さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

「王国」に21年ぶりの王者誕生 仲里周磨、宇津木秀を3回KO

2023-05-01 05:07:48 | 関東ボクシング



水曜日の感想文、最後です。


凄いノックアウト連発の流れを受けて登場のメインイベンターは、日本ライト級王者として、そして中谷正義、伊藤雅雪、吉野修一郎らに続く「日本代表」となり、世界の舞台へ打って出られるか、質実剛健の宇津木秀。
挑むのは沖縄のジムに、父・仲里繁以来のチャンピオンベルトをもたらすか、二度目の日本王座挑戦となる仲里周磨。

4大タイトルの中で、一番の好カード、そして一番ノックアウト決着の期待が出来ると見ていました。
しかし、こういう流れで来て、意外にこの試合だけ判定なったりとか...なんて、ちょっとだけ思ったりもしたんですが、全然違いました。



立ち上がり、宇津木はしっかり構えて、見て立ったように。しかし打ち合いで、距離が合うのが幸いしてか、仲里の手数がどんどん出る。
宇津木が見る構えでいるうちに、仲里の方はすでに「佳境」に入ったかのようなテンポでパンチを繰り出す。

仲里が左右の連打、左フック返し。宇津木が「抑えよう」として?打ったワンツーに対し、同じく鋭い軌道のワンツー返し、打ち勝つ。
宇津木が自分からクリンチ。離れて仲里、左飛ばして作った間合いに思い切り踏み込んでの右ストレート。
これが決まって宇津木、ぐらつく。膝が折れかけ、かろうじてクリンチに。仲里左フックで追撃し、宇津木何とか逃れる。


早々の大ピンチを受けて2回、宇津木はジャブから立て直そうとするが、仲里もしっかり構えて左から。
ダメージの有無は明らかで、仲里の方が普通に打ってもパンチに力感あり。
宇津木の方はジャブを打って動く足取りひとつ取っても、はっきりと頼りなげ。打ち合って五分と見えても、その後はクリンチ。

仲里、試合の流れを冷ましたくないところ。力んで振り回さず、手数を出していきたい。
宇津木にすればそれが一番嫌なはず。しかし、それが出来ているかというと微妙?と見え、宇津木挽回の目はあるか、と思っていました。


3回、打ち合いで宇津木がワンツー、肩越しに右クロス。
しっかりフォロースルーを効かせた軌道に見えたが、その前から足取りが少し怪しく、重心がしっかり降りていなかったか。
仲里クリンチに逃れるが、直後に左フック決める。宇津木、手は出るが仲里を脅かすにはまだ足りない。

宇津木の回復か、仲里の追撃か。どちらが先か。結果は後者でした。


身体を寄せてパンチの交換。宇津木が右アッパーから右クロス。しかし、それを外した仲里の右ショートがカウンターで決まる。
宇津木、横に転がってダウン。ほぼ100%、フルにパワーをかけられたカウンター。
カウント8まで待ってから立った宇津木ですが、レフェリーがカウントアウトしました。



バッティングで切って出血もあった仲里、短いながらも激しい攻防でしたが、しっかり打ち勝ちました。
スタートから好調というか、自分のベストを出し切って、それが先制に繋がり、その流れを手放さずに倒しきった。
文句なしの、見事な戴冠劇でした。


試合前、父の仲里繁現役時代の話も絡めた記事をいくつか読みましたが、父子の夢という話と同時に、沖縄のジムに21年ぶりのベルトをもたらせるか、という話を見て、え?と少し意外に思いました。
最近の関西出身ボクサーにも多少通じるところがあって、沖縄出身でも東京のジムと契約するというパターンが多いのは当然ながら、それにしても、21年も沖縄のジムから王者が出ていないのか、と。

この辺は、長くボクシングを見ているファンほど、共感してもらえるのではないかと思います。
何しろ、強いボクサーやチャンピオンといったら大抵沖縄出身、という時期があって、それを直に見ていたものですから。
しかし最近はそんな傾向も薄まってきてはいたんでしょうね。


父・仲里繁の現役時代を見ていることのみならず、ここまでのキャリアで強敵との闘いを経ていたこともあって、仲里周磨は応援したい挑戦者でしたが、その戴冠は色んな意味で感動的なものでした。
好ファイト、KO続きの興行、その最後を見事に締め括ったワンパンチKO。仲里周磨、見事でした。おめでとう!




敗れた宇津木秀、ここまで国内レベルでは無敵の感がありましたが、カーニバルで迎えた最強挑戦者の前に、完敗と言わざるを得ない内容でした。
特にどこが悪いとも見えなかった、それでも敗れたこの一戦、本人は攻撃的になりすぎたと自省しているようですが、傍目には見えない何かがあったのかもしれません。
いずれ再起することでしょうが、その時に何らかの答えが見えるのでは、と思います。



コメント (3)
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