さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

好きに間合いを取られたら苦戦必至、だが 井上尚弥、スティーブン・フルトンに挑む(その1)

2023-07-16 06:39:09 | 井上尚弥



ということで迫ってきました、井上尚弥122ポンド制覇への第一歩、スティーブン・フルトンへの挑戦です。
この試合については、日本の枠を越え、軽量級としては異例のレベルで、全世界のボクシングファン注目の一戦として語れてきました。
インターネットやSNSにより、情報量が増大した今時ならでは、の現象でもありましょうが、軽量級の歴史を振り返っても、このレベルで注目される試合がいくつあったかな、と思います。


ぱっと思い浮かぶのは、ウィルフレッド・ゴメスvsカルロス・サラテの一戦ですかね。
以前こちらでも取り上げましたが、スーパーバンタムとバンタムの、無敗王者同士の激突、という面でも通じます。

まあ、さすがに戦績なんかを並べると、ちょっと派手さが違いはしますが。
ただ、この一戦はゴメスの地元、プエルトリコのサンファンで行われたわけですが、リング外で様々な問題が生じ、結果として、サラテの体調はガタガタ。
元より、当時のプロモーターに、公正な試合を観客に見せたいとかいう気はさらさらないし、当地の観衆とて、そんなことは知ったこっちゃない。
場内異様な雰囲気の中、ゴメス絶好調、サラテ不調、という対比で終わりました。
率直に言って、どちらが真に偉大な王者か、というようなレベルの問いに答えるような試合ではなかった、と思います。



しかし、いかに今回の試合が、井上のホーム、日本で行われるといっても、そんな非常識レベルの事態が起こりはしません。
この辺はとやかく言うまでもないことです。
フルトンにとっては、敵地日本で初の試合ですが、世界の常識から見れば、日本の大手プロモーターは「敵」たる来日選手を、公平に扱う、という表現を越えて手厚く遇します。もちろん一部、例外はあるにせよ。
過去に来日した外国人のチャンピオンの中には、日本で試合をしたのと同じ感覚で、韓国やタイで試合をしたら、あまりの落差に驚いた、と述懐する者もいるそうです。


7月25日、有明アリーナのリングに立つスティーブン・フルトンは、おそらくそのような不利を被ることはほとんどないまま、ほぼベストに近い状態のパフォーマンスを披露することでしょう。
その前提に立って、肝心の試合がどういうものになるか。どのみち当たりもしない予想ですが、簡単に書いてみたいと思います。
試合後、読み返したら良い笑い者、ということになっているやもしれませんが、まあそれも込みで、思うようになどならないボクシングの深遠を見たのだ、てなところで済ませよう、と...(笑)




まずスティーブン・フルトンの試合ですが、WOWOWでは三試合、放送がありました。
アンジェロ・レオ戦、ブランドン・フィゲロア戦、そしてダニエル・ローマン戦。いずれも判定勝ちです。

頑健なファイター、レオの前進に対し、ジャブを基調に技巧の冴えを見せる。
フィゲロア戦は、悪い姿勢で受け身になる時間帯もけっこうあって、微妙な印象だったが競り勝った。
これら二試合に比べ、直近のローマン戦は出色の出来。フルトンの巧さ、精度の高さが終始、披露された見事な勝利でした。
しかし、ローマン戦は、強打者ではないが攻防の質量で相手を抑え込もうというローマンとの、相性の良さも込みで見るべきかな、という印象です。



体格では純正スーパーバンタム級というか、このクラスに長い。ライトフライ級スタートの井上と比べて、当然ながら大柄...かどうかは置くにしても、長身ではあります。
スピードについては、派手に速さをひけらかさない。でも速い。ある意味、理想の速さを持つ選手。
特に相手との間合いを、適切な足捌きとジャブで確保し、セーフティーに闘うときは、無理なく無駄なく、適切に速い。

防御は基本的に、センスありと見える。また、攻防の切り換え、打ち終わりや離れ際の、距離が変わるタイミングで狙う右カウンターは鋭い。
動いて避けるばかりでなく、時に叩きたい、という意志が見える。
受け身になっても、右アッパーの迎撃がある。このパンチは、食い方によっては試合の流れを決めてしまいかねないので、注意の対象。
他に、左右共にフックとアッパーの中間のような軌道で打つなど、型にとらわれず、自由度の高いパンチの打ち方が出来る。
この辺の迎撃パンチは確かに怖い。
しかし反面、これがあるが故に、相手のボディ攻撃との応酬になってしまう場面もあり。


実際、レオやフィゲロアのような強豪相手とはいえ、触れさせないレベルでの防御を披露したわけではない。イメージよりも打たせる面がある。
フィラデルフィアの気風がそうさせるのか、メイウェザー的な、悪趣味なほどに、外すことに徹する選手ではないようにも見える。
それ故か、この二試合通じて、ボディブローをけっこう打たれている。フィゲロア戦は上下共に、だったが、レオ戦でもボディ打たれて下がるシーンが。
もちろん簡単には言えないが、井上尚弥のボディブローを打たれて、事無く収められるものだろうか、と思うポイント。


しかし、ローマン戦はこの二試合と違い、足で間合いを取れたときの、フルトンの良さが存分に出た試合。
距離に余裕を持って、速いジャブで相手を寄せ付けない。その上でワンツーも速く、右カウンターも、手先でこねるような打ち方だが、ローマンに対して当たるパンチの軌道を見つけて「アレンジ」して当てている。
それでもめげずに迫るローマンを足で捌き、左右へのステップで翻弄。

この試合を見ると、ストレートパンチの距離を確保して、小柄な相手に対するときのフルトンは、相当巧いことがわかります。見ていて再三、感心させられました。
この流れの上で、さらに右アッパーで入り際を「狩る」ような展開を作られたら、井上尚弥とて苦戦を免れないでしょう。


しかしながら...と、長くなりそうですので一旦切ります。続きはこちら
毎度の通り、上手くまとまりませんが、どうかご容赦を。



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