心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

近鉄週末フリーパスで伊勢志摩を満喫

2024-04-05 20:38:13 | 旅行

 春の陽気に誘われて(奥様のお誕生日祝いも兼ねて)、近鉄週末フリーパスを手に伊勢志摩に出かけてきました。初日は大阪・鶴橋から伊勢市に向かい、伊勢神宮の下宮と内宮をお参りしてきました。ちょうど桜の開花宣言が発表された頃で、境内の桜もやっとお目覚めのご様子でした。
 お参りしたあと、五十鈴川駅まで戻り今度は鳥羽へ移動。初日のお宿は、3日前にネットで予約したばかりの民宿美浦荘です。浦村の牡蠣料理に旬鮮船盛+煮魚という老夫婦には食べきれないほどの美味しいお料理をいただきました。温泉はありませんが「牡蠣エキス風呂」があって、それがなんとも言えない肌触り。身体の芯から温もることができ、このところお疲れ気味の心身を癒すことができました(笑)。
 翌日は、以前から気になっていた松阪に向かいました。駅から徒歩で15分ぐらいでしょうか。松阪城址が見えてくる途中、観光交流センターに立ち寄りました。江戸時代の参宮街道の賑わい、本居宣長、三井高利(豪商三井家の祖)をはじめ情報の流通が生んだ豪商たちを紹介する映像を20分ほど拝見して、この町の成り立ちをお勉強したあと、本居宣長記念館をめざしました。(下の写真は記念館で購入した本居宣長記念誌の表紙)
 私が宣長の存在を身近に知ったのは、まだ現役の頃でした。仕事が終わったあと立ち寄った古本屋さんで小林秀雄著「本居宣長」と出会いました。当時、小林秀雄に関心があったということもありますが、600頁にも及ぶ難しそうな本なので、すべてを読み通す心の余裕も時間もない忙しい頃でした。かすかに、松阪の商家小津家の出で、京都に学んだあと医者になり、同時に日本人の心を追い求めた国学者でもあったことを知りました。とりわけ印象に残っているのは、山桜を愛した人であったということです。こんな言葉があります。

花はさくら、桜は、
山桜の、葉あかくてりて、
ほそきが、まばらにまじりて、
花しげく咲たるは、
又たぐふべき物もなく、
うき世のものとは思われず
(『玉勝間』「花のさだめ」)
 
 自分のお墓には山桜を植えてほしいという遺言を残すほどに桜を愛した本居宣長でした。企画展では、その遺言と現在の写真を見ることができました。また、筆で書き記した様々な著作物を見ながら改めて文字の保存、デジタルとアナログのことについて考えてしまいました。記念館を出たあとは、12歳から72歳まで住んでいたという本居宣長旧宅(移設)を訪ねて帰途につきました。
 二日目のお宿は、2日前に予約した湯の山温泉のアクアイグニスというお洒落なお宿です。松阪から四日市駅に向かい、そこで湯の山線に乗り換えて湯の山温泉駅をめざしました。千三百年前から続く鹿が自らの傷を癒しに来たという名湯・湯の山温泉でほっこり時間を過ごしました。
 行き当たりばったりの旅行とは言うものの、さすがに老夫婦です。最終日にもう一カ所訪ねる計画をもっていましたが、さすがに疲れました。のんびりと朝湯に浸かったあとは帰り支度とあいなりました。と言いながら、四日市まで戻ったところで、その日の夕食のためにと新鮮な海産物を買い求め、特急列車「ひのとり」に乗って帰ったのでした。

 こうして2泊3日の小旅行は終わりました。近鉄週末フリーパス(土日を含む3日間)4,400円(特急料金は別。4月から5000円に値上げ)に対して、実際に乗った区間の乗車料金が7,590円相当ですから、ずいぶんお安く楽しむことができました。さあて次回はどこに行こう。

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