さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

他競技から転じた重量級ボクサーに「居着いて」もらうには

2019-10-21 22:57:49 | 関東ボクシング




昨日の全日本社会人選手権で、サッカーの元Jリーガーと、ラグビーの元日本代表という両者が、ヘビー級で対決、という試合があったそうです。

ボクサーに、何故ボクシングを始めたのか、と動機を問うと、野球部(或いは、サッカー他の運動部)にいたが、身体が小さくてレギュラーになれないと判断し、階級制のボクシングなら、と思った、という答えが、今も昔も、けっこうな割合で目に付きます。
それは要するに、軽量級のボクシングに人材が多いことの理由にも繋がる、と言って良いでしょう。
終戦間もない頃ならともかく、日本人の体格も当然、大きくなってきているのに、この辺の事情は、今も部分的には変わらないようです。

(もっとも、世界タイトル獲得数というのとは別に、国内のシーンを見てみると、最近はフライ、バンタムよりも、スーパーバンタムやスーパーフェザーが、一番好選手が多い「ボリュームゾーン」になっている感があります。
この辺は、昔日の「伝統の」フライ級王国、という表現が通っていた時代とは、少しずつ変わっている、とも言えますが。)


しかし、変わらないのはミドル級以上に国内タイトルが存在せず、復活なったヘビー級タイトルも、ランカーの人数が増えず、という現状。
結局のところ、体格が良く若いフィジカル・エリートが、身を立てようとするときに、ボクシングにはその選択肢たり得るだけの「インフラ」が整っていない、と言うしかありません。
そして、そのこと自体を疑問視し、改善しようという意志がない。さらに言うなら、そんなことまで手が回らない。それが日本のボクシングの現状です。

だいぶ前...バブル末期ごろ、確かヨネクラジムのOBで、ガソリン販売業か何かで成功した人が、暖簾分けでジムオーナーになり、ヘビー級育成を掲げて活動したことがありましたが、残念ながら成功しませんでしたし、他競技からの転向話もありましたが、続きませんでした。
オケロ・ピーターや、協栄ジムのロシア人オリンピアンなど、外国からの参入もありましたが、各々のキャリアの成否とは別に「定着」には至らなかった、と言えるでしょう。
つまりはジムに来て練習して、強くなったら試合組んでやる、というだけの関係性のところに、優れた人材が集うはずもない、というだけの話です。


個人的には、日本タイトルのブランディングを突き詰め、世界を云々せずとも、国内の上位選手の対決をルール化して、一括して放送、配信するパッケージを作り、そこに当然、重いクラスをも含む、という形で、ビジネスを回して、重量級の選手育成に繋げる、という形以外ないだろう、と思います。
しかし、ボクシング界全体を見て、意志を決定するような力を持ち、立場にある人間が事実上存在しない。単なる寄り合いでしかない協会に、何も期待は出来ません。
さりとて個々の独立性を重んじた自由競争、という体裁の中からは、各々のご都合が優先された「勝手」が抽出されて残るのみ、です。


本日、久し振りの試合に勝ったという藤本京太郎は、よく頑張って続けてくれているなあ、と思います。
本人もマネージャーさんも、色々難しいことばかりだろうに、と。
この記事では「総合格闘技」についても触れていますが、是非はともかくとして、試合の機会そのものが乏しい現状、そういうことも考えざるを得ない、もっと言えば「やってられん」のでしょう。

もし元Jリーガーや元ジャパンの人が、プロボクサーになっても、いずれ同じような壁に突き当たることでしょうね。
様々な分野、他競技との比較において、広く人材を求める、求め得る...そして、その健闘に相応しく報いることが出来るボクシング界になってくれれば、こういう人たちがもっと沢山...と思わずにはいられません。


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ということで、一曲。
Blur “Popscene” です。






コメント (2)
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