さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

双方の「算段」その是非は? カネロ、コバレフに175ポンドで挑む

2019-10-18 06:22:04 | 海外ボクシング




我々は来月といえば、7日のことしか眼中にない状態ですが、日本時間3日は、DAZNでライブ配信されるであろうビッグマッチが、さらに大きな世界の注目を集めることでありましょう。
セルゲイ・コバレフにカネロ・アルバレスが挑む一戦です。
話題としては旧聞に属しますが、先日WOWOWで、ようやく8月24日のコバレフvsアンソニー・ヤード戦が放送され、それを見て、少し思うところがありましたので。


まず、このカードの話を聞いて最初に思ったのは「で、何ポンドに設定するんやろう」ということでした。
すんなりライトヘビー級リミットで対戦すると記事で見ても「ほんまかいな」と、まだ思っていました。
しかし本当に、175ポンドで対戦するようです。

この特殊な一戦、双方に、果たして、どういう「算段」があるものか。

カネロはミドル級での試合で、当日の体重がライトヘビー級くらいある、という話でしたが、体格面では本人が認めるとおり、不利です。
しかしアンドレ・ウォードのように、外してボディから攻め込む、という立ち回りが可能なら、勝機あり、と見たのでしょう。
そういう展開が作れたら、小柄なことが逆に、カネロのアドバンテージになるでしょう。


で、それに対してコバレフはどう出るのか、というと、エレイデル・アルバレスとの再戦、そして今回の強敵ヤード戦において、強打より軽打、ヒット、スピード優先。追撃より自重、という風に、闘い方を以前とはかなり変えてきています。
ヤード戦では序盤優勢、7回からボディを打たれ、8回は大ピンチ。
それを乗り越え9回以降逆襲、11回にジャブで倒す、という流れでしたが、基本はKOを急かず、手応えを求めすぎず、体力温存、ペース配分大事、という「方針」が見えました。

さて、この方針変更が、カネロ相手にもそのまま有効なのか否か、です。
普通なら、2階級上のコバレフが、しっかり構えてコツコツと左から来るとなると、小柄な側のカネロは大変だろう、と思うところです。

しかし前述のウォードのように、コバレフの弱点を(手段を選ばず、ではありましたが)その巧みな攻め口で暴いて見せた事例があります。
カネロの防御技術、そしてボディ攻撃の巧さは、勘やセンスの部分を含め、ウォードに匹敵するレベルにあります。
アルバレスやヤードのような、自分と同じライトヘビー級の強敵に対し、奏功したコバレフの「方針」は、小柄だが技巧に優れたカネロ相手に、有効だとは限らないのでは、とも思うのです。
もし、丁寧に当てに行ったはずの左が、思うようにヒットせず、そこで焦って他のパンチを強振する、という流れになってしまったら、それこそカネロの思う壺ではないでしょうか。


単に考え方ひとつの話でしょうが、時に意図して大振りし、強打を振りかざして、ラフに追いまくることも必要ではないか、と。
左から当てて行く、というより、カネロのガードの上を、防がれることを承知の上で狙って強打し、威圧するとか。
クリンチの際は必ず、自分が上から乗る形に持ち込むよう心がけるとか。
何しろ、大きいのは自分の方ですから、徹底して厚かましく振る舞う、という。大雑把な表現ですけど。

要するに、単に丁寧に、こじんまりと闘うのでなく、体格の有利を生かし、時に地道に、時に派手に「暴れ」るなど、様々な方法を用いて、カネロの防御を狂わせ、その上で左を当てて行く、というような闘い方が出来れば、元々の体格、パンチ力の差を生かせるだろう、と思うわけです。

現役自体、こじゃれたボクシングするんで、けっこ好きだったジェームズ“バディ”マクガートが主導したとされ、成功しているコバレフの方針変更に、さらなる一工夫があれば...カネロの「算段」を打ち崩すことも可能ではないでしょうか。


双方のプロフィール、ことに最近のカネロにまつわるあれやこれやには、色々思うところがありますが、それを抜きにして言えば、あらゆる意味で特殊なこのカードに挑む、双方の「算段」が正しいのかどうか、興味深い一戦だと思います。
ひとつ問題があるとするなら、そういう一戦が必ずしも、見て面白い、楽しいものになるとは限らない、という点ですが...。


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ということで、一曲。
THE FIXX “Secret Separation” です。






コメント (2)
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