毎週週末ごとに何か生中継が見られる感じの昨今ですが、今回はDAZNで、IBFミドル級王座決定戦。
かつてはその名が「強さ」の象徴として語られた、最強王者ゲンナジー・ゴロフキンと、試合数は少ないが実力派として世界上位で通るセルゲイ・デレビヤンチェンコの対戦。
この組み合わせが殿堂MSGで行われるんですから、アメリカという国はやっぱり凄い。こういうとこは、素直に尊敬します。
ま、そんなことで簡単に経過から。と、簡単に書けるような「薄い」試合ではありませんでしたが。
初回、体型、距離が似た二人、少し見合い。ちょっとずつジャブ応酬。
ゴロフキンが右アッパーから左、右フック、続いて右がデレビヤンチェンコの頭部をかすめ、ダウン。10-8。
2回、デレビ、きついが踏ん張って手数出す。しかしゴロフキン、ナックル返した左フック。これでデレビ、右瞼切る。
ゴロフキン好スタート、しかし3回からデレビ、ボディ攻撃に活路を求める。
ゴロフキンのスリーパンチ、右追撃も決まるが、3回は競り勝ったか。
4回はゴロフキンが競り勝ったか。5回はデレビが上→下の左ダブルでゴロフキンを後退させる。
ここでレフェリー、ローブロー注意のためか、一度割って入る場面も。さほど露骨に低いとも見えず、でしたが。
6回、ゴロフキンはボディ打たれると止まり、下がる。デレビ、ボディ打ってサイドに出る。ジャブ、コンビネーション速い。
ゴロフキン、単発返すが、強打、打ち込む、という間合い、バランスが取れない。
7回、デレビ、ボディと右クロスのコンビが良い。
ゴロフキン、ジャブが出ている間は、後続の右も出て良い感じだが、左が止まるとデレビがショート当ててくる。
ゴロフキンが外からガードを巻く右、デレビは回って右、左とヒット。最後ゴロフキンワンツー。
8回、前半デレビが攻め、後半ゴロフキンが猛然とプレスかける。ゴロフキンの左がデレビの右瞼の傷に入る。
9回、ゴロフキン右アッパー。デレビ右フックからアッパーへ。ゴロフキン右アッパー返す。拮抗した回続く。
10回、激しい攻防はこの回がピーク。
デレビ、上下のコンビ、ワンツー、右ボディ、コンパクトに連打して攻勢。ゴロフキン右返し、左ボディ。得意の左フック振り下ろしはミス。
デレビの右でゴロフキン少しのけぞる。しかしゴロフキン右打ち下ろしヒット。後頭部への打撃を注意された後、微妙なとこへ当てる。
デレビ猛然と反撃、懸命に耐える。両者疲れとダメージ抱えつつ、激しく打ち合う。
最後、レフェリーまたゴング直前に何故か割って入るミス。
11回、デレビがボディ攻める。ゴロフキン左から右アッパー、左フック返し。左があれこれ出ている間は良い。
回ってワンツー、しかしボディ返されると攻めが止まる。デレビワンツー、コンビ。競った回。
12回、両者クリンチ急増。合間にゴロフキンがヒット取るが、デレビも地味に当てていて、どちらにつけるか本当に迷う回。
採点は114-113、115-112×2の3-0でゴロフキン。
さうぽん採点は、GGDG DDDG DDGG、114-113でゴロフキン。
しかし半数近くの回で、見方によっては?と思っていて、逆もありえる、というところで逃げます。
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試合としては、距離と体格が似た者同士が、それぞれに持てる技を力を存分に披露し合った、白熱の一戦でした。
早々のダウンシーンあり、出血あり、立て直しあり、多彩な左あり、ボディ攻撃での反転攻勢あり、そして疲弊した終盤に一進一退のベストラウンドがあり。
最後は互いに疲弊してクロスファイトに幕。
判定で終わった試合ですが、ようもまあこないに...見どころをあれやこれやと詰め込んだものやな、と。
まあ滅多にない類いの試合でした。見応え充分、両者にただただ、拍手です(^^)
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セルゲイ・デレビヤンチェンコは、ダニエル・ジェイコブス戦に続く、王者クラスへの惜敗でしたが、改めてその実力、厚みのある技量を示しました。
倒れるわ切るわで、最低最悪のスタートでしたが、ゴロフキンの弱点であるボディ攻撃に活路を見出し、見事に形勢を五分に戻し...というに収まらず、攻勢に立って渡り合う姿は、堂々たる世界ミドル級、上位クラス、タイトルホルダーレベルの実力を証明した、と言って良いでしょう。
敗れてなお価値を下げず、今後にさらなる期待を生んだ一戦だったと思います。
そして勝ったとはいえ、インタビュー時にブーイングを浴びるという、かつての圧倒的な姿からは想像も出来なかった目に遭い、笑顔も少なかったゲンナジー・ゴロフキンですが、当然ながら往時よりは、あれこれと「降りて」きている面があり、デレビヤンチェンコの健闘とはまた別に、それがこの日の好ファイトを生んだ一因でした。
ジャブ、フック、小さいアッパーなどの左リードがあれこれ出ている間は、相手を止め、封殺出来ているけれど、後続の決定打が以前のようには出ず、そうこうしているうちに、デレビ級の相手だと、どうしても反撃を許してしまう。
また、ひとしきり攻めたあと、次の攻防までの合間に、傍目にも明らかに、強く呼吸しなおしてから、という場面が再三見られるのも、印象として厳しいものがありました。
あと、弱点、というのは大袈裟かもしれませんが、ボディを攻められると失速する場面は、全盛期には僅かにしか見られなかったものですが、その頻度が上がってもいます。
とはいえ、相手のレベルが相当高かった試合でもあり、まだまだ充分、世界ミドル級王者クラスの実力があることも証明した試合、でした。
芯食った、とまでは見えないヒットでも、相手を止め、下がらせられるし、デレビのような強敵を倒し、カットさせる威力も秘めている。
衰え、というに及ぶかどうかは微妙なれど、危機にあって心倦まず闘う闘志も健在であり、それ相応に「降りて」きていてなお、充分に力がある、とも思いました。
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今後に関しては、カネロ・アルバレスが思わぬ方向に飛んでいってしまったこともあり、雪辱戦の見込みはまったく立たず。
今回、新たにライバルにしてしまった?デレビヤンチェンコと再戦する可能性も生まれていますが...。
日本のファンとしては、以前、ゴロフキンがトップランクの契約下にあった頃の話、来日して東京ドームで村田諒太戦、という可能性がまだ残っているのか否か、それが気になるところでもあります。
村田がロブ・ブラントとの再戦で「見」に逃げずに「勝負」して勝つ、という、新境地というと大袈裟かもですが、一皮むけた姿を見せたことで、勝ち負け予想の有利不利など知らず、単に「やって見せてほしい」という気持ちが、以前よりも増している。
それがこちらの率直な心境ではあります。
対戦の話自体、具体性のあるものなのかどうかわかりませんし、それより先に村田の次の試合もまだはっきりしない...用意していたお膳立てが崩れて、そこへWBAランキングに急な変動があり、なにやらかにやらと憶測を生んでいるそうですが。
もし、こういう話が現実に動いているならば、それに恥じぬような「過程」としての一戦を組んでもらいたいものです。
そういうカードならば、府立決戦を外しておいてナニですが、今度こそ会場に行かねばならん、と思うことでしょう。
もっとも年末、あれこれと想像し、噂を耳にして、なかなか全部とは...と、思い悩んでいる次第、ですが。
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話は戻ってDAZNですが、ライブ配信は本当に嬉しい限りです。
今月は他に何かな、と思ったら、来週にもオレクサンデル・ウシクのヘビー級転向試合が配信されるとのこと。
WOWOWも対抗してライブ配信や放送を増やしていますし、最近はもう、すっかり贅沢になってしまって、週末に何か生中継やライブ配信がないと物足りない、という有様です。
関西だと、日曜の会場観戦に差し障りが出てしまう、というのが悩みの種ですが、スマホで移動中に見たり、DAZNなら帰宅後、見逃し配信で見られたりと、何とか対応出来して、頑張って行きます。
これから12月中旬まで、日本のみならず、世界もあれやこれやと続きますし、色々楽しみですね(^^)