12月3日(月) 晴
ドラ
出航の合図に甲板をドラを叩いて回ります。スピーカーからドラの音を流せば良さそうなものですが、、どうやら神聖な意味がありそうです。特別の人が、定められた衣装を着用して、叩き方もむやみに叩けばいいというものでもなさそうです。世界1周航海でもドラが鳴るのは20回だけ。と聞くと1度はドラを叩いてみたくなるのが人情。船内のチャリティー・オークションで「ドラ叩き」に最高値がついたそうです。真偽のほどは分かりませんが。
................................................................
憎悪されるアメリカ
1989年のベルリンの壁の崩壊は、冷戦構造の終焉以上の意味がある。それは20世紀の「戦争と革命の時代」の終焉であり、アメリカのソ連に対する勝利ではあるが、それにとどまらない。ソ連型党国家を形成したコミンテルン主義の敗退であり、それは裏返すと覇権主義型国家のアメリカ帝国を形成した自由民主主義の瓦解でもあり、そして両者のバランスの上に成り立っていたヨーロッパ型福祉国家を形成した社会民主主義の崩壊をも意味する。これは統一ドイツの混迷、ユーゴ危機、旧ソ連邦を形成していた新独立国家の混乱、世界各地での紛争の激化として現れている。
これらの原因は冷戦構造化の秩序を形成していた東西およびその中間勢力のイデオロギーの世界同時代史的な突然死によるものだ。20世紀の「戦争と革命の時代」に軍事的にも経済的にも勝利したアメリカは、軍事的には世界のあらゆる紛争の解決の責任当事国となり、経済的には旧西ドイツと同様に異常巨大化した資本主義システムでグローバル化した世界を牽引していかなくてはならなくなった。アメリカの戦略であった徹底した軍事力の巨大化と絶えざる成長と発展の中でしか維持できない社会経済システムは、世界同時不況、南北問題の激化、宗教対立と民族対立の多発、地球環境の悪化などの形で、人類全体の危機、現代文明の行き詰まりの状態に追いやってしまった。今やアメリカが自らのリーダーシップでどのようなやり方で世界を動かそうとしても、諸悪の根源として常に憎悪の対象とされる。
アメリカは覇権主義を放棄し、圧倒的な軍事力を背景とした他国への恫喝的な外交姿勢と国益優先主義を改めなければならない。道徳的な国家として、発展途上国への政治的、軍事的干渉と、経済進出を中止しなければならない。
これは同じことが日本にも言えるのであって、ミニ・アメリカを目指してはならない。
読書:「ことばと国家」 田中克彦
ドラ
出航の合図に甲板をドラを叩いて回ります。スピーカーからドラの音を流せば良さそうなものですが、、どうやら神聖な意味がありそうです。特別の人が、定められた衣装を着用して、叩き方もむやみに叩けばいいというものでもなさそうです。世界1周航海でもドラが鳴るのは20回だけ。と聞くと1度はドラを叩いてみたくなるのが人情。船内のチャリティー・オークションで「ドラ叩き」に最高値がついたそうです。真偽のほどは分かりませんが。
................................................................
憎悪されるアメリカ
1989年のベルリンの壁の崩壊は、冷戦構造の終焉以上の意味がある。それは20世紀の「戦争と革命の時代」の終焉であり、アメリカのソ連に対する勝利ではあるが、それにとどまらない。ソ連型党国家を形成したコミンテルン主義の敗退であり、それは裏返すと覇権主義型国家のアメリカ帝国を形成した自由民主主義の瓦解でもあり、そして両者のバランスの上に成り立っていたヨーロッパ型福祉国家を形成した社会民主主義の崩壊をも意味する。これは統一ドイツの混迷、ユーゴ危機、旧ソ連邦を形成していた新独立国家の混乱、世界各地での紛争の激化として現れている。
これらの原因は冷戦構造化の秩序を形成していた東西およびその中間勢力のイデオロギーの世界同時代史的な突然死によるものだ。20世紀の「戦争と革命の時代」に軍事的にも経済的にも勝利したアメリカは、軍事的には世界のあらゆる紛争の解決の責任当事国となり、経済的には旧西ドイツと同様に異常巨大化した資本主義システムでグローバル化した世界を牽引していかなくてはならなくなった。アメリカの戦略であった徹底した軍事力の巨大化と絶えざる成長と発展の中でしか維持できない社会経済システムは、世界同時不況、南北問題の激化、宗教対立と民族対立の多発、地球環境の悪化などの形で、人類全体の危機、現代文明の行き詰まりの状態に追いやってしまった。今やアメリカが自らのリーダーシップでどのようなやり方で世界を動かそうとしても、諸悪の根源として常に憎悪の対象とされる。
アメリカは覇権主義を放棄し、圧倒的な軍事力を背景とした他国への恫喝的な外交姿勢と国益優先主義を改めなければならない。道徳的な国家として、発展途上国への政治的、軍事的干渉と、経済進出を中止しなければならない。
これは同じことが日本にも言えるのであって、ミニ・アメリカを目指してはならない。
読書:「ことばと国家」 田中克彦