非国民通信

ノーモア・コイズミ

まずネーミングセンスがよくない

2008-05-05 23:31:25 | ニュース

自民、外国人定住へ基本法・「移民庁」設置など検討(日経ネット)

 自民党は外国人の定住を推し進めるための基本法制定の検討に入った。日本で一定期間働く外国人の受け入れや管理政策を担う「移民庁」を設置するほか、不当な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直す。少子高齢化による人口減少の流れを踏まえ、海外からの人材確保体制を強化する。来年の次期通常国会への提出・成立を目指す。

 自民党の国会議員約80人で構成する外国人材交流推進議員連盟(会長・中川秀直元幹事長)が今月中旬に提言をまとめる。ただ、政府・与党内には治安や国内労働問題から慎重・反対論もある。

 ポリティカル・コンパスなんて代物がありまして、適当な質問を埋めていくと自分の政治的・経済的立ち位置がわかると銘打たれているわけですが、中には回答に迷う質問もあります。例えば日本語版のこの質問「移民の受け入れには積極的になるべきだ」 これに同意する~同意しないの二択で答えなきゃいけないのですが、私には答えにくい質問です。というより、質問の内容が漠然としすぎています。

 財界、経団連など安価な労働力を欲している立場からすれば移民の受け入れは賛成なのでしょう。逆にレイシストからしてみれば、その偏見の故に移民の受け入れは反対となります。で、我々左翼はその両者に反対です。労働力の輸入という奴隷貿易と似たような代物にはもちろん反対ですし、偏見や差別心からの移民排斥には言うまでもなく反対です。そこで「移民の受け入れには積極的になるべきだ」と。この項目にはどう回答すればいいのか、私には答えようがありません。「反対であり賛成である」なんて回答すれば、それはまさにその通りなのですが、物事を白か黒かはっきりさせずにはいられないこの社会では、両義的な回答は許されません。YESかNOで答えることを要求されるわけです。じゃぁ、どっちにせよ嘘を吐かなきゃいけないじゃないかと。

 で、自民党及びその支持層においても、党全体としてみれば答えを出せないのが移民の問題なのです。経団連の御用聞き、財界の論理の代弁者としては、安価な労働力の輸入は促進したい、一方で排外主義者や排外主義に阿ることで支持を集めてきた人からすれば、移民を有害なものとして排除を訴えたいわけです。自民党とその支持者、一人一人に聞いてみればその見解ははっきりしているかも知れませんが、党のレベルで総合してみると、見事に真っ二つに割れてしまいます。良い機会ですからもう四分五裂していいよ、とも思いますが、ともあれ人権擁護法案などでも似たような構図が見られますね。

 ただ感情的に外国人を拒絶している層も、低賃金労働に依存する旧態依然とした製造業至上主義の産業構造の維持には協力的である場合が多いです。私などは勿論、低賃金労働に依存しない高付加価値型の産業構造に移管しなければならないと主張するわけですが、製造業至上主義への信仰は依然として根強く、こうした構造への変革意識は皆無です。意外に排外主義と「ものづくり」への拘りは重なるところが多いもので、経済的な豊かさよりも「ものづくり」の勝利を追い求める空気も強い、そこに財界の論理の付け入る隙がありそうです。

 今でも低賃金労働への依存の深い日本の産業が、このままの路線で続けていくためには将来的な低賃金労働者の確保が不可欠です。そのために外国人の受け入れと日本の労働者の待遇悪化が推し進められてきたわけですが、とりあえず前者には政府与党とその支持層の間でも反対勢力があります。排外主義的な観点から、ですが。しかしそれが、ものづくり信仰のために揺らぐこともあるかも知れません。差別心の強い人ほど黒人奴隷を受け容れたように。

 とりあえず、私が外国人から「日本で働きたいのだけれど?」と言われたら、思いとどまるよう説得しますね。きっと日本が嫌いになりますから。遊びに来るだけなら、まぁ悪くないのですけれどねぇ。

 

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