豪州落人日記 (桝田礼三ブログ) : Down Under Nomad

1945年生れ。下北に12年→東京に15年→京都に1年→下北に5年→十和田に25年→シドニーに5年→ケアンズに15年…

エスペラント

2001-12-15 22:22:15 | Weblog
12月15日(土) 雨時々曇(台風)

  パーフォーマンス

また台風接近ガ接近しています。今度の航海で台風は3度目です。大波のために航程が遅れています。寄港地ごとにピースボートの若者たちは色々のパーフォーマンスを行います。琴や三味線のような楽器から、歌、踊り、手品や落語や合気道なんてものまであります。必ずしも毎回上出来ではありませんが、地元の人たちは日本のようにせかせかしていませんから最後まで見物してくれます。投げ銭も飛びます。中には飛び入り参加したり、そのまま街の案内役を買って出る人もいます。

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  エスペラント

ザメンホフは1859年12月15日、ロシア領ポーランドのリトアニアのビヤリストックでユダヤ人の両親から生まれた。リトアニアは中世以来ドイツ藩王、ポーランド王国、ジンギスカン帝国、プロシア帝国、ロシア帝国、ナポレオン帝国などの支配下に置かれた。

リトアニアはコペルニクス、カント、ショパン、キュリー夫人、ローザ・ルクセンブルグなどの天才を生み、「国は滅んでも永遠に学芸の滅びない国」と言われてきた。

ビヤリストックの住人の7割はユダヤ人で、ユダヤ教会でヘブライ語を使い、街ではユダヤ語を使った。2割はポーランド人で、天主教会でラテン語を使い、街ではポーランド語を使った。1割はドイツ人とロシア人で、それぞれプロテスタントの教会と街でドイツ語を使い、ロシア正教会でスラボーナ語の聖典を読み、街ではロシア語を使った。小数のタタール人はイスラム教会でアラビア語の教典を使い、町ではトルコ語を使った。ジプシーはジプシー語を使った。このように小さな町で、主な言語が4種類、細かく見ると13種類の言語が使われ、人種や宗教や文化や世界観が衝突しあう環境であった。

ロシア皇帝政府の憲兵や役人は威張りくさり、ポーランド人やドイツ人は陰でロシア人を馬鹿にしながら、ユダヤ人やタタール人やジプシーを蔑むことが当然のように行われていた。

子供の頃から、すべての人々が完全で平等な権利を持って話す言葉を持ち、人種や宗教などを越えて、お互いに分かり合い、愛し合い、幸福な世界を築けるような世界をザメンホフは願い続けた。十代の彼はロシア語、ドイツ語、フランス語、ラテン語、ギリシャ語などを学び、世界共通語の創作に没頭した。しかしそれは、ロシアの圧制に対して戦うポーランドの独立運動の闘士たちが、暗号や秘密の言語を使用していたので、危険な研究だった。

1867年、国際的労働運動を指導する第1インターナショナル第2回大会で「世界語は共通の利益である」と決議され、世界共通語の研究は各国でも進められていた。ドイツ人のシュライエルは40ヶ国語を学んだ語学の天才であった。彼は1879年、世界語を創作し、発表した。しかし、欠点が多く実用に耐えるものではなかった。

1887年、19歳のザメンホフはエスペラントの「第1書」の学習全書を発表した。これは16条の文法と、915語の単語と、6つの短い例文からなる小冊子だった。トルストイは「私は2時間足らずの学習で、まだ書けないにしても、読むことは自由にできた。私は人間が、ただ外面的な障害から憎みあう場面をたびたび見てきた。エスペラントの学習と普及とは人生の唯一の主要目的たる神の国を築くことを助ける仕事であることは疑いもない」と述べた。

アピアから水先案内人として福山市に窯を持つ陶芸家夫婦が乗り込んできた。陶土1kgで3000円の陶芸教室をやっている。しかし東京からパッセンジャーとして乗っている別の陶芸家が何度も、自主企画の無料の陶芸教室をやっているので、客足はさっぱりだ。PBから頼まれて医務室の3人でサクラの客になったが、夫婦とも船酔いでかわいそうだった。

17:00よりGETミュージカル公演「コモンビート」の収録リハーサルを観た。乗客70人以上が3ヶ月間練習してきた成果が今夜2回公演される。21:00からサダコバーで小幡、竹花とウクライナ人ピアニストの演奏を聴いていると、22:00ミュージカルの公演がはねて出演者たちが打上げにやってきた。船内には5箇所のバーがあるが、他のバーも珍しく混んでいる。ウクライナ人クルーで貸切のバーもある。今日はオリビア号の25歳の誕生日でもある。ドニエプルバーで24:00まで飲んだ。



読書:「ザメンホフ」 伊東三郎

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