豪州落人日記 (桝田礼三ブログ) : Down Under Nomad

1945年生れ。下北に12年→東京に15年→京都に1年→下北に5年→十和田に25年→シドニーに5年→ケアンズに15年…

礼節と潔癖症

2001-12-18 22:24:12 | Weblog
12月18日(火) 晴

 指定席

1階の左舷の甲板。僕の船室のすぐ前です。何故か僕の船室には専用の非常口があり、直接甲板に出入りできます。1番手前の椅子が僕の指定席。1日数時間ここで読書をします。甲板は明るいので老眼鏡なしで本が読めるのです。出航以来本日で100冊の本を読破。

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   礼節と潔癖症

僕は15歳からギターとピアノを弾き、ヤマハとカワイの音楽教室に通い、エレクトーンとドラムと声楽もやらされた。18歳から断続的にボールダンスを習いに通っている。

二人の子供もヤマハ音楽教室に通った。10年前に妻が死んだ時に二人は、形式的な葬儀を嫌って鎮魂歌を作曲して演奏した。3年前に二男が死んだ時に、相次ぐ肉親の死に衝撃を受けたのか、長男は音楽を捨てた。以来僕も音楽から遠ざかっている。

僕がカラオケバーが嫌いなのは理屈ではない。チキン肌というか、肌が合わないというのが適切なのか、生理的拒否反応なのだ。社交ダンスとか、キャバレーも厭だ。行列だとか、行進、整列、参列、応援、コンパ、なども気持ちが悪い。僕は子供のときから潔癖症で、他人から触られるのが大の苦手なのだ。厭なものはあくまで厭で、他人と合わせるのが下手だ。自分の世界でのみ生き続けたいと望む。誰とでも踊りたいとか、皆に自分の演奏を聞いてもらいたいとか、いやいや付き合うことはしたくはない。

「私だって好きでやっているんじゃありませんよ。いやいやお付き合いしているだけですよ」と飲み会や会合を欠かさない人もいる。

バイクで襟裳岬に行ったら奇妙な一団に出会った。金ぴかのスター衣装を着た10数人の団体客が展望台で代わる代わる森真一の『襟裳岬』を歌うのだ。感極まって涙を流している人もいる。ここが済んだらバスで移動して摩周湖で、布施明の『霧の摩周湖』を歌うという。最初は面白がっていた他の観光客も、延々と続くパーフォーマンスに呆れ顔だ。かなり迷惑な企画だ。

カラオケバーで歌う人々は『北海道で歌うご一行様』とあまり変わりはない。カラオケは確かに音痴を減らし、引っ込み思案の日本人を破廉恥なほど目立ちたがり屋にした。

僕は音楽もダンスも好きだ。男と酒を飲むのは厭だが、女性と飲むのは嫌いではない。僕の執着は二律背反だ。惹かれれば惹かれるほど慎み深くありたいと望むのだ。



読書:「景気と経済政策」 小野善康

コメント
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