さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

ミニマム級にニュースター誕生 オスカル・コラーゾ、強打で挽回しTKO勝ち

2023-05-29 07:34:05 | 海外ボクシング



昨日のフェザー級二試合と同等、或いはそれ以上に注目していたのは、WBOミニマム級タイトルマッチ。
DAZN早朝と午前中の配信のうち、アメリカからの、午前中の方の「セミセミ」の試合。

日本で谷口将隆を2回、右ストレート一発でKOしたメルビン・ジェルサエムに、GBP期待の強打オスカル・コラーゾが挑む一戦。
この階級随一の好ファイトが期待出来るカードだと思っていましたが、その通りになりました。


スタートはジェルサエムが余裕で見て、サウスポーのコラーゾに対し、左ジャブのリード、右ストレートリード、どちらも使い、ボディにもパンチを散らす。
コラーゾはアクティブに出て、ビジーファイトを仕掛けたいのがありありだが、やはり浅いキャリアの選手か、気持ちが前に出すぎ。
ジェルサエムにしっかり見られ、当てられ、肝心の手がそれほど出せない。
2回、ジェルサエムの右ヒットか、コラーゾの左目周りに傷が見える。ジェルサエム、ヒットを重ね、3回は右ボディから左右フックを上に返す。


好スタートだったジェルサエムだが、コラーゾは打たれ続けたせいで?逆に腹を括ったか、徐々に手数が出始める。
4回、左ボディアッパーを決めて、少し挽回。元々馬力のあるコラーゾの前進に、ジェルサエムが押され始める。
5回、左フック上に決める。続いてボディも。ジェルサエム、効いている。左ストレートボディから、上にコンビ。
良いの当てたら追い打ち、という攻めで、コラーゾが優勢に。

6回、ボディのダメージを隠せないジェルサエム。ボディ打たれて後退、手数減る。足も止まる。
コラーゾ、左右ボディから上に連打。左アッパー上、また右フック下に。腰を据えて狙い打ち。
強打の選手に、この打ち方、攻め方を許してしまうと、先行き厳しい。
コラーゾさらに猛攻。左レバーにアッパーを打たれ、左ストレート上に。ジェルサエムよろめき、ロープ伝いに後退また後退。
完全に「捉えられた」という絵。

7回、ジェルサエム粘るか、左食ってよろめき、ボディ打たれて堪えるも、間を置いて膝をつく。スリップの裁定だが、ダメージありあり。
動きが止まったジェルサエムに、コラーゾが右に回り込んで打つ場面も。
ジェルサエム、最後手を出してラウンドを終えたが、インターバルでチーフセコンドが棄権の意志表示。
コラーゾ、7戦目でのタイトル獲得となりました。



序盤はさすがにキャリアの差が出るのか、と見えた試合でしたが、徐々にコラーゾの馬力、そして闘志が、王者ジェルサエムを飲み込んでいきました。
ミニマム級離れした、というありきたりな表現になりますが、小柄なサウスポーで、ボディ攻撃の威力を軸に攻めていく迫力は、重岡優大、銀次朗兄弟にも通じるものがあります。
若干、技巧派に振ったのが重岡兄弟で、ファイターに振ったのがコラーゾ、という印象でもありますが。

遠く離れた日本とプエルトリコで、最軽量級において、同じ時代によく似たスタイルの強いボクサーがいるものだ、という劇的な要素も含め、実に興味深い新チャンピオンが誕生しました。
しかしコラーゾの方は、オスカー・デラホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションが抱えることもあり、欧米中心のボクシング観でいえば、昔日ほどの偏りはないにせよ、やはり重岡兄弟以上に「大を成す」存在と目されることでしょう。
そういう意味では、注目を集めるスターの誕生というべき試合でした。



何かと軽視する向きもあるクラスですが、こうして魅力ある試合を見せてくれるボクサーの試合に、階級の差など、さほど意味は感じません。
世界中を膨大な情報のみならず、試合映像がライブで飛び交う時代だからこそ、良いものは良い、という形で、世界的に注目されうるカードが、きっとあるはずです。


いつか、コラーゾと重岡兄弟、ないしは前王者谷口将隆や、その他の日本勢が、コラーゾとリングで相まみえる日が来てほしいものです。
確かに強敵ですが、重岡兄弟にとっても、歓迎すべきライバルの登場だったのでは、と思いますね。






この試合単体のハイライトはまだありませんので、フルカードハイライトから。
5回以降です。白いグローブの右構えがジェルサエム、薄いグレーのグローブ、サウスポーがコラーゾです。


コメント
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