小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

放射線には水耕野菜!

2013-10-12 10:13:42 | Weblog
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「百年野菜」という水耕栽培で作った葉もの野菜をいっぱい貰いました。

実は水耕栽培と銘打った野菜を食べるのははじめてのこと。
土を使わない野菜、ビルの中でも作れる野菜ということで、どうかなと思ってましたが、ニラ玉作って食べてみたら、しっかりした食感にびっくり!

これは合格点以上です。



水耕栽培の野菜は当然ながら無農薬。
放射線を心配する人にも姫路産なので安心です。

もっとも私は福島産野菜を積極的に食べる人間なので、まったく関係ないですが、気にする人はそうはいきません。(ちなみに中国野菜は極力避けてます。気にするとかが違うのね)。

世間には放射線を避けるために外出を控える人も多いのは事実でして、先日、そんな方とお話をしたのですが、その人に「気にするな」と言ってもそうはいきません。
人体への放射線の影響というのは、フィジカルにもメンタルにも個人差があり、それを一様な基準で収めることはできないと実感した次第です。

放射線を気にしない人間が、気にする人の立場を理解することはもちろんですが、気にする人が気にしない人に、自分たちの気持ちを強要しないのも大切かなとう話になりました。

その辺りはお互い大人でいないとね。



そんな意味で言うと、この水耕栽培というヤツはなかなかのすぐれものです。

ニラ玉を作った限りで言えば、味は申し分なし。百年野菜のhpを見る限りでは、真面目に作ってるのは間違いありません。

要は土を使うかどうかより、キチンと作っているかどうかということでしょうね。



水耕栽培は農薬と放射線に関する安全性に関しても、まったく問題ない安心野菜なわけですが、ただ・・・土を否定しないといけない世の中というのも如何なものかなあ。

オリンピックのプレゼンで安倍総理は、福一原発のコントロールを約束しましたが、放射性物質の性質上、7年で解決することはありえません。

実際に赤坂の放射線値を計測している人の話では、わが町もけっこうな値みたいですね。放射線を気にしない人は、自分のまわりの放射線値を意識しませんが、ある意味で知らない方が幸せな気もしました。

もっとも、稼動を止めていれば原発は安全になるかといえば、まったくそういうわけではありません。

なにせ燃料の放射性物質がなくなるわけではありませんからね。

かりに全廃にするにせよ30年40年かけて廃炉にしないといけないわけで、原発の専門家の中には、稼動を続けて放射性物質の値を最小限にしてから廃炉にしないと意味がないという意見があります。

いずれにせよ原発に対する恐怖というのは(逆に恐怖を抱かない人も同様)、根本的な科学的見地をスルーした宗教のようなところが見られます。

そういえば、先日、友だちの外国人とインド料理店に行き、ホウレンソウのカレーを注文したところ、

「ホウレンソウは放射線の影響を受けやすいそうですが、ダイジョブデスカ?」

「市場に出回ってる野菜はどれも検査を受けて出荷されてますから大丈夫ですよ」

「アイドントシンクソー。ワタシ、そうは思イマセン」

うーん・・・
そんなこと言うだったら、最初から聞くなよって感じですが、これも宗教みたいなもので仕方ないのかなあ。

いずれにせよ、水耕栽培。
これからの世の中、有効だと感じた次第です。

↓ こちらは食べたわけじゃないけど、友だちから送られてきた神戸牛。
野菜の写真にもマッチしますね~♪
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村上春樹・源氏物語・日本の科学技術

2013-10-11 09:39:33 | Weblog
赤坂のトルコ料理アセナのインゲン豆とビーフの煮込み。
これぞレベントシェフの真骨頂、いつ食べても本当に美味しい♡


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毎年、この時期になると村上春樹がノーベル文学賞を取るかどうかというニュースが流れてきて、今年も多分取らないだろうなあと思ってると、やっぱり別の人が受賞という結果でした。

以前にも拙ブログで書いたように、私にとって村上春樹は何度読もうととしても挫折してしまう作家なのですが、どうやら外国人から見て、ものすごく日本的な作家だということです。

たしかに源氏物語以降わが国の文学というのは、ハッキリしない優柔不断さというものが主流なようで、そこが好ききらいの分かれ目になるみたいです。

宗教に関しては良いとこ取りの日本人ですが、文学に関しては、どうもそれが優柔不断になってしまうのでしょうか。

村上春樹氏の小説(途中までしか読んでないけど)では、あれも決められない、こちらも良いねといった具合に、揺れ動いていく様子や気持ちが延々と続き、そのどこが面白いのかと思ってしまいますが、考えてみれば、ほかの日本文学もみなその傾向があります。

C・W・ニコル氏が「日本のブンガクは、どれもワタシ、ワタシというものが多く、それは私、好きじゃアリマセン」と言ってましたが、日本に長く暮らすニコル氏だからこそ、そう思うのかもしれません。



是非もなくグレーゾーンを好む日本人ですが、今のアメリカ議会が共和党と民主党で落としどころを見つけられずに混乱してる様子を見ると、反対に欧米人って本当に妥協できない人たちなんだなと思ってしまいます。

短絡的かもしれませんが、妥協できないというのは一神教の影響大でしょう。

ただ、小説に関して言うと、白黒勝ち負けがハッキリする人たちが書いたものというのは、ある意味スッキリするところはありますね。

「風と共に去りぬ」では、人物キャラはスカーレット・オハラとレット・バトラー、メラニーとアシュレ・ウィルクスの4つしかありませんから(極論)、ものすごくわかりやすい。


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さて、グレーゾーンを好む国民性の是非は別にして、それが功を奏しているのが、私は科学技術ではないかと思っています。

科学というのは白黒がハッキリしているようで、個人的にはそうでないと思っています(科学者は白黒ハッキリしてる人が多いけど)。

科学の発見というのは、矛盾を見つけては解決していくという作業が多いです。

光の性質が「波であり粒である」という発見も、光が音のような波であると、どうしても説明がつかないために生まれたものでした。

また、科学技術というのも同様で、複数の矛盾した条件をクリアすることで、生まれるものが少なくありません。

たとえば、日本刀は硬くて柔らかい鉄という、矛盾した性質を得るために進化しました。切れ味の良い硬い刃を得ようとすると、簡単に折れてしまうので、柔軟性を持った鉄が良い。しかし柔らかい鉄にしようとすれば、切れ味は悪くなる。
この矛盾を解決するために生まれた技術が日本刀の技術ですね。

矛盾したものでもグレーの中に取り込んでしまう能力は、日本人の中にある最大の武器でありましょう。

ただ、文学に関していうと(簡単に比較はできないんですが)、どうなんでしょう。ノーベル文学賞候補の村上春樹氏ですが、今さらにあげることもないようにも・・・。
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またも美山の絵地図・・・修正でした!

2013-10-10 09:33:38 | Weblog

またかと思う方もいるでしょうが、美山の絵地図・・・修正が入りました。
しかも、イマドキ修正の指示は郵送で送られてきて、会長さん曰く。
「もしかしたら、互いに名古屋辺りまで出て話せんとアカンかもなあ」やて。あ、あんた!そんな交通費あるんなら(以下略)。
郵送されてきた校正を見たら、今はPhotoshopでCG合成みたいなことが、私でもできますから、名古屋まで出て話合うほどのものでなし。
ただ、Photoshopとはいえまったくの手作業。

↓ 丸2日かかりましたが、違い・・わかりますか?
こちらが修正前。

違いを全部当てた方にはラーメンおごります。
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和民はホントにブラック企業?

2013-10-09 07:41:42 | Weblog
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火曜は柔道の稽古ですが、けっきょく楽しみは稽古のあとの一杯です。
で、いつも行くのは品川港南口の和民んちで、1リットル入りの「男前ジョッキ」。
「男前はやっぱり男前♪」と、オヤジの心理を見事についたネーミングに加え、最近は「鉢盛り」という焼酎4合が丸々入るロック盛りがマイブームです♪

和民チェーンはブラック企業とネットでは評判ですが、いつも行く和民んち品川港南口の店員さんは感じが良くて気配りも細やかです。

和民の会長は別に好きじゃないし、内情はよく知りませんが、ネットで言われるほどブラックなんだろうか。

だいたい飲食店関係で労働基準法を満たしてやってたら、あっと言う間に潰れてしまいます。それを言えばみんなブラックで、和民がブラックなら、もっとブラックな居酒屋チェーンだってもあるに違いありません(たとえばモン○・○ーザとか。あそこに材料卸していたとこから聞いた話ですから・・)




いぜん、この店で日本酒の八海山を注文したら、バカに時間がかかったことがあって、「買いに行ってるんじゃね?」なんて笑ってたら、ホントに駅前の酒屋に買いに行ってた、なんてことがありました。

いやびっくり。

それが良いかどうか別にして、そこまでバカ正直にやるスタッフがホントに「やらされて」働いているとも思えません。

ちょっと和民はブラックだ、ブラックだと、言われ過ぎって感じもしますけどねえ。

たしかにタコ部屋みたいな企業が世の中にあることは間違いないでしょうけど、そもそも、「ブラック企業」って、どの程度の企業をブラックというんでしょう。

言葉が先行しすぎてる気がしないでもありません。ご存知の方はご教示のほど。

いつも行くと、ホッケ以外の焼き魚がないのは不満ではありますが。

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日曜美術館・高村光太郎~十和田湖の智恵子

2013-10-06 11:11:08 | Weblog
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私が子供の頃に「智恵子抄」というTVドラマがあって、母方の祖母が大好きでよく見ていました。

奥さんの気が狂ってしまう(放送禁止用語)という、子供ごころに暗いドラマだったので、大人は何でこんなもの見るのだろうと不思議に思ったことがありますが、おかげで智恵子という人を知りました。

その夫が高村光太郎という高名な彫刻家だったのを知ったのは、中学校の教科書に光太郎の「手」が掲載されていたのを見た時からでした。

ウィキでドラマをチェックしたら、高村光太郎が丹波哲郎で智恵子が岩下志麻という濃厚なキャストですね。画商が金子信夫というのも納得です。


栗30コに米3合。市販のだし汁大さじ1杯に塩小さじ1杯で炊き込みました

日曜美術館では智恵子の狂気にはほとんど触れられていませんでしたが(下世話ですが、一番知りたいことなのに)、智恵子が光太郎と出会った時の強い眼差しと、心の病にかかった頃の目つきとは明らかに別人。

何があったのかは今となっては知るよしもありません。

昨年購入してまだ2回しか使ってない「栗くり坊主」 です

光太郎の「手」は最も有名な作品ですが、最も影響を受けたというロダンの傘下に作風があります。

個人的に好きなのは柘榴やセミの小さな木彫でしょうか。
日曜美術館の解説では、技巧的なことを賞賛してましたが、あの作品の真価は柘榴やセミの存在感でしょうか。

技巧はセミの生命感を出すために必要だっただけで、むしろそれ以上余計な労を凝らしていないと言う感じです。

光太郎の生活が安定しない、困窮していたというのも驚きで、このあたり一連の作品が、そのために作られていたというのも不思議な感じ。これも作品の他力本願でしょうか。



晩年、岩手の花巻に移り住んだというのも初めて知ったこと。

そういえば以前に訪れた十和田湖にあった2体の裸婦像、あれは高村光太郎のものだったのかという感想でした。

この彫刻に関しては進行役の井浦新氏と同じ意見で、「なぜ、ここに?」という違和感がありました。

十和田湖のうら寂しい風景に智恵子をモデルにした裸婦が2体。
なんだか寒そうなのに、妙に裸婦の体が豊満なのも不思議な気がしました。

そして何より、なぜ智恵子が2体?

私にはその意図がよくわからないのですが、光太郎本人でないと知り得ない何かがあったのだと思います。

謎ばかり残る2体の智恵子像でした。


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活躍してます、タジン鍋!

2013-10-05 10:32:27 | Weblog
週に1度は使っている大活躍のタジン鍋

本格的なモロッコ料理なんて知らないのですが、最近は蒸し焼きの塩梅がわかってきたので、ホントに重宝してます。

痛風持ちの強い味方であるだけでなく、冷蔵庫の整理にも最適。
ただ、野菜から汁が出るので、今のところ肉に塩味と柚子胡椒をまぶす味付けだけで、醤油味、味噌味はやりません。

どなたか、タジン鍋のレシピ・・・オススメがありましたら、ご教示のほど。

また、当方は魚介タジン、未体験です。
合わせてよろしくお願いします!
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「まな板弥勒」の他力本願

2013-10-04 09:58:50 | Weblog
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米国人クライアントに依頼された「まな板弥勒」ですが、ようやく本チャンの板に下絵を描きはじめました。

ところがこのまな板、包丁の跡がはげしく残っていて、かなり描きにくい。下描きは鉛筆で描きますが、芯の先に包丁の跡がひっかかって滑らかに筆が走りません。

もちろん描きにくいから作品にマイナスになるわけでもなく、写真を見てもおわかりのように、クローズアップにするとなんだか石窟の壁画みたいです。

米国人クライアントは、フリマでこのまな板を見つけた途端、私に描いてもらおうと思ったそうですが、実は私・・・包丁の跡がいっぱいのまな板に筆を起こそうという気が起りませんで、下描きを完成させてからしばらく放置していました。



ところが、実際に下絵をまな板へ移してみると、これが良い頃合いのアジが出てきてる。これは描き手より依頼主のインスピレーションの方が勝っていたということでしょうね。
包丁の跡が、弥勒菩薩の姿によく合いそうです。

想像もしてなかったことで、これぞまさに他力本願。

他力本願とは、他人に依存するという意味ではありません。自分の力の及ばぬところで、世の中は成り立っているということでしょうねー。



とはいえ、このまな板。
そのままでは作品の支持体になるのには不十分です。

故宮博物院の「豚肉」は、自然のままの石ではなく、実はかなり加工と着色を施しているのですが、このまな板もそのままでは作品になりません。
まな板の下地を生かして、微妙な着色と加工が必要かな。

↓ こちらは すでに完成してある、別のまな板弥勒。
これをマリナ・リナルディの展示会で見た米国人クライアントが、ご自分で見つけたまな板を持って依頼してきたというわけです。



さて、こちらのこのまな板。
私が横浜は綱島に住んでいた時に13年間使っていたものですが、見ての通り包丁のあとはそれほど目立ちません。

私が切れない包丁を使っていたのか、それとも使い方が穏やかだったのかわかりませんが、クライアントが持ってきたまな板の持ち主。

いったいどういう人が使っていたんでしょうねえ?
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”あまちゃん”から”ごちそうさん”の他力本願

2013-10-03 09:56:49 | Weblog
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昨日は久々のアセナランチですが、日替わりメニューは何とひよこ豆と鶏のカレー。シェフの気まぐれで作ったカレーがあとを引く味です。見た目は普通のカレーですが、スパイスのブレンドが独特で食べたことのないカレー!

あまちゃんが終わって、新番組ごちそうさん。 視聴率は20何%と好調なようですが、これはいわば慣性の法則で、あまちゃんの好調さを引き継いだものでしょう。

あまちゃんの初回は、純と愛の不評を引き継ぎ、低調な数字だったと言います。これはある意味、低調さも慣性の法則だったと言えるでしょう。

仕事もそれに似たところがあって、売り上げを上げてる部署にいると(私はサラリーマンじゃないけど)、実績を上げてることになるだろうし、低調な部署にいれば、実績が上がってないことになるので、数字というのは他力本願なところもあるかもしれません。



実は「ごちそうさん」。
「あまちゃん」の時みたいに集中して見ると時間を取られるので、見たり見なかったりですが、時計がわりに見る朝ドラの役目としては無難な発進みたいですね。

岸田劉生の麗子像みたいな、め以子役の子役。 かわいいという声もあれば、女性からは「かわいくない。ジャムを横取りしようとする男の子の方がかわいい」という声もあります。

女の人って、小生意気な男の子が好きなのかな?

め以子役の子役は、近頃珍しい顔の子役。 いったいどこから連れてくるのでしょうね。どんな大人になるのかわかり



あまちゃんの終わり頃は、ドラマも安全運転でしたけど、新番組もなぜか安全運転。

朝からドキドキしたくないという視聴者のためには、時計がわりにうってつけの今の朝ドラは良いのかもしれません。

他力本願を感じる朝でした。
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京都美山、絵地図がUPしました!

2013-10-02 09:52:04 | Weblog
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美山の絵地図が完成しました。といっても印刷物はまだ上がっていません。

データがUPしたのは先週の話で、美山北地区の会長チェックが済んだら印刷ですが、「集落のみんなに見せてから返答するとのこと」。

みんなに見せてからって・・・。
ぶるぶる。

美山のみなさん! もう、大きな修正はご勘弁ですよ~(真顔)。


美山の写真はこちらから!
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山崎豊子~「沈まぬ太陽」のモデル

2013-10-01 09:56:58 | Weblog
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絵地図の裏面に使用した、初穂の美山かやぶきの風景です。

山崎豊子氏死去。
米寿ということでしたが、何となくもう少し長生きしてくれそうな気もして、年に不足はないとはいえ残念なニュースでした。

この人の作品、わたしは長編はだいたい読んでいますが、どれも面白いですね。

作品の多くが映画化、ドラマ化されてますが、若い人は、この人が原作だと知らずにドラマの名前を覚えている人も多いのではないでしょうか。



山崎豊子は男性の嫉妬を書かせたら右に出る者がいない作家だったと思います。

多くの場合、男の嫉妬は社会的地位やヒエラルキーに由来することが多いのですが、それが医学会であるとか、商社、航空会社など、大きな組織になるほど、その軋轢は大きくなります。

ある意味、男の作家では書けなかったことが、この人には書けたのだと思います。



作品の本質にあまり関係ない話ですが、「沈まぬ太陽」の主人公、恩地元のモデルになった人に小倉寛太郎という人がいます(先に拙ブログでも近い話を書いたことがありますが)。

小説と同様、日本航空の労働組合長をしていた人で、たまたま私の親友の父上に小倉寛太郎の先輩(東大時代の)という人がいたのですが、とにかく頭は良い、弁は立つ。しかも長身の二枚目で(今でいうイケメンね)、同僚女性の人気もハンパではなかったそうです。

その友人の父上は、陸軍士官学校卒。
戦後、マルクス主義に走るものの、東大時代に共産党の宮本顕治と大げんかして、民政とやらを作った強者。
その後、早々経営者に鞍替えして、最終的には経営コンサルタントをしていたという方です。



さて、竹内力が銀行員時代、彼を見に近所の女性が預金をしにきたなんて話がありますが(今はやや劣化しましたが。そもそも竹内力の例が適切かどうか・・・)、たぶん小倉寛太郎氏もそんな感じだったのかな。

女性だけでなく、男性からの人気もあったそうですが、本人にとっても会社にとっても不幸だったのは、どこに行っても労働運動をはじめてしまうこと。

三越から日本航空に移った時、友人の父は小倉氏に「もう、お前。労働運動はやめろよ」とキツく念押しをしたそうですが、周りから神輿になったのか、本人の持ってる性なのか、結局「沈まぬ太陽」の恩地元のモデルになった人生を歩んでいったとか。



映画では渡辺謙が恩地元の役をやってますが、たぶんモデルになった本人もヒケを取らない男だったのでしょう。

山崎豊子先生が小倉寛太郎にどんなアプローチをしたのかは、わかりませんが、彼の魅力に巻き込まれたのだろうというのは、想像にかたくありません。

ただ、労働組合が6つもあったという、かつての日本航空。
組合だけが諸悪の根源ではないでしょうが、そのあたりは小説と現実の乖離があるかもしれません。

友人の父上曰く。
「あれほど能力があって魅力的な人物が労働組合にいると、会社がどうなるか」とおっしゃっていたそうです。

余計な山崎豊子談話で失礼いたしましたが、今度は未読の「運命の人」でも読んでみようかな。
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