さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

遠くから来て、遠くへ去る 丸田陽七太、元王者大橋を寄せ付けず

2019-10-30 05:54:50 | 関東ボクシング




ということで最強挑戦者決定戦、メイン格が小原、垂水戦だとしたら、セミ格はフェザー級。
ナニワの長身イケメンボクサー、というに留まらず、その実力もいよいよ本格派として見るべきか、丸田陽七太が、強打とタフネスの元王者、大橋健典と対戦する好カードでした。


しかし試合は、予想以上のワンサイド。
長身、リーチに恵まれた丸田が、離れた位置取りから深く踏み込み、遠くへ離れるステップと、肩を入れて突き放す、長く強く正確なジャブで、大橋を寄せ付けない。

丸田は初回早々、ジャブをボディにも突いておいて、ほぼ同じ位置取りから左フック。
大橋、これを視認できなかったか、まともに食ってダウン。
ダメージもありそうだったが、さらに悪いことに鼻の辺りをカット、出血にも悩まされることに。

スピード自体もなかなか、精度も高いが、何しろ遠くから来るのが難儀な丸田の左が、大橋を切り刻んでいく、という様。
丸田はロープを背にした大橋を、長いジャブで釘付けにしたかと思えば、徐々に接近した位置取りも探り、右フック連発で追撃、右アッパーを狙ったりも。
3回になると、大橋は出血のこともあってか、半ば捨て身で迫りましたが、負傷の悪化がそれより先に来て、二度目のドクターチェックでストップとなりました。


あの負傷がなければ、大橋の反転攻勢がもう少し続いたでしょうし、丸田が左だけでなく「次」の段で、右をどう使っていくのか...外から巻くフック、肩越しに狙うクロスはありましたが、さらに進んで、大橋のガードのインサイドを射貫く右ストレートが打てるのか、それはタフな大橋を打ち崩すに足る威力を持つものなのか、と、さらに色々と見られる部分があったはずです。
しかし、試合はそこまで行かずに終わりました。それは結局、丸田の左が長く、強く、鋭かったが故に、でした。



バンタム級でデビューした当初は、度を超した痩身、という印象で、早々に上のクラスに転じ、身体のバランスを作っていかないと、この天与の体格が却って災いする、とさえ見えた丸田ですが、適切に転級の選択をした今、フェザー級でもなお群を抜く長身、リーチを生かした能動的なアウトボクシングをベースに「突き放し」が出来るジャバー、強靱なボクサータイプとして、着実に成長しています。
これで、この先に、相手の防御のインサイド、さらに言うなら心身の奥底を打ち抜けるような右ストレートが備われば...とも。


敗れた大橋にとっては、丸田の規格外の距離の長さに、力を出す前に全てを阻まれた、という無念の試合だったことでしょう。
遠くから左が来て、打った相手が遠くへ去る。この繰り返しで始まった試合展開を変える時間を、機会を、負傷によって奪われてしまったことも、痛恨としか。
もっとも、ただ遠い、距離が長いだけの困難なら、大橋の力量をもってすればいずれ、ある程度まで克服出来たでしょうが、パンチの精度、切れ味がしっかり伴った丸田の左が上だった、ということも、短い試合の中で、明らかに見えていた。
それも事実として受け容れねばならない、そんな試合でもありました。


日本チャンピオン佐川遼は、12月に防衛戦を控えていて、これまた一筋縄ではいかない感じの難敵、日野僚(こちらは「にんべん」ですね)と対戦するわけですが、どちらが勝つとしても、これまた好カードです。
丸田の左が、今回ほど思うさまに当たり続けるとも思えず、やはりタイトルマッチともなれば、その先にどのような...というところが多少なりとも問われるでしょう。

そして、それを見られるか否か、ということについては、敢えて辛めに言えば、現時点では五分五分です。
もちろん、心情的には、期待感が完全KO勝ちを収めているのですが(笑)。


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これまたA-signさんの動画、紹介。
TV中継だと、中途半端に「寄り」の映像がどうしても入るんですが、カメラ一台の限界が却って、丸田の踏み込みの深さ、退く距離の長さをしっかり見られる効果を生んでいます。






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そんなことで、古くてベタなヒット曲のコーナー(笑)。
Bryan Adams “Cuts Like A Knife” です。






コメント (2)
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