スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王位戦&第二部定理一七備考まとめ④

2007-07-25 23:04:56 | 将棋
 昨日は1日目ということであまりに軽く考えていた王位戦七番勝負第二局ですが,よく考えれば封じ手の局面はすでに勝負どころで,僕が示したような手順は甘く,あれでは簡単に先手が勝ってしまいそうです。ということで羽生善治王位の封じ手は△4六歩。対して深浦康市八段は▲7四歩。
 ここから一直線に攻め合えば,△4七歩成▲7三歩成△3七と▲8二と△2八ととなるわけですが,深浦八段が▲7四歩と指し,羽生王位が避けたということは,この順は駒損でも手番を握って先手がよいということで両者の読みが一致したということでしょう。後手は△6四角と逃げ,先手もこれには▲4八金と逃げるよりなさそうです。
 この局面,僕には後手が忙しくみえますので,58手目の△6六歩はやんわりした手で意外に思えます。ここで▲6五歩はおそらく△8六角▲同歩△7七桂成▲同金で,角は取れても玉が薄いので後手が十分なのでしょう。深浦八段は▲7三角からと金を作りました。
 64手目の△5一金は次の▲7二とで飛車が死ぬだけにまた意外な手。70手目に△7七角と打ち込みましたが▲8一とと取られ,羽生王位はここから苦戦と感じられたようです。ただし検討陣は後手有望という見解でした。確かに74手目に△6一香と受けたあたり,△5一金が効いているようにも思えます。この後,▲5二角成と捨ててこの香車を抜いたのも,80手目に△6三角と受けたのも凄い手だと思います。
 ここから攻め合いになりましたが,102手目に△6八成銀と捨てて受けに回るようでは後手が苦戦。111手目の▲5二銀~▲3一銀というのが好手順で,最後は龍も捨てて即詰みに討ち取り,深浦八段の2連勝となりました。投了図以下,△4四玉▲4五歩△同銀▲5五金で簡単です。
 羽生王位のいうように,飛車を取って先手が優勢であるのなら,△5一金で,△4二金右として飛車が逃げるのは論外としても,△7七桂成~△3六桂と攻め合う順があるのかもしれません。これでも駄目ならそれ以前に問題があったということでしょう。
 連勝の深浦八段が,王位奪取に前進したといえますが,本当に大変なのはこれから。第三局は31日と1日に指されます。

 明日は竜王戦挑戦者決定トーナメント,左の山の準々決勝,中原誠永世十段と谷川浩司九段の一戦があります。準々決勝ですが,展望でも注目した中原永世十段の本選初戦ですし,もうこういう対戦を紹介する機会もそう多くはないと思いますので取り上げます。過去は谷川九段の55勝42敗となっています。

 明日から福井記念。復調ムードの伏見選手に注目しています。

 それではいかにして人間は誤謬からの脱却が可能なのかということが問題となってきます。もちろんXの十全な観念が人間の精神のうちにあるならば,その人間の精神のうちにXの混乱した観念が生じたとしても,それが十全な観念ではないということを知り得るでしょうから,そうした十全な観念による脱却というのが可能です。しかし人間の精神は有限ですから,これでは個々の誤謬からすべて脱却することは,むしろ不可能であるということになるでしょう。
 このときに助けになるのが,真理一般による脱却です。人間の精神のうちにたったひとつの真の観念があることによって,人間は真理一般の性質を知り,それによって真理の認識が可能となって誤謬から脱却できるというのがこの方法です。真理の規範,すなわち真理と虚偽とを明確に分かつことができるのは,虚偽ではなくて真理自身であるということ,そして真理だけであるということが,この脱却の根拠になります。
 これで,人間が,精神のうちに虚偽を抱えるということ,つまり人間の精神の少なくとも一部が虚偽によって構成されるということからはどうしても免れることができないとしても,誤謬から免れることができるということは明らかになったと思います。したがって,ここでテーマとした一文の中で,スピノザが表象が力であり得るといったこと,すなわち,虚偽は誤謬でない場合には力であり得るといったことは,不条理であるどころか妥当であるということになるのではないかと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする