さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

世界へ向け、有意義な圧勝だったか 中谷潤人、元王者メリンドを圧倒し20連勝

2019-10-09 20:16:53 | 関東ボクシング




そういうことで、5日土曜日に行われた中谷潤人vsミラン・メリンド戦、G+で昨夜放送されました。

内容はもう、ただただ、中谷の圧勝、という以外ないものでした。
114ポンド契約の試合において、中谷とメリンドの体格差は顕著で、かねてから「転級のタイミングを間違えないことが肝要」と見ていた中谷は、ライトフライがベストのメリンドより、二階級くらい上の選手に見えました。

中谷は体格差、リーチ差をしっかり生かし、メリンドがカウンターを打てる距離をほとんど与えず。
一度、右フックが鋭く飛んだくらいで、それも当たらず、あとは「散発的に」という表現にも届かない回数の、浅いヒットのみ。

中谷が右リード、左ストレートで突き放し、ワンツーで捉え、ボディで止め、コーナーに詰めて連打する。
この繰り返しの末、6回にメリンドが視認できなかったであろう左アッパーが当たって、ほどなくレフェリーが止めました。


正直言って、このカードが決まったのを知ったときは「乗れへんなあ」という気持ちでした。
何もこの展開と結果を全て予見していたとは言いませんが、明らかにベストの体重が違い、それでなくても体格、リーチが違い、その上に上り坂と下り坂の交差が露骨で...と、普段、かなう限り自重している「ケチ」の付けようがいくらでもある、そういうカードだと思ってしまいました。

以前から、誰がどうというのでなく思うことです。
世界を目指す、という選手が、その過程で「元世界王者」と闘い、その勝利を喧伝したいならば、きちんと階級は揃えてください、と。
過去にはそれこそ色々ありましたが、今回の中谷の場合、相手は木村翔やクリストファー・ロサレスなどであるべき、でしょう。

中谷潤人の実力、技量、その試合ぶりは新人王戦の頃から、けっこう数を見て、良くわかっています。
派手さはないが、どんなタイプの選手が相手でも安定していて、対応力がある。若さに似ず「確か」な選手である。
それがわかっているからこそ、余計にこういうところを残念に思った次第です。


WBCフライ級のランキングはすでに3位。先頃、王座が空位になり、1位と2位で決定戦をやる運びになる。
そして、決定戦で決まった王者の初防衛戦は最上位の挑戦者と、という倣いでいけば、中谷潤人のWBC王座挑戦は、もう遠くない話です。
21歳という若さ、成長を続ける体つきを見るに、ひょっとしたら階級を上げる可能性があるかもしれませんが。

今回の相手選び、そして完勝が、世界挑戦に向けて有意義なものだったと言えるか。私はひとまず保留します。
確かに、ある程度予見は出来た内容でしたが、その予見以上に完璧、水漏れ無しの完全な勝利だったことも事実で、その点は見事でした。

しかし、より体格が近く、一打の威力を生かせるであろう世界王者、或いは上位の選手相手に、112ポンドでの調整という枷が加わった場合、そのタイトルマッチとなるであろう試合には、当然、不安の影も残ります。
スーパーフライに転じる場合、調整は今回同様、万全でしょうが、相手との体格差は狭まるか、ことによると互角のものになるでしょう。


長谷川穂積、山中慎介の後に続く、日テレ放送世界戦のエースとなれるか否か、という基準を持ち出すのが適当かどうかは迷いますが、単に一介のタイトルホルダーに収まってほしくない。
天与の体格と、緻密に作られた技巧、そして冷静さの裏に隠された、強い矜持が見え隠れする佇まい。
中谷潤人が非常に魅力的な逸材、大器であることは、誰もが認めるところです。だからこそ、と思うところを書いた次第、です。


======================


ということで、一曲。
Tears For Fears “Everybody Wants To Rule The World” です。






コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする