心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

京の健康祈願所ウォーク 16キロ

2017-01-21 00:20:28 | 歩く

 きのう、「京の健康祈願所ウォーク」16キロに参加しました。その名の通り、京の町に古くから伝わる信仰の場を、リュックに「いつまでも歩いていたい京の道」のゼッケンをつけて巡りました。週の初めに雪が積もった京都ですが、大通りを少し入ると全く別の世界。まだちらほら屋根に雪が残る街並みを歩きました。なにやら四国遍路のようでした。
 午前10時にJR京都駅前を出発して、塩小路通→猪熊通→九条通→東大路通→花見小路を経て四条通の繁華街→河原町通→松原通→東洞院通→麹屋町通→御池通→烏丸通を北上して護王神社に至る16キロです。京都の街並みを熟知していないので迷いそうになりますが、要所要所に係の方が立っていらっしゃって、4時間後の午後2時に無事にゴールすることができました。
 巡った神社仏閣をご紹介しますと、まず粟島堂(宗徳寺)。室町時代に建てられたお寺で本尊は阿弥陀如来です。「婦人病平癒」を祈願するお寺だそうですが、人形供養の寺としても知られ、境内のあちらこちらに人形を奉納する場所がありました。
 即成院は、かつての即成就院の略で、その名前から「ぽっくり信仰の寺」として知られているのだとか。長患いせず寿命をまっとうできる意味だそうですが、どう受け止めたらよいのか少し戸惑います。
 今熊観音寺は、弘法大師・空海が熊野権現に導かれて建立したと言われています。大師堂の前には「ぼけ封じ観音」が安置されています。隣のご老人が「ボケになりませんように。ボケがなおりますように」と真剣にお祈りをしていらっしゃいました。また、ご本尊の十一面観世音菩薩に「頭痛平癒」のご利益があると信じられています。(西国三十三観音霊場第十五番札所、洛陽三十三観音霊場第十九番札所) 
 剣神社は、子どもの守護神として信仰され、特に「疳(かんの虫、夜泣き)」の神様として知られる白山姫命がお祀りされています。子育て中の親御さんや保育士さんにお参りを薦めていらっしゃいます。  新熊野神社の正面鳥居横に立つ樹齢900年と言われる大樟は圧巻でした。このご神木は後白河天皇がお植えになったそうで、当時は樟を植えると腹痛の病が治まったという古事により、「腹痛」にご利益があるのだと。平安末期の1160年に建立されました。また境内では今熊野猿楽、能楽発祥の地を示す石碑が目に留まりました。 
 安井金毘羅宮は、保元の乱で源義朝や平清盛などを味方につけた弟の後白河天皇との戦いに敗れて讃岐へ島流しに会い、その後崩御した崇徳天皇の霊を鎮めるため、平安時代末期に建立されたと言われます。崇徳天皇は讃岐の金刀比羅宮で、一切の欲を断ち切り、参籠(祈願のために籠る)したことから、「悪縁を切り良縁を結ぶ」ご利益があると信じられています。  仲源寺は、八坂神社に行く途中にある四条通の繁華街のど真ん中にあり、ふだんはなんとなく素通りしているお寺です。でも、いただいた資料をみると、安置されているお地蔵さんは元々雨を止ませ、鴨川の氾濫を防ぐことを願う「雨止み地蔵」と呼ばれていたそうです。その後「あ」が抜けてしまい、「目疾地蔵」と呼ばれるようになり、以後「目の健康」にご利益があるお地蔵さんとして信仰を集めています。観音堂の千手観音は洛陽三十三観音霊場第十六番札所です。  因幡堂(平等寺)は、薬師如来を因幡国(鳥取県)で引き上げたことから因幡堂や因幡薬師と呼ばれています。ここの薬師如来は、嵯峨の清凉寺、信濃の善光寺とともに日本三如来と言われていて、病にかかった人の「最後の拠り所」として信仰厚く、「癌封じ」のご利益があるとして崇敬を受けています。十一面観音を安置する観音堂は洛陽三十三観音霊場第27番札所になります。  白山神社は、「歯痛平癒」の神社ですが、あいにく当日は工事のために参拝できませんでした。  最後の護王神社(足腰守り)は、これまでも何度かお参りしたことのある神社です。長岡京から平安京に遷都される際、桓武天皇を京都を一望できる高台(将軍塚)にお連れして、遷都の決定の一因に貢献した和気清麻呂とお姉さんで孤児救済に励んだ和気広虫を祭神とする神社だとか。「いのししの神社」で知られていて、以前は境内にたくさんの猪のはく製が奉納されていました。ここで祈願すれば足腰が丈夫になる「足腰守護」のご利益があると信じられています。ウォーキングにとっては一番大切な神社になります。 
 きょうは大寒。本格的に雪が降り始める時節です。時を同じくして大寒波が日本列島を襲っています。ここ大阪も、雪こそ降らないものの、さきほどから風雨が強くなってきました。でも、春は確実に少しずつ近づいています。
 御池通りを歩いていて、満開の桜の花に出会いました。その横に添えてあった看板には、こう記されていました。「この桜は『不断桜』という種類の桜ですが1年のうち最も寒くて寂しい時期に人々の心を和ませようと一生懸命努力して咲いてくれます。ご覧のように美しい姿を12月から4月の賑やかな桜の時期までの間頑張って咲いてくれる可愛い奴です。この桜の大好きな粋な仲間が集まって『御池桜』と呼んでいます。市民の皆様今年も可愛がってあげて下さい。(粋人仲間)」とあります。なんとも心温まる文面ではありませんか。   ゴールしたあと、40数年前の学生時代を夢見ながら、京都御所を散策しました。すると、梅の枝に薄っすらと開花の兆し。みんな寒さに耐えながら自分の出番を待っています。いろいろな意味で心なごむ一日でした。   こうして「京の健康祈願所ウォーク」16キロは無事終わりました。医学、科学とは無縁の時代。大通りからはずれた場所に静かに佇むお寺や神社のご利益にすがらざるを得なかったことに思いをいたしながら、なにかほっとする風景に出会えた一日でもありました。
 そういえば、この日初めてお会いした元気いっぱいのお爺さんは、ことし91歳なのだと。その昔、満州で戦時を過ごし、終戦後はシベリアに抑留されてたいへん辛い思いをされたそうですが、この日もさっそうと歩いていらっしゃいました。出会った記念にと、自家製の干支のお守りをいただきましたが、「来年も生きながらえていたら、お守りを作って参加するから声をかけてほしい」と。.....歴史解釈の理屈は横に置いて、こうした方々のご苦労のうえに今日の日本があることを忘れてはいけないと改めて思いました。
 来月は、「大政奉還150年(1)大政奉還奏上(13キロ)」と「北野天満宮梅花祭ウォーク(14キロ)」に参加の予定です。

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3 コメント

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こんにちは! (みいやん)
2017-01-22 19:18:51
参加していらっしゃるカレッジはいつもとても楽しそうですね。
特に今回は音楽もあり...津軽三味線はいいですよね。
いつだったか..日本でも有名な方たちの集まった三味線のコンサートを聴き行ったことがあります。
吉田兄弟とか...
凄く感激して帰ってきた覚えがあります。

奥様のアレンジ花は素敵ですね。
作品から優しさが伝わってきます。
ご近所の方との和やかな集まり良いですよね。

ウォーキング....本当によく歩きますね。
私なんかは殆どきららの散歩の歩数だけです。
後は車ですしね。
運動不足です。困ったな。(笑)




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わぁ~大変。 (みいやん)
2017-01-22 19:48:17
ここに20日の記事のコメントを書いてしまいました。
おっちょこちょいに自分で苦笑です。
あらら。失礼いたしました。

改めてこちらの記事のコメントです。(笑)

色々なところを周って来られたんですね。

室町時代に建てられたとはびっくりしました。
古いのが今でも残っているのですね。

ぽっくり寺...以前に私の家の近くにぽっくり地蔵があったんです。
年を取ったら毎日お参りして逝くときはぽっくりと思っていました。
それがいつの間にかそのお地蔵さんが無くなってしまって凄く凄くがっかりしたことを覚えています。(笑)

ぼけ封じ観音はすぐにお参りしたいです。(笑)

疳の虫.....私の母は疳の虫封じが出来たんですよ。
おまじないとは言ってもそれをやると本当に爪の間とか指の間から細い細い糸の様なものがファファファと出てくるんですよ。
信じられないかもしれませんが本当にたくさん出てくるんです。
子供の時はよくやってもらいました。(笑)


凄いですね。本当に圧巻ですね。樹齢900年

雨止み地蔵さま。
あが抜けて~目になったって~何か面白いですね。
クスッとなってしまいますね。(笑)

もちろん癌封じは即お参りしたいところです。

どうして~いのしし神社なんでしょうね。
珍しい様な気もしますが....私はいのしし年なのでちょっと嬉しい様な(笑)

桜のお話には....ほんとそうですね。心温まりました。

梅の花だって寒さに耐えながら...生きている。
すべてのものが耐えながら生きている~そんな感じもしますね。

私も91歳のお爺様に負けてはいられません。
昔の苦労した方はお強いです。
戦争の体験は言葉には言い表せないほどの事だったと思いますから。
こういう方との出会いはとても大切ですね。

来月もたくさん歩きますね。頑張ってくださいね。

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信じることが一番 (ran_coffeebreak)
2017-01-22 22:58:59
何かとお忙しいのに、ふたつの記事のそれぞれにコメントをいただき恐縮しています。ありがとうございました。

津軽三味線には「門付け」という生きるための悲しい歴史もあったようですが、それだけに心にずしんと迫るものがありました。なんといっても目の前で生演奏ですからね。昨年の秋に体感した尺八と同じく、日本独特の楽器を大事にしたいものです。

家内のお花を褒めていただきありがとうございます。出雲在住の実の姉は華道の先生をしていてフランスにまで出かける腕前ですが、家内はそうではありません。でも、お花に向かうと生き生きとしていますよ(笑)。

「京の健康祈願所ウォーク」。そうですね。京都の町には至る所にびっくりするほど古い建物がひっそりと佇んでいる風景に出会います。そういえば、昨年訪ねたドイツのローテンブルクも、旧市街地は中世の面影をそのまま残していました。温故知新、古いものを大事にする心のゆとりがほしいですね。

それにしても、ぽっくり信仰、ぼけ封じ、疳の虫、癌封じ等々、いろんなご利益があり、それが今でも信仰の対象になっていることに素朴な驚きがありました。みいやんさんのお母さんの疳の虫封じ退治、凄いですね。こうしたご利益信仰は単なる迷信ではなく、樹齢900年の大樟がすべてをお見通しなのかもしれません。

やはり「信じる」ことが生命の源泉だろうと思います。私はこれまで大病らしい大病をしたことがありません。風邪も数年に一回程度でしょうか。少し熱っぽくても「気力」で治してしまいます(笑)。

さて、明日、ご主人がご入院されるようですね。ご心配のことと思います。どうか快方に向かわれるように願っています。
みいやんさんの「温かい心」と少しおっちょこちょいの「明るさ」、そして「信じる心」さえあれば大丈夫ですよ。ご自身のご健康にも気を配りながら、ご主人のお世話をなさってください。みいやんさんが壊れては元も子もありませんからね。「軟張って」ください。
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