もうすぐベガスからの試合が始まりますが、昨夜のBoxingRaise、無料ライブ配信の感想を簡単に。
京口紘人は、来日3敗というローランド・ジェイ・ビエンディーマに大差の判定勝ち。
途中で拳を傷めたそうで、なるほど厳しく詰めて倒しに行く、という感じは最後まで見られませんでした。
初黒星からの再起、及びフライ級転向初戦ということはあるにせよ、見ていて奇異なほどに、好打しても追撃しようとしない。
いくらなんでもこの出来では今後に不安あり、と見ていましたが、そういうことならば、と納得はしました。
ただ、傷めたのは5回とかいう話が事実なら、これは序盤の数ラウンドを「いろいろ試したい」的な発想で過ごしたが故に招いた事態、でもあります。
はっきりいって、三階級目でも世界を目指すという選手であれば、序盤のうちに倒してほしいレベルの相手でした。
でも、立ち上がりの様子を見て、そういう試合にはならないし、そうする意志がおそらくないのだろうな、とわかりました。
まあ、色々考え方はあるし、見る側の受け止め方も様々でしょう。
しかし、この相手に長いラウンドを闘って得られるものより、早々に仕留める厳しさを示すことの方が、はるかに大事だ、というのが私の見方です。
その意味では、上々の再起戦とはとても言えない試合でした。
井上尚弥4団体統一記念、モンスタートーナメントは三試合が行われました。
この日出た6選手の中で、最も光ったのは帝拳の増田陸。キャリア三戦目ですが、元全日本新人王、ユース王者の経歴を持つ富施郁哉を2度ダウンさせて7回、TKO勝ち。
サウスポー対決も一切苦にせず、ガードをしっかり立てて右リード、左ストレートを繰り出して、同じ構えからアッパーも飛ばす。
攻防共にコンパクトな動作で収め、落ち着き払った様子で圧して出て、キャリアでまさる富施の抵抗も最後は封じて、ストップに持ち込んだ闘いぶりは、安定感と迫力を兼ね備えたもので、とても三戦目の選手とは思えませんでした。
ただ、ここまで二試合、タイと韓国の選手に初回KO勝ちで来て、三戦目で富施相手に実力の証明をしたとはいえ、次にもう日本チャンピオン堤聖也との対戦というのは、トーナメントの抽選がそうだったから仕方ないのですが、巡り合わせが悪いというか、何かもったいない気もします。
増田が逸材だということがよくわかった後だけに、あと一年くらい後ならば、と思ってしまいますね。
もしこれで番狂わせでも起こしたら、まさに下克上というものですし、その期待も皆無だとは言いませんが...どうなりますか。
強打の若手、梅津奨利は、石川春樹に判定勝ち。
若干ラフでパワフルな梅津、スタイリッシュでシャープな石川と、対照的なふたりが、持ち味を出して、闘志をぶつけ合った好ファイトでした。
しかしどこか正直な石川に対し、梅津は強打を決めて効かせたと思ったら、無理押しに出ず、足を使って左を突くシフトに変えたりと、意外に(失礼)気の利いた闘いぶり。単に強打一辺倒ではないところを見せました。
石川も、アッパーやボディを打たれると、同じパンチでお返しするなど、意地の強さを見せて、こちらも見ていて惹かれるものあり、でした。
真正ジムのサウスポー穴口一輝は、内構拳斗に判定勝ち。
内構の堅いカードに、軽いが速いジャブ、ワンツーを通す闘い方から、徐々にヒットを重ねて行った穴口がまさった、という一戦。
内構のボディ攻撃はよく出たし、けっこう決まってもいたが、反面、かなりの数を穴口に防がれてもいました。
準決勝は8月、堤聖也が登場し、増田陸とタイトルマッチ。梅津奨利と穴口一輝が反対の山です。
技巧のスイッチヒッター、堤と、強打のサウスポー増田。
変幻自在、とはいかずとも、意外に柔軟性のある強打者、梅津と、サウスポーの技巧派、穴口。
どういう展開になるのか、面白そうなカードを続けて見られます。楽しみですね。