ということで日曜日、府立の地下に行ってきました。
新人王西軍代表決定戦です。
もちろん、新人王戦、それも各地区決勝ともなれば、それだけで充分見物なのですが、
以前、デビュー戦動画を貼って紹介したことのある、薬師寺ジム期待のサウスポー、
森武蔵が大阪にやってくる、というので、彼をお目当ての観戦でもありました。
何しろデビュー戦の時点で、相当な評判になっていて、動画を見れば、速攻のKO勝ち。
その後も3戦目までKO勝ちで、今回が4戦目。
迎え撃つはグリーンツダの木村テミン、こちらも4勝3KO、無敗対決となりました。
初回、締まった構えから、スピード、切れのある右ジャブ、左ストレートのワンツー、森。
木村が出て距離が詰まると、またワンツー、この「ツー」が、小さく切る左フックに変わる。
森は手足のみならず、判断のスピードが速い、という印象。
木村は手を出すが、森がそのたびに見切って外し、徐々に手数が減る。
2回、場内から木村に、左から、手数出して、と声援が飛ぶ。
距離が近くなれば手は出るが、大きく離れる、というでもなく、少し間があれば
森が目で外し、後退して外し、という具合で、なかなかその通りにはいかない。
しかし森は、セーフティーに外すというより、時に止まって、詰めた間で「やらせる」感じも。
森がそういう感じで、ちょっと打ち合いも見られたあと、少し離れた間から、
わずかにゆったり、スピードを落とした動作をフェイントに使い、左一発。
これが木村にまともに決まり、ダウン。
相手の神経の中枢を断ち切ってしまっている、切れと威力を兼ね備えた一撃。
リングサイドから、木村の頭がキャンバスにバウンドするのが、真正面に見えました。
信じ難いことに、木村はそれでも立とうとしました。これはもう、本能としか言えません。
しかしかなわず、膝がぐらぐら、ダメージ甚大。試合は終わりました。
森武蔵、評判通りの才能を見せてくれました。
メスト・エジルを和風にしたような風貌、日本酒みたいな名前のサウスポー。
緩急の効いた、切れのある動き。判断のスピード。見切りの良さから来る余裕。
緩急の「急」をひけらかすのではなく「緩」の動作を、
ワンパンチによる、戦慄的なKOに繋げるあたり、並の新人とはレベルが違います。
まるで、新人選手たちの中に、ひとりだけ世界ランカーが混じっているかのよう。
単に、新人王戦優勝候補、という枠には収まらない期待をしてしまう、そんな選手でした。
ただし、この日の試合運びが、見切りの良さからくる余裕に満ちていたことは、
優れた才能の証明とはいえ、それが今後、何らかの形で陥穽となる可能性もありましょう。
東日本新人王、8連続KO中の大柄なパンチャー、ジロリアン陸との対戦なり、
その先の試合なりで、才能故の高度な試合運びに身を投じようとするあまり、
その時々の、キャリアの段階に見合わぬ、不要なリスクを背負い込んでしまうのでは、と危惧もします。
しかし、冷静な展望を持つマネジメント、適切な技術指導によるトレーニングにより、
この選手の才能が十全に開花したら、まず間違いなく、中部ボクシングの新たな「星」となることでしょう。
いや、ことによると中部のみならず...。
とりあえず、次の全日本決勝が楽しみですね。
G+生中継があると思いますので、大いに注目です。
動画ありましたので紹介します。
別アングルです。
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この日はスーパーフライ、フェザー、ミドルの3階級が棄権により中止。
少し残念でしたが、全体的に熱戦、接戦が多く、今年、この階級はアカンかなー、と
思うような試合はなかったように思います。
とはいえ、全日本での勝算は、あくまで相手次第というところでしょうが。
試合結果はこちらに出ていますが、スーパーフェザー以外の感想を簡単に。
ミニマム級は井上夕雅、仲島辰郎とも、スタイリッシュなボクサーファイター。
スピードで井上、パンチは仲島がややまさり、一進一退、ドロー。
井上勝者扱いでしたが、レベルの高い熱戦でした。
ライトフライ級は堅実な中村圭吾と、サウスポー長井佑聖が、2回にダウン応酬。
しかし全体的に、中村がサウスポーを苦にした展開。2-0で長井。
中村は以前も見たことがあり、好選手でしたが、ヒットの差で敗れました。
フライ級はボクサー型の白石聖に、蟹江ジムのファイター近藤冬馬が肉迫。
近藤は好打もあったが、白石の手数と足を止めきれず。3-0で白石。
しかし蟹江ジムは例年、しっかり鍛えられた選手を送り出してきます。
敗れたとはいえ、近藤の奮戦が光りました。
バンタム級は小柄なサウスポー、というかスイッチヒッター徳山洋輝が
長身サウスポー高井一憲に左を決め、先制。
しかし高井が迎え撃つ左のヒットを返し、徐々に接戦に。
徳山が序盤のリードを守って3-0で逃げ切ったが、際どいところでした。
スーパーバンタムは長身サウスポー、ちょっと見た目亀田昭雄風?の
下町俊貴が、ファイター干場悟を迎え撃つ。
おそらく右利き?の下田、ジャブやショートの右フックなどに威力あり。
干場は手数を出し猛攻するが、ボディを攻められ苦しい。
しかし最終回はまた攻める。2-0で下町でしたが、熱戦でした。
個人的には下町には期待したいところです。
未完成ですが、体格に恵まれ、前の手のパンチが強いサウスポー。
上手く育てば、面白いと思いますが。
ライト級、井岡弘樹ジムの小西帝士(これで「ミカド」って読むらしいです)が
大分のダッシュ東保ジム、小畑武尊と対戦。
現役時代対戦した両会長の育てた選手の激突となりましたが、
サウスポーの小畑が攻めきって勝利、会長の雪辱を果たし?ました。
スーパーライト級、長身の宮本康平が、平仲BSのマーカス・スミスに
2回にぐいっと踏み込まれ、真っ直ぐ下がってしまったところを
サウスポースタンスからの連打を浴びて、KO負け。
スミスはこなれた感じは全然ないが、打ち込めたらパワーはある模様。
ウェルター級は安達陸虎が、清利樹を2回TKO。
初回に左ダブルで倒し、2回に右から左、連打でダウン、ストップ。
良い体型で、攻めの切れ味、威力はなかなか。
森武蔵を除けば、全日本での勝利を期待したい最右翼ですが、相手がどうかですね。
技術面では体のバネ、左の伸びとパワーは特筆もので、今すぐ阿部麗也とやっても勝つかも知れない、それくらいの実力と見ました。特にガードと距離の矛盾しない関係は、キチッとした指導が見える気がしました。薬師寺ジムの選手、遠間とか縁の切れた後とか、きちん攻めますね、指導が良いのでしょうね。
技術的な課題としては、当たり前ですが引き出しがやや少ない事と、左へのダックは今後狙ってくる相手が出てくるかも知れません。しかし、すでに十分強く、加えて若さと身体の力がありますから、将来が楽しみですね。
飯泉健二を思い出しました。
まだ長いラウンドを経験してないのでしょうから迂闊な事は言えませんが、あまり右の使い方が披露されていないようで。
あと真後ろにさがるんですね。
相手のテミン選手も良い選手だと思いましたが右ストレートの二段打ちでも打てれば当たりそうな気がしました。まぁそんな簡単なことじゃ無いんでしょうが。
飯泉は素晴らしかったですが案の定というかディフェンスの問題が引退を早めたと思います。
5〜6試合ホールで観戦しましたが杉谷との最初の試合は痺れました。
杉谷のベストバウトですかね。
担架での退場はショックでしたが。
ジロリアン選手との一番は大いに興味をそそられます。手品が得意のようなのでマジックに引っ掛からなければ森選手が有利だとは思います。
ジロリアン選手はトリッキーな右のダブルを狙ってほしいです。
連投の件、了解しました。コメント欄、やり直し効かないのが怖いですね。私も書き間違えとか、訂正はちょいちょいやってますが...。
そうか、戦国武将の名前とか、宮本武蔵とかが由来なのかも...「日本酒みたい」とは、自分の馬鹿さ加減に嫌気が差しますな...(汗)森選手にも失礼だし。
今回の試合ぶりは、セーフティーな判断よりも、あえて身体を寄せてくる相手につきあった部分がある、と感じました。それでも外せる自信があり、相手の警戒を緩める意図もあったのかなと。闘い方を、やることを、一部切り捨てて限定し、あの左を当てる局面になるのを待っていたような。
左へのダックは、最近多いですよね、サウスポーの選手であれをやるのが。長谷川のような、ある意味セオリー無視で通るセンスがあればいいですが。長谷川なんかは、わかってて外す自信があるからやっていた、という話ですが、森もその部類かもしれません。ただ、そういうレベルでなく、左を外から引っ掛けて、当たったあとの重心が左へ行くことに無自覚なサウスポーは、見ていて怖いですね。左を打つ際、内側から捻り出すように打てば、当たったあと、身体は勝手に右へ回るはずなんですけど。昔のサウスポーの常識を、無理解なまま無視している選手が、最近多いなあ、とも感じますね。
>CFB400Fさん
飯泉健二ですか、お懐かしいですね。府立地下でも試合してるんですよね。IBF移籍後の話ですが。
杉谷との初戦は、滅多に無いほど強烈なノックアウトでしたね。仰る通り、杉谷のベストKOでしょう。今なら対戦すること無く、片方が日本で、片方がなんとかかんとかいう王座に就いてしまうのかもしれませんが...。
森の右リードに関しては、敢えて出していないのかな、と感じる時間帯がありました。左の威力に自信がある故かもですが、相手のレベルが上がるにつれて、何かと便利で、一番頼れる、大事なのはリードジャブですからね。改善してほしいポイントですね。
バックステップについては、これも敢えて、俊敏に回らなかったのか、まあ、まだ新人ですから何とも言えないですが...引き込もうという意図だったのかもしれないですね。ただ、今回と同様の闘い方で、あのジロリアンと対してどうなるものか、ちょっとわからない部分もあります。「品評会」をすれば森でしょうが、ボクシングはそういうものではないですからね。右ダブル、真っ直ぐ下がったら危ないでしょうね。楽しみなような、怖いような。
ジロリアンがあのスピードについていけるか楽しみですね。
右ダブルくらいじゃ彼には当たらない気がします。
彼は独特の避け勘があるしあの左見せられたら突っ込めないと思います
ジロリアンの試合は、G+で日曜に放送されたのを一試合見ただけなんですが、確かに森の速さがまさると思う反面、あの大柄な体格を見て、森の左が当たっても止まらなかったりする場合、危険もあるなあ、と感じます。もちろん警戒し、一発狙いではいけない、と陣営も本人も用心することでしょうが、レベルが高く、高度な狙いが出来る選手故に、警戒レベルを知らず知らずのうちに下げてしまい、痛い目を見る、ということは、過去の好選手の試合でもよくありました。自信は良いが、過信はいかん、と戒めて闘ってくれれば、大丈夫だとは思いますが。そこは陣営の皆様に、しっかり引き締めてほしいですね。選手に夢を見るのはファンの仕事?であって、陣営は選手を勝たせるのが仕事だと思いますから。
ジロリアンの試合は何試合か見ました、結構ざつなボクシングだなぁ〜ってのが感想です
ただここまで上がって来てるって事は何かあるんだろうなって思います。
森も警戒はしてくるでしょう、楽しみです、Sフェザー目当てにホールに行きます。
全日本はジロリアン戦。10回やれば7回は森選手が勝つと思いますが、今のジロリアン選手は一発勝負の勝ち時を知っている感を受けます。というわけで、賭けるならジロリアンで、ホールでお待ちしています(笑)。
しかし、この2人もスーパーフェザーなんですね。何故かこの階級は層が厚い。先日、三代大訓選手と仲里周磨選手のケレン味ない激闘を見て、次世代のスーパーフェザーは彼らかと思いましたが、ぜひ森選手、ジロリアン選手にも絡んでもらいたいです。
ジロリアンの武器は、決め手になりうる強打と、あの体格からくる距離の長さ、フォームが整いきっていないばらつきのある打ち方が、却って相手の読みを外す場合があること、などでしょうか。こういうところが、センスのある森にとり、嫌な部分もあると思いますね。私は当日は生中継があるので、G+視聴で我慢の子、です。年末またあれこれありますので、ここは自重(笑)
>hiroさん
親御さんの気合いが現れた名前だというわけですね(笑)ジロリアンの怖さは、上記コメントのとおり、森のようなセンスがあって巧い、高度な狙いで闘える選手だからこそ、という部分を感じますね。仲里周磨はスーパーフェザーに上げたんですか、相当大柄だったから、良いかもしれませんね。しかし130ポンドは、日本ボクシングのボリュームゾーンになっている感がありますなー。昔ならこれがフライやバンタムだったのでしょうが...。
私は森が有利と視てます。
色々彼の事を調べてます。森は練習量がかなり凄いらしいです。
特に走り込み方がヤバイらしいですよ。
あと、左ボディーはえぐいと聞きました。
懐の深い相手にどう戦うか見物です。
ジロリアンが勝つなら偶然降ったパンチが当たるパターンかなと、しかしながら森はフィジカルも化け物と言われてますからどうでしょうか、下手なタイトルマッチより楽しめそうです。