そういうことで昨日は未明から海外ボクシング三本立てでした。
当然全部張り付いて見られるわけもなく、WOWOWを中心に主だったところを結果知らずに見よう、と思っていたのですが、やはり難しく、DAZNの方は何となく結果を先に知ってしまうなど、なかなかうまくいきません(笑)。
WOWOWメインが終わって、DAZNを開いたらちょうど試合後の様子が映っていて、あ、こっちが勝ったな、と...。
しかしまあ、どちらもえらい長丁場だったのですね。いやはや。
まあそれはともかく、感想は順番に、ということでWOWOWの方から。
挑戦者フランク・マーティンの立ち上がりは、彼の実力が存分に見られた、と言って良いものでした。
速いパンチとフットワークで、先手を取って外し、圧力をかけに来るジャーボンテイ・デービスに左のカウンター。
しっかり見た上で、力をかけた迎え撃ちが出来るバランスで闘えている。
普通なら、これで簡単には出て来られなくなる、というのが常識ですが、デービスにはそれが通じない。
3回、ボディから上へ強打を返してくる。
そして、これにマーティンも左カウンター。さらにスリーパンチで脅かす。しっかり狙えている。
ここまでポイントはマーティンが連取しているように。
さてデービス、この容易ならざる相手をどう攻略する?と思っていた4回以降に出た答えは、想像以上に見事で、感嘆せざるを得ないものでした。
4回、デービス左アッパーから左フック。マーティン外すが、アッパーを織り込んだ攻撃はデービス最大の武器。
続いて、その左アッパーをボディへ、しかもカウンターで決める。マーティン相手にこんなことが出来るとは。
デービスの勇気、果敢さ、という表現を飛び越えた「蛮勇」に、思わず目を見張りました。
マーティン、ボディのダメージ、そして気圧された面もあるか、徐々にコーナーに詰まることが増え、良いカウンターが出なくなる。
5回、ロープに追われて、ロープに腰を落とす?場面も。コーナーからコーナーへ追われ、攻められ続ける。
6回、デービスはマーティンのバランスを見て、もう怖いカウンターはない、と判断したかのよう。速いワンツーでどんどん攻め立てる。
7回、デービス、また左ボディアッパーのカウンター。そして右フック振り下ろしの追撃も。
この一連はもう、多彩かつ狡猾な「殺しのパターン」が相次ぐ。見ていて、震えが来るような思いでした。
マーティンはかろうじて芯を外すのが精一杯で、ロープへコーナーへ、追われ続ける。
それでも懸命にに左カウンターを繰り出すが際どく躱され、また攻め立てられる。
気付けば、絵としては半ば「捉えられた」ようにも見える。これでは時間の問題だとも。
8回、マーティン攻め返すが続かず、コーナー近くで詰められ、右から左アッパーで止められ、フィニッシュは左フック。
マーティンの頭がバウンドするダウン。強烈なKOとなりました。
良いバランスで動いて外し、強いカウンターも打てる相手に、ボディ攻撃から攻略の端緒を掴む、というのは、まあ普通というか、良くある話です。
しかしデービスはそれをカウンターで狙うという、これまた普通なら無理、無茶という攻め口を見せ、徐々にマーティンを後退のバランスへと追いやっていきました。
その後も攻めても時に単調、強引と見えて、マーティンのカウンターを逆に狙い打ちするなど、鋭く怖い狙いがそこかしこに。
そしてまたボディへのカウンター、追撃も加え、さらに攻撃のペースを上げ「仕留め」の段に持ち込む。
その上でのフィニッシュがまた、アッパーで止めてのクロスという、先日の井上尚弥ばりの強烈なもの。
挙げ句にコーナーの天辺から宙返りです(笑)。なんとまあ。開いた口が塞がらない、とはこのことでした。
リング外では色々あって(ありすぎですね)、拘留や収監や保護観察や、もうフルコース状態で、裁判の合間に試合してるような?有様だった時もありましたが、いざリングに戻ってきたら、改めて、役者が違うとしか言いようがありませんでした。
それも相手が、普通なら何らかのタイトル、ひとつやふたつ手にしていても不思議の無いレベルの強敵、マーティン相手ですから。
言えば、そういう相手だから余計に、デービスの凄さがより、くっきりと浮かび上がったのかもしれませんが。
豪州で王座復帰なったワシル・ロマチェンコとはまた違った意味で、やっぱり世界の、真の頂点とは凄いものだと、ありきたりですが感嘆するのみ、です。
世界ライト級の頂点は、この新旧対決によって決まると、焦点が絞られた感じがします。
人知の極限を極めた技巧のロマチェンコと、人知を超えた戦闘能力を持つデービス。
是非、この両者が相まみえる一戦を、どうにか実現してもらいたいと思います。
ボブ・アラムが前向きなコメントを出しているようですが、サウジマネーが動くということもある?何でも良いので、とにかく、と切に願うばかりですね。
おっしゃる通りあの身体が浮いたような4ラウンドのボディアッパー以降ますます狂気が増した感じでした。
にしてもストレートに右フックに加えてアッパーの上下、それも全部倒すパンチだから守れないですね。
傑物。お薬と体重超過に頼ったイカれたインスタグラマーなんぞ役者が違う(あやつは奇行で逮捕されましたが)
ライト級の他団体の方々やランカー諸氏の中にはこの人が統一路線に行かないでくれ、しばらくプライベートでお騒がせして試合感覚空けてくれ、とか思う人も結構いそうです。
常識の範囲内で良い選手、巧くて強い選手、ではデービスに通じない、という答えがまた出た、という感じでしたかね。理不尽な話ですが...。安易に打たせる、という面もなくはないですが、攻め方詰め方崩し方がどれも鋭く、危険なものばかりで、それを当たり前みたいに積み重ねていって、相手を追い詰めてしまう。本当にボクシングの強い獣と闘っているようなものでしょう。
なんか、そのイカれた人と、試合後仲良く話してた映像も見ましたが、もうあれこれ、どこをとっても常識では測れないですね。それ故の陥穽はリング上にもリング外にも、無いわけじゃ無いと思うんですが、今のところはもうお手上げですね。