないことであるとは必ずしも限りません。評論家が作家の作品を評論する場合にも,先に作家に対するある評価があり,これに合わせて作品を評論するという場合もあるからです。そういう傾向を有する評論はすでに論評してありますので,その特徴を再掲しておくことにしましょう。
                                     
 宮井一郎は,利益社会と人格社会,我執と自由との対立の中で,漱石は人格社会および自由に重きを置いていたと評価しています。この評価は漱石の作品から結論づけられるようになってはいますが,実際には評価の方が先行していて,それに合わせて評論しているのだと僕は解します。『漱石の世界』はそういう評論集であると僕は考えます。この本は評論集であって,漱石の伝記ではありません。実際にこの本の中で漱石の評伝に関連している事柄はほとんどないといっていいです。ですがもし宮井が漱石の評伝を記述すれば,きっと漱石は人格社会と自由を重視するひとりの人間として描かれるでしょう。宮井が漱石の伝記を書けばどのような内容になるのかということはおおよそ推測できるのであって,その推測された内容は,評伝とは無関係な作品評論とも関係するのです。
 『ドストエフスキー『悪霊』の衝撃』で亀山郁夫と対談しているリュドミラ・サラスキナは,明らかにドストエフスキーをひとりの人間として神格化しているように僕には思われます。したがってもしサラスキナがドストエフスキーの伝記を書いたなら,ドストエフスキーはさぞかし人格者として描かれることになるだろうと思われます。こうした神格化はサラスキナがドストエフスキーの作品を読解するときにも影響を与えるのであって,サラスキナのドストエフスキー論はおそらくその点を度外視しては評価できません。つまりサラスキナのドストエフスキー観は,先行条件として作品の読解に影響を及ぼすのです。
 このように,論者の論評対象に対する見方は,論評そのものに影響します。蓮実重彦の『夏目漱石論』の序章で,漱石と呼ばれる人影との遭遇をひたすら回避しなければならないといわれているのは,そうした影響を回避するためでもあります。どこまで回避しているのかは,論評を理解する上できわめて重要な要素なのです。

 11月12日,日曜日。美容院の予約が入っていました。もし可能であれば母が行って自分の髪も切ってもらう予定でしたが,体力的に厳しいということで,僕が妹に同行し,妹の髪だけを切ってもらいました。切ってもらっている間に読書をしました。読書のためにまとまった時間を充てることができたのは,母の大腸癌の切除の手術中以来のことでした。美容院の予約は午後1時。僕たちが帰宅したのは午後2時半。その後でKさんが来訪し,母と話をして帰りました。これは妹のグループホームの話が含まれていて,そのための協力を要請しました。
 11月14日,火曜日。この日は妹が入居することになるであろうグループホームと,その場合の通所施設の見学でした。この時点での妹の通所施設の担当の方が,自動車で家まで迎えに来てくれました。僕と母,そして妹の3人が同乗し,家を出たのは午前10時半です。まず,通所施設に向いました。通所施設の方の案内で,施設の中にどのような部屋があるのかなど,一通り案内してもらいました。この施設には,母が小脳出血で倒れたとき,妹が通っていた通所施設で妹を担当されていた方がいらっしゃいました。僕も妹の支援を決定する際に会ったことがある方でした。
 この後,同じ自動車でグループホームの見学に向いました。グループホームは2階建てになっていて,1階が男性用の施設,2階が女性用の施設です。グループホームは男性と女性が同居するということができない規定になっていますので,1階と2階は名目上は違った施設,1階が第一で2階が第二というようになっています。
 妹の入所が可能になったのは,空きができたからです。したがってその空いた部屋というのが妹の部屋になります。前に入っていた亡くなった方は,亡くなる直前に入居されたようで,テレビなど,わりと新しいものがそのまま置いてありました。遺族の方が後に入る方に寄付をするということでしたので,使わせてもらうことになりました。部屋は概ね6畳ほど。ベッドと箪笥はしつらえてありました。
 見学を終えて家まで送ってもらったのが午後1時前。妹はそのまま同乗して通所施設に行きました。
コメント
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