豪州落人日記 (桝田礼三ブログ) : Down Under Nomad

1945年生れ。下北に12年→東京に15年→京都に1年→下北に5年→十和田に25年→シドニーに5年→ケアンズに15年…

原子力船

1978-10-24 20:41:47 | 下北

むつ政経文科新聞 第13号 昭和53年(1978年)1025日発行

 

原子力のABC③ 原子力船 (日本核医学学会員 桝田礼三)

 

現在世界には3隻の原子力船がある。米国のサバンナ号、西独のオットーハーン号、そして日本の「むつ」で、いずれも実験船。この他に米国、ソ連では多数の原子力潜水艦、原子力船間、原子力砕氷船を保有しているが、すべて「軍事利用」だ。原子力船の優れている点は、いったん燃料のウランを積み込むと、途中で燃料の補給なしで2年以上も航海を続けられること(勿論、乗組員の食料などの生活物資は補給が必要)。このため長期の戦争の際には優れた性能を発揮する。

しかし原子炉や放射能の遮蔽物に大きなスペースをさかなければならず、貨物などの積載スペースは相対的に小さくならざるを得ない。また米国の原子力潜水艦の乗組員や、造船所の労働者の癌による死亡率は公表では40%。このため原子力船は客船や貨物船には不向きというのが学者間の定説。

サバンナ号は既に現役を退き、今年限りで引退の予定のオットーハーン号は各地の港から邪魔者扱いされ、追われ続け「さまよえるオランダ人」の異名をとっている。米国にも西独にも第2船、第3船の建造計画はない

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