さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

好調に攻めていたが、狙われてもいた 坂晃典、木村吉光にTKO負け

2021-12-15 08:35:31 | 関東ボクシング




昨日行われていた後楽園ホールの試合、OPBF王座決定戦だったんですね、日本スーパーフェザー級王者坂晃典と、木村吉光の一戦ですが、もうBoxingRaiseで見られるようになっていました。
てっきりTBS放送の後から、という縛りがかかると思い込んでいましたが、今やTV局にとり、ボクシングはそこまでする対象ではなくなっている、ということでしょうか。



初回、坂が出て、リラックスしながら打つパンチがナチュラルに強い。
坂が右で脅かし、木村が後退しながら外す。
2回も同様。互いに右、坂の方がヒット。右クロスと左ボディ、対角線のコンビを織り込んだ攻撃で、木村にロープを背負わせる場面もあり。

この辺までは坂優勢。しかしもう少し、左で「突き放す」感じがあると良いなあ、という風でもあり。
すると木村が、坂の出鼻に小さい左フックを覗かせ始める。
あ、これか...と、結果知っているからですが、そう見えました。

攻める坂が左当てるが、木村が左フックをカウンター。綺麗に入って、坂が足を跳ね上げてダウン。
木村の追撃はゴングに遮られる。

3回、坂はすぐに巻き返しを図り、右をボディに送るなど、また攻める流れに持っていく。
しかし木村、また小さい左フック振る。しっかり狙えている。
木村、ダイレクトで右クロス決め、もう一発。左右連打で追撃、坂の身体がコーナーによろめいて、レフェリーが止めようとしたときに、もう一発左フックが入って、フィニッシュ。
坂はコーナー下に崩れる格好で倒れました。痛烈なTKOでした。


試合後、コーナーで苦笑い?という感じの坂に対し、木村は雄叫びを上げていました。
タイトルマッチにここまで勝てずに来た木村の方は、文字通り背水の陣だったのでしょう。
簡単に、その違いが明暗を分けた、と言ってしまえるものでもないでしょうが、やはりコンスタントに試合の機会を得られないことは、坂にとって響いたように思います。
どうしても、自分から試合を作って勝負していく選手だけに、そのリスクも大きい。それは坂のどの試合についても言えることですが...。


日本タイトル獲得前から、先方の興行に呼ばれる形で、東京、大阪、山口など場所を問わず闘い、悉く倒して勝つ「日本全国KOの旅」とでもいうような趣の連続KO街道でのし上がってきた坂晃典は、階級を上げていよいよ安定してくる、と期待したところで、コロナの影響もあり、また地元での試合がなかなか叶わず、そして今回、井上尚弥と日程被りという不遇の中、敗れてしまいました。
白黒はっきりした勝負をしてくれる、坂晃典の蠱惑的な魅力は変わらず見えた、と言えはしますが、やはり、結果は残念です。むー。




昨日は内藤律樹vs麻生興一戦もあり、こちらも予想を覆して、麻生が勝って、OPBFのスーパーライト級王者となったそうです。
こちらはまだチェック出来ていませんが...細かいこと、全部すっ飛ばして言いますが、昨日の両国のアンダーにこれらの試合入れて、ライブ配信していたら、相当反響があったことでしょうね。
悪いですけど、メインカードがあれで、あの料金だったことの埋め合わせ、というと言葉が悪いですが、それには充分だったのではないでしょうか。
映像で見る限り、客入りはやはり寂しく(制限かけているから、というのを超えるものがありました)、ドラマティックな二試合には見合わない風景だったなあ、と。
こちらも残念に思うポイントでありました。




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祝着至極、とはいかずとも 井上尚弥、凱旋試合で勝利

2021-12-14 23:10:06 | 井上尚弥



ということでAbemaのPPVにて見ましたので、感想を。あくまで簡単に。


初回、井上尚弥は「見て立った」感じ。アラン・ディパエンもほぼ同様。
2回から井上がジャブを強く打つ。ダブルジャブは二発目を速く。ボディにも散らす。
3回になると井上の右ストレート、左フックがボディに再三決まるが、ディパエンが耐えて返す。

井上、無理に倒しにいくでもないが、想定外のタフネスにちょっとだけ焦り?
4回、連打して追撃の際、右でディパエンの頭、硬いとこ打ったかな、と見える。心配。
5回あたりになると、井上のコンビネーションが3発から4発に増えて、けっこう入るがディパエン倒れず。

6回の最初のへん、少し攻めさせて接近させ、相手の身体の力を見た?
7回、右フック効かせて、8回左フックで倒し、追撃でストップとなりました。


何しろワンサイドに打ちまくっていて、しかしガードが崩れず、身体も強いディパエンに、闘いながら驚いていた?井上ですが、勝ち負け自体をどうというような試合ではなかったことも確かでした。
攻撃力も技術も、だいぶ差のある相手でしたが、さりとて油断し、楽をしていたら、間違いが起こり得る可能性は...ゼロではなかった、とも思いますが。

そういう相手に、海外での試合が続いたあと、母国で「凱旋試合」を闘い、ちょっと長引いたけど、きっちり勝つ。
昔の中南米あたりで、スーパーチャンピオンと目される選手って、こういう試合してたんかなあ、と思うような、終わって見ればそんな試合でした。


正直、前にも書いたように(日本の過去の常識でいえば)高額のPPV料金を払うカードは別にある、これじゃない、という思いは変わりませんでしたが、それはひとまず置けば、国内で試合をし、長いラウンドを闘えたことは、まあ悪い話ではない。
そりゃ、目出度い、祝着、と言えるほど良い話でもないわけですが。ノンタイトル戦みたいなものだ、という見方も、やっぱり変わりませんし。
しかし、あれこれ飛ばして言えば、今組める試合がこれだったとしたら、闘わずにいるよりは良い、というところですね。


右拳の具合はどうなのか、何も無ければ良いですが、その心配を除けば、来春の話は楽しみです。
個人的にはもう、4団体はいいかなと。ゾラニ・テテのWBSSトーナメント離脱、そのテテを破ったカシメロの迷走と、これをいつまでも追いかけねばならない義理は無いですしね。

バンタム級において、唯一、ドネアとの再戦は、彼が直近の二試合で示した健在ぶりをもって、闘われるべき意義あり、と思いますが、さりとてスーパーバンタム級で「良い話」があるなら(あるんでしょうか?会社違うけど...)、そちらでも良いか、と。
大橋秀行はカシメロのことまで込みで、色んな事言っては記事書かせて、世論の反応を見ているんでしょうが...まあ、今度こそ然るべき試合を組んで貰いたいものですね。



興行全体について、放送について、そして想像以上に目出度い結果となったセミについては、また後日何か書くとします。
今日のところはこの辺で。



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ボクシング漬けの日曜日、その極限 2/2 ロマチェンコ「封殺」ならずも連勝

2021-12-14 06:52:26 | 海外ボクシング





日曜の感想文、前回から続きます。


勅使河原弘晶のKO負けを見終え、WOWOWプライムの方はしばし、ドネア特集の時間へ。
オンデマンドの方はというと、セミのジャレド・アンダーソンがKO勝ちしたあと、ボブ・アラム90歳のお誕生日会をやっていました。

グローブ型のケーキに、小さい花火みたいのつけて、タイソン・フューリーがお祝いの歌を歌うために登場。
ビデオメッセージには著名なボクサーや関係者が続々登場。オスカー・デラホーヤが出てきて、おお、と思ったら、何とその後にはドン・キングまで。
道を極めた者同士の仁義、ってことなんですかね。
まあ、こちらとしては、別にめでたいとは思わぬまま、メインまでしばし待つのみ。ようやるわ、と...。



そんなこんなで始まったワシル・ロマチェンコ再起二戦目は、ガーナの強振パンチャー、リチャード・コミーとの元王者対決。
ロマチェンコが上下の打ち分け、サイドに回っての切り返しなどに変わらぬ巧みさを見せ、7回には連打で攻め込んで左フックでダウンを奪い、終盤コミーの粘りを許すも、大差の判定勝ちを収めました。

しかし、コミーの闘志、頑健さ、ファイターとしてのモラルの高さもあり、中谷正義戦に続くKO勝ちはならず。
ライト級としては小柄なロマチェンコが、それでも能動的に試合を作って行くが、スーパフェザー級までのように、相手を降参させるほどには打ち込めず、また、全てを外しきってしまえるわけではない。

積極的に動いて外し、打っていくため、浅く、芯を外したものではあってもヒットを喫する場面も散見される。
かつて相手から反撃の意志すら消し去る「封殺」を続けていた頃から思えば、ライト級という戦場におけるロマチェンコは、完全無欠の精密機械ではなくなっている。
強敵コミーとの闘いは、改めてその事実を知らしめるものでした。


それを嘆き、或いは悲しむ向きもあることでしょう。
しかし本来の階級を超えてなお、そのリスクを背負って闘い、その技巧はしっかり通じるところを見せている。
現王者ジョージ・カンボソスをはじめ、上位陣の誰と闘っても、差の大小はあれど、有利の予想が立つことでしょう。
その事実、その凄みをもって、やはりロマチェンコというボクサーは、仰ぎ見るべき存在であり続けています。
この日見せた、技術レベルは高いまま、能動的に試合を作って行く姿勢を譲らない姿であれば、カンボソスやロペスはおそらく、その軍門に下ることになるだろう、と思います。


しかし、たったひとりだけ...かつての完封マシーンだった頃ならともかく、ある意味「降りてきている」ロマチェンコを攻略しうるとしたら...その可能性を秘めているのは?となったとき、ひとつだけ思い浮かぶ名前と顔がありますね。
先週、傷めた左拳が心配ですが...。

また「会社の違い」が邪魔をするのかもしれませんが、来年のうちに、なんとかその対決を見たいものです。
ほぼ間違いなく、真のライト級世界一は、そのカードによって決まることでしょうから。



そんなことでプライムの方に戻り、録画中のレコーダで「おっかけ再生」をして、ドネア戦まで3試合を見終えました。
セミセミのブランダン・リーは初めて見ましたが、抜群の体格、パワーに感心。「幹」の部分は相当強い。逸材でした。
もっとも、素材として、というところから先の課題は、これから色々あるのでしょうが。

セミですが、クドラティロ・アブドカハロフ、という名前に見覚えあり。
あれ、なんでこんな、5回か10回か復唱しないと言えないような名前を知っているのだろう、と思ったら、以前小原佳太とフィラデルフィアで闘った選手でした。
そういえばあの後どうなった、と思ったら、試合枯れ?で色々大変だったとかいう話で、それが影響したか、抜群に強いというわけではなさそうな相手に敗れてしまいました。


当たり前ですが、ボクサーひとりひとりにさまざまな試練があり、厳しい闘いは誰にも等しく課せられるものです。
その道程の、どの辺りにいるのかどうかで、見えてくるものも違ってくるのですが、時にその違いを乗り越えてしまうボクサーもいますね。
メインなどはその、余りにも極端な例たるボクサーが、見事勝利したわけですが...。




そんなことで、ボクシング漬けの日曜日、その最たるものと言える一日が終わりました。
言うとる間に今日は井上尚弥です。AbemaによるPPVで見ます。
メインカードについて思うことは多々ありますが、実際の試合見て、違うことを思う場合もありますので、今はひとまず黙るとして、アンダーは色々充実、セミもメンデス、谷口戦ですし、しっかり見たいと思います。





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坂晃典、木村吉光戦はTBSで 日曜深夜録画放送

2021-12-13 23:02:30 | 関東ボクシング


明日は当然、井上尚弥vsアラン・ディパエン戦、ウィルフレド・メンデスvs谷口将隆戦の話題一色かと思いますが、同時にホールではDANGANとガッツファイティングの合同興行が行われます。
坂晃典vs木村吉光、内藤律樹vs麻生興一のダブルOPBFタイトルマッチです。


これ、映像はどこで見られるんだろうと思っていましたが、日曜深夜、TBSで日曜深夜の録画放送という情報を、TBSガッツファイティングで検索して、やっと見つけました。
いつ頃から出てた情報なんでしょうかね、これ。
先の田中恒成、石田匠戦と抱き合わせで、一時間の放送枠。当然、関東ローカルです。


はてさて、この枠内で、果たして坂の試合がどのくらい流れるものやら。
それに、内藤vs麻生戦については、何の記述もありません。
この放送の後から、という条件付きで、BoxingRaiseの配信があるものと期待しますが...。


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ボクシング漬けの日曜日、その極限 1/2 タパレス、KO勝ちでランク降下?

2021-12-13 12:11:38 | 海外ボクシング


朝からボクシング漬けの、と言えば言える日曜日が最近は増えてきました。
府立で昼夜二部興行見て、帰宅後、昼間のWOWO生中継を録画で見た後「いったい自分は何をやっているのだ」「さすがにこれは狂っている」と、ふと我に返ったこともあります。

しかし昨日は、本当に家から一歩も出ないのに、TVとネットで未明から早朝、昼前から夕刻手前までずっとボクシングをやっていて、もしまともに全部見てたら、バホディル・ジャロロフの対戦相手と同じく、こっちも倒れていたかもしれません。



土曜の深夜26時、つまり日曜午前2時。WOWOWプライムでは、飯田覚士と亀海喜寛のご両所が、日テレ鈴木健、WOWOW増田美香の両アナウンサーと共に並び、生中継番組が始まりました。
しかし「このため」に生中継を組んだWOWOWさんの善意というか目論見というか(笑)そういうものを吹き飛ばす、ジョンリエル・カシメロ計量放棄により、メインカードはあえなく中止。

しかも、この放送見始めるまでは「せめてこれがあるなら、居眠りしながら画面眺めるくらいでも」と思っていたWBO暫定戦、ポール・バトラーvsジョセフ・アグベコ戦も結局、行われず。
知らずに2時からTVつけたんですが、それを知って、さすがにすみません、ジャロロフの試合が終わったあと、消して寝ました。何も謝ることはないですか。

それにしても、英国のマラソン王者(今時、あんな選手いるんやなー、と)サニー・エドワーズがメインの興行を、日本のTV局が生中継するなんて、本当に「珍事件」です。世の中、どんなことでも起こるもんです。
WOWOWのスタッフや実況解説陣には、同情を禁じ得ないというか。それこそスタジオに罵詈雑言が飛び交っても不思議ではなかった(そんなことはないですか)ところ、ぐっと抑えて3時間ちょっと、無事放送を終えられたようで(残り二試合はまだ録画チェックもしてません。結果も知りません)、その忍耐力はもはや崇高と言えるレベルか。皆様、お疲れさまでした。



そんなことで朝遅く起きて、DAZNでコナー・ベンvsクリス・アルジェリ戦があることを思い出し、メインだけチェック。
ベンの4回KO勝ち。ワンツーで前のめりに倒す「絵」はインパクト抜群。
アルジェリが「相変わらず、派手に倒れよる」のも事実ですが、それを差し引いても「ベンのせがれ」は全体的に良くなってきたなあ、という印象でした。



お昼前、11時からWOWOWオンデマンド開始。アンダーではトップランクの若手が続々。
キーショーン・デービス、東京五輪後最初の試合でしたか。早く終わってザンダー・ザヤスの試合も流れる。
ヘビー級のサウスポー、ジャレド・アンダーソンも登場。揃って、アーリーKOでつつがなく。
さすがにトップランク、次代を睨んで良い選手獲ってます。そうでないというか「別枠」の選手もひとりいてましたが。

ニコ・アリ・ウォルシュ、どうなんですかね、TV放送の枠内に入れる理由はもちろんあるんでしょうが、実力の方があのその、という感じです。
デビューしたという話までは目出度いですが、やっぱり先の話になると...難しいところですね。



で、途中で正午になったんで、WOWOWプライムに切り換えたら、早々にマーロン・タパレスvs勅使河原弘晶が始まりました。
しかし勅使河原、初回からタパレスの右フックを見れず、側頭部に食い、左アッパーを顔のど真ん中「芯」に食う。仮にも世界上位同士の試合で、あまり見られる「食い方」ではない。
ダメージ甚大の勅使河原、ワンサイドに打たれてダウン。初回終了間際に二度目のダウン。レフェリー、えらく気遣って?続行させ、ゴングに救われたものの、2回、すぐに右フックで倒されると、今度はノーカウントでストップでした。

正直言って、日本のこのクラスで数年、上位と目されていた人気選手ではあるものの、岩佐、和氣、小國や久我らとの対戦はなく、下降期の大森将平に勝ったくらいで、世界どうという(べき)選手でもないだろう、そもそも世界レベルでは、あの無いも同然の防御では...と思ってはいましたが、タパレスの状態もよくわからない。
基本、不利かとは見ていましたが、この内容は想像以上のものでした。タパレスが意外に?良い感じに見えたことも含めて、ですが。

試合内容はもう見たままで、実力が結果に反映された、としか言えませんが、ひとつ気になるのが、こちらの記事の最後
IBF3位と4位の対戦だったはずが、試合が終わると両者のランクがタパレス9位、勅使河原10位に落ちた、とのこと。
これはいったい、どういうこっちゃ、と。何で試合して、負けた方はともかく、勝った方まで落ちる?

ランキング管理が厳密な、と言われることもあるIBFですが、所詮は...と見るしかなさそうです。
今後これが改められないなら、タパレスが気の毒です。続報があるかどうかわかりませんが、要注目ですね。
しかしこれ、結果が逆だったらはたして...?




と、あまり長くなるのもアレなんで、ここで分けて、明日に続きます。
続き物にするほどのものでもないですが、ひとまずこの辺で。



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改めて「最強挑戦者」の資格を示す ドネア、ガバリョをボディで沈める

2021-12-12 20:23:23 | 海外ボクシング




そういうことで、何から感想書いたら良いのかわからない日曜日ですが、とりあえず明後日、防衛戦を行う井上尚弥との絡みもあることでしょうから、ノニト・ドネアのKO勝ちから。



WBC暫定王者レイマート・ガバリョは、エマヌエル・ロドリゲス戦の印象からすれば、ひとつグレードアップした?印象。
立ち上がりは伸びやかな感じで、左右のロングを飛ばす。若さが良い意味で見える好スタートか、と思いました。が。

対するノニト・ドネア、悠々たるもの。力み無くリターンを返し、右クロスをダイレクトで被せると、徐々にガバリョが硬くなりはじめる。
ドネア、強振せず軽め?に打つ感じだが、ガバリョにとっては、もし同じパンチを強振されたら、というイメージが残るものだったか。

2回、ドネアの右を外し、ガバリョの左フックカウンター。好打したが、これも狙い通りに当てて良い気分、という感じではなさそう。追い詰められて咄嗟に、というところか。
この回ポイントはガバリョだが、何かドネアが見ている、ガバリョが「見られている」ような印象。

3回、ガバリョはリラックスしたいのか、左を下げて構えるが、さっそくドネアが右ダイレクトで突く。
ガバリョは左カウンターをまた見せるが、互いの打ち終わりを狙い合う攻防で、ドネアが振りの小さいパンチを力み無く、軽く打てている。
ガバリョ見るからに余裕がない。空振りして引いて、ロープ際で同じサイドステップをしたところ、右食ってしまう。
この回、ガバリョ右瞼から出血。

4回、ドネア右ボディストレートで「お伺い」。次の右は上に。肩越しに入る。
ガバリョは時にフリッカー気味のを織り込んで、左ジャブを繰り出し対抗するが、次の右ストレート応酬の段になって、正対しての攻防で左ボディを食らってしまう。
結果として、ジャブを端緒に正面からやり合う展開は、強打のベテラン相手に採る戦法ではなかった。ジャブを使って、むしろ力勝負から逃げなければならなかったか。

そしてもちろん、ドネアの方は、ガバリョのジャブを当てられつつも、その「好都合」を結果に繋げる仕事を遂行しました。
左ボディ一発、ロープから回り込むガバリョに、左、右と上に突いておいて、また振りの小さい左ボディ。ガバリョ跪いてしまう。
ガバリョ一度は立とうとしたが、再び膝が折れ、立てず。
レバーを打たれた痛みの凄まじさは「頭のてっぺんからつま先まで、針で刺されたような」ものだという話を聞いたことがありますが、ガバリョも似た状態だったのかもしれません。



ノニト・ドネア、若く強打を秘めた暫定王者を、またも序盤のうちに「仕留め」ての勝利でした。
ノルディ・ウーバーリ戦に続くその勝ちっぷりは、まさしくPredator、捕食者のそれでした。

そして、今回のフィニッシュには、さいたまのリングで井上尚弥に実質カウントアウトされたあの11回、上の右アッパーから左ボディ、という打ち分けと、基本的には同じ構図が見えました。
同じレバーパンチでも、腹を締める瞬間を外すため、上と見せておいて、強打するより正確に当てることを主眼に置いた、組み立てと精度が光った一発。

数々の豪快な勝利と、数少ないが苦しい敗北の両方を血肉として、ノニト・ドネアは失ったもの以上の力を手にし、闘い続けている。
今回の勝利もまた、改めて、井上尚弥にとっての最強挑戦者として、再び彼と相まみえる「資格」を、堂々と示すものでした。



それにしても本当に、怖ろしい39歳もあったものです。
エデル・ジョフレがフェザー級で、メキシコの英雄「赤き鷹」ビセンテ・サルディバルをKOしたのは37歳の時だったでしょうか。
何しろ中・軽量級ゾーンの中で、キャリアの長さ、晩年というべき時期での強さや凄みという点でも、史上希なるチャンピオンだと言えるでしょう。


来春、順調に物事が進めば、また日本のリングで、その神々しく、しかし怖ろしくもある勇姿を見ることになります。
何か、楽しみないような、怖いような、そんな気持ちにさせられるKO劇でした。



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「採点競技」としては接戦だったが 田中恒成、スプリットで石田匠に勝利

2021-12-11 20:05:22 | 中部ボクシング




ということでparaviの配信を見終えました。
インタビューの最中でブチッと切って終わったのは、所詮はTV局の片手間、としか言いようのないもので、いい気はしませんでしたね。


それはさておき試合ですが、ポイント的には接戦だったかと思います。
初回は石田匠が長いジャブで支配。クリアに石田。
しかし2回、石田は変わらずジャブがよく出るものの、田中恒成が徐々に出て、両者の間合いが縮まってもいる。
石田のジャブがロングでなく、ショートの距離になりはじめたように。田中ボディ、ワンツー、左右のヒットも。やや田中?迷う回。

3回、石田はワンツーも繰り出すが、田中距離を詰め、強い右のヒット。石田、鼻から出血。田中の回。
4回、石田のジャブが出ても、田中を食い止められないのがはっきり見える。田中の右がインサイドに。ボディ攻撃も。田中。
5回、両者、攻防の切り換え鋭く打ち合うが、田中がその都度打ち勝つ。田中。

6回、石田は目先を変えて、右フック。ダブルジャブからワンツー、アッパーも。田中の右ダイレクトもヒット。
ポイントは石田か。しかし田中、割と余裕はある?サイドに速いステップ、切り返しで外す動きも。

7回、田中の左ボディ打ちが再三ヒット。これだけ数が入ると「じわじわ効いてくる」かどうか以前に、ヒット数としてポイントになる。
ダブル、トリプルジャブで追って右も。クリアに田中の回。

8回、終盤に田中が詰められるか、しかし疲れも出てくるか、と思っていたところ、石田が苦しいながら盛り返す。
右アッパー、左フックがヒット。解説の田中亮明が「丁寧」と褒めたとおり、石田は頑張って、防御の質を落とさない。
しかし田中、ボディ打ちから連打で攻め込む。この回迷う。数では石田、有効「度」では田中。難しい。

9回、石田のワンツー、田中のガードを割ってヒット。田中は上下のコンビを繰り出すが、石田右フック。
終盤、田中が打ち合いを仕掛け、手数と攻勢は見えたが、石田の方が正確にヒットしている。石田。
10回、互いに勝負に出るかと思ったが、1分ほど見合う感じ。この辺は少し意外。田中、駄目押しが要るとは思っていない?
少し間合いが空いて、石田がジャブを繰り出す。石田は必死の形相、田中はいつも通りの感じで終わる。石田。


採点は2-1で割れ、いずれも僅差。96-94で割れ、ひとりは96-95で田中。
さうぽん採点は、石田田田田、石田田石石、96-94、田中ですが、迷う回がふたつあり、ドロー、或いは石田の勝ちもある、というところです。



外国人ランカー相手にデビューし、その後も早々から「世界路線」に乗った田中恒成ですが、同時にミニマム級からのスタートで、4戦目の原隆二戦を皮切りに、木村翔、田口良一、そして井岡一翔に石田匠と、4階級に渡って、日本のトップクラス同士の試合を闘ったことになります。
こういう形で、ファンの期待に応え続けている田中を、まずは称えたいと思います。

今回の再起戦とて、他に楽な道はいくらでもあったはずですが、4階級目で体格の利はなく、質的向上を問われるところで、115ポンド級としては最上限の長身とリーチを持ち、しかも日本王座5度防衛、かつては世界1位まで上った石田匠と闘うというのは、まずそれ自体が称賛に値する「挑戦」だと言えるでしょう。


その上で、ポイント上は接戦だった、どちらに転んでもおかしくなかった、という試合に見えたのは事実です。
石田のジャブによる「支配」は許さなかったものの、外しきっての「無効化」はもとより、攻撃面での完全攻略もまたならず。
そして、距離を詰めてボディ攻撃に成功して、試合の主導権を握りつつはあったが、懸命な反撃を許しもしました。

4階級目に転じた初戦で厳しい敗北を喫し、再起戦としては相当難しい相手と闘ったことを考えれば、評価を下げるような試合だったとは思いません。
むしろ、もっと苦しんでいたとて不思議のない試合だった、と思うくらいです。
課題としては、やはり攻撃力に、もうひとつ威力があれば、とは思うところです。体格的にはかなり「出来」てきたように見えますし、試合を重ねればその分、さらに良くなっていくでしょうが。

ただ、そういう普通の話とは別に、少し気にかかったのが、終盤、もちろん疲れもあったでしょうが、ちょっと「緩めた」?感じもあったように見えたところです。

本人は試合後、精神的に良い状態で闘えたという意味で、笑顔でリングに上がれた、というようなコメントをしたようですが、今後の試合で、この辺が良い方向に作用するのかどうかは、傍目には何とも言えない部分です。
とはいえ、傍目が思う以上に、手応えとしては石田匠を打ち込めていた、ということも含めての話だったとしたら、それは今後に、明るい展望ともなるのでしょうが。



敗れた石田匠、ジャブをあれだけ当てていたのに、という見方も出来るでしょうが、内容的には、数字が僅差であったとて、勝ちには僅かながら届かず、という印象が残りました。
初回を除けば、ジャブは出ていても距離が創出出来ず、突き放せない時間が長く、ボディ攻撃から連打される回数もかなり多かった。
加えて、どうしても一瞬、動きを止めたり身体を曲げたり、という場面もあり。
それもこれも含めて、採点競技のボクシングとしては接戦でも、やはり「闘い」であるボクシングにおいては...と言わざるを得なかった、と。
厳しいようですが、そう見ました。そういう意味では、公式採点は納得のいくものでした。

しかし、その技量がやはり、日本のトップクラスであることも、改めて知らしめた試合内容でもあった、と思います。
相変わらず、日本屈指のグッドジャバーであるところを存分に見せてくれました。浪速のブキャナン、とは言い過ぎでしょうか。
今回、52.5キロという、スーパーフライ級リミットを僅かに上回る契約体重での試合でしたが、それでも減量は相当厳しいはずで、その辺は心配でしたが、田中恒成とのビッグカードで、心身共に充実が見えました。
今後、どういう展望があるのかわかりませんが、階級の変更があったとしても、まだまだやれると見えたし、これからも応援したいボクサーです。



とまあ、細かいことをあれこれつべこと書いておいてナニですが、やっぱり良いカードって組むものですね、というのが、いつも通りの結論です。
10ラウンズ、あっという間の濃密な時間でした。
素晴らしい試合で、楽しい時を与えてくれた両選手に、感謝したいと思います。





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軸足を「あちら」に置く流れのひとつ 尾川堅一、マッチルームと契約/カシメロ戦中止!

2021-12-11 00:03:11 | 海外ボクシング




尾川堅一、マッチルームとプロモーション契約を交わした、とのことです。
DAZN配信の興行で強烈なインパクトを残しての戴冠は、マッチルームにとっては、京口紘人に続く日本人ボクサー「獲得」を決断するに充分な理由となったのでしょう。


とりあえず次はシャフカッツ・ラキモフとの一戦が関門ですが、それを乗り越えたら、DAZN配信興行に出ている同級のホープのうち、誰かと闘うことになるのでしょう。
或いは英国人のWBAフェザー級王者リー・ウッドなども、そのうち候補に挙がるのかもしれません。ジョシュ・ウォーリントンも、クラウディオ・ララに雪辱なれば、クラスを上げてくるのかも。
そうこうするうちに、WBA王者ロジャー・グティエレス戦の可能性もあるかもしれません。または前王者レネ・アルバラードを当てられるとか。


ただし、シャクール・スティーブンソンを同級最強王者とみなし、評価下落の過程にある?オスカル・バルデスがそれに続く、130ポンド級シーンにおいて、やれ統一戦だビッグファイトだ、という話に、直接繋がる朗報なのかというと、微妙なところです。
現状の評価を踏まえた上で、契約期間中に組まれる試合を勝ち抜けたら、その先に「上」の話が出来るかどうか。
それが尾川堅一の現在地であり、彼の「挑戦」はこれから始まる、と見るべきなのでしょう。


国内のボクシングを取り巻く現状は、放送から配信への急激な「シフト」が象徴するように、ボクサーの商品価値、知名度に抜きん出たものがないと、従来のようにタイトル獲得という事実「だけ」ではビジネスが成立しない、厳しいものになっています。
130ポンドのタイトルをニューヨークのリングで獲得した、一昔前なら快挙、壮挙だった勝利を挙げた尾川とて例外たりえず、米国での活動がかなうなら、そちらにも軸足を置くのが、ベターな選択なのでしょうね。

ある意味、世界のスタンダードが、良くも悪くも日本のボクサーにも当てはまる時代になった、と言えるでしょう。
そして、世界的にも選手層の厚いゾーンである、スーパーフェザー級にて、まずはマッチルーム枠内の「リーグ戦」を勝ち抜けるかどうか、というところで、日本人ボクサーが闘うことになります。


それは本来、ファンとして喜ぶべきところなのでしょうが、正直、試合のときにも書いたように、ここまでの彼の闘いぶりには、感嘆させられることは当然あれど、それ以上に「如何なものか」と思うことも、多々ありました。
先の戴冠戦がまた、その要素をしっかり織り込んだものになってしまっていましたし。
せめて、今後の闘いにおいて、結果以前に、その内容が多少なりとも、納得感の強いものになってくれたらなあ、と思いますが...。




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と、配信や中継やと、あれこれ楽しみな土日を迎える寸前に、なんじゃそりゃ、なニュースが。
ジョンリエル・カシメロ、ポール・バトラー戦の前日計量に姿を見せず。体調不良か何かで、試合は中止。王座剥奪の可能性あり、とのこと。


最近、この手の話多いですが、まあ録画でしか見られない時代なら「ああ、残念なことに」で済みましたけど、何しろ生中継やらライブ配信やらで、こちらも身構えて待ってますから(笑)、ひとつひとつの話が重大だったりします。
これだけ試合の数があれば、そのうちのいくつかで、残念なことが起こっても仕方ないでしょうが、カシメロはねえ...結局あれこれ賑わした挙げ句に、派手な空振り一発くれて終わりかあ...という感じです。
何もこの人に限った話じゃないですが、やれる試合はやれるうちにやっとかんと、結局、誰も得をしないってことですね。





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「順当」な勝利への切り換え 小原佳太、キャリアの差見せTKO

2021-12-10 00:20:44 | 関東ボクシング





まず、昨日の試合の配信にまつわる誤記をお詫びいたします。
記事を見直すと、見出しやリード部分に「プレミアム」の語句が入っていたのに、それを見落としていました。
今後、このような情報を書くときは、改めて、かなう限り注意を払うようにします。誠に申し訳ありませんでした。



そういうことで、大慌てで視聴契約をして、配信を見た試合の感想。
小原佳太、初回早々に玉山将也を右ストレートでダウンさせ、2回に反撃の右をヒットされるも、3回から立て直し。
4回、右のクリーンヒットで玉山の左瞼を切り裂き、5回に負傷TKOで勝利。日本王座防衛なりました。


身体の頑健さ、大きさでは小原を上回っているように見えた玉山、初回からプレスかけるが、左右を上下内外から打ち分ける小原、右クロスを外したあと、身体を戻した玉山のインサイドに、ショートの右ストレートを突き刺して、ダウンを奪う。
ただ、好スタートの小原、これなら倒したい、と思ったのでしょう、詰めに出るが玉山が凌ぎ、初回終了間際には逆に右を返してくる。
2回は小原が少し逸った感あり。右アッパーをミスし、同時に玉山の右フックを食らって、ロープへ下がる場面も。

この調子で、耐久力では若干劣る?小原が、悪い回りで消耗する展開だと、ひょっとするとわからんかなあ、と思ったくらいですが、3回からは焦って狙わず、リズム取り直して、軽めに設定し直したコンビネーションを当てていく。
この辺の切り替えは、さすが歴戦の王者ならでは。流石、というしかない。
玉山は変わらず奮戦しますが、4回のカットと、ヒットを重ねられて、5回、二度目のドクターチェックでストップ。
傷はかなり幅が広く、深さもあったようで、仕方ないところでした。


好スタート故に、少し危ない時間帯もあった小原ですが、悪い流れが少し見えたら、すぐ立て直して、終わって見れば「順当」な結果を残すあたり、やはり一流の日本チャンピオンだなあ、と感心させられました。


ただ、今後については、豊嶋亮太や、一度破っている元王者の永野祐樹など、玉山と同じ帝拳勢との対戦が、来年以降見られるのか。
それともそれ以外、或いは「上」に繋がる他の試合があるのか。

どういう展望があるにせよ、しっかり勝って、次に繋げたという一戦でしたが、もし次が「上」の話になるのなら、2回の闘いぶりは、厳しく省みる必要がありそうです。
コロナの影響で、国内の活動に限定された状況で、精神的にも苦しいところ、その影響もあったのかもしれませんが、心身ともに、乱れや迷いが見えたような気がしました。

もっとも、望みであろう「上」に繋がるような試合となれば、その辺はスッキリと、整理がついた状態で闘えるものだと信じたいところです。
年齢的にも、いよいよというか、待ったなしの勝負となるでしょうから。
真に世界への関門といえるような試合が実現するとしたら、それはもう、要注目の一戦です。大いに期待します。



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本日の配信、FODプレミアムでした

2021-12-09 19:02:51 | 関東ボクシング


ただいま配信中の後楽園ホールの試合、FOD無料配信だと思っていたら間違いで、FODプレミアムでの配信でした。
きちんと確認せずに、いい加減なことを書いてしまいました。
数は少ないとはいえ、拙ブログのせいで、ご迷惑をかけてしまった方もおられると思います。
お詫びして訂正します。誠に申し訳ありませんでした。






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