心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

北欧の音楽を聴いて

2007-04-22 11:44:36 | Weblog
 今朝のNHKFM番組「20世紀の名演奏」は、シベリウスでした。ネーメ・ヤルヴィの指揮で「交響詩“フィンランディア”作品26」「組曲“カレリア”作品56」「バイオリン協奏曲ニ短調作品47」「交響詩“四つの伝説”作品22」「鶴のいる情景」「カンツォエッタ」の6曲が演奏されました。今年は、シベリウス没後50年の年にあたります。同じ北欧の作曲家であるグリーグは没後100年です。わたしはこの二人の曲を聴きながら、まだ見ぬ北欧の風景、文化、歴史、人の生活、物語などに、思いを馳せます。異国への憧れと同時に、日本で言えば柳田國男の世界を思います。柳田は、それを文字で著した。シベリウスとグリーグは音楽で表現した。そのように思います。
 最近、「土」と共に生きる人間の営み、そこから育まれる思想、感性というものを、わたしたちは見失いつつあるような気がしてなりません。「村」は、ムラ社会の象徴として否定的に考えるのが一般的です。戦争を境に宗教観もおおきく変化しています。そこにグローバリゼーションの波が押し寄せてくる。多様性の価値観がうごめく。時々ふと「このままでよいのだろうか」と思うことがあります。都会の喧騒のなかで浮遊している悲しい人々が、時にとんでもない事件を引き起こすほどに激変することを、私たちは日常的に目にしています。都会地どころか最近は地方の小さな田舎町でも残酷な事件が起こっています。自分の足元が見えていない。当然に自らの全体像も見えていない。他人のことになればもっと見えていない。悲しい出来事があまりにも多すぎます。
 ......長椅子に横たわり、こんなことをぼんやりと考えながらシベリウスの曲を聴いていました。そういえば何年か前、きょうの指揮者であるネーメ・ヤルヴィの子息にあたるパーヴォ・ヤルヴィ指揮のコンサートに行ったことを思い出しました。ヴァイオリニスト諏訪内晶子さんの演奏がお目当てでしたが、黒い服を着て颯爽と登場したパーヴォ・ヤルヴィに、妙な存在感を抱いたのを覚えています。曲目はバイオリン協奏曲と交響詩“フィンランディア”でした。
 音楽は、聴く者にいろいろなことを考えさせ気づかせてくれます。同じ曲を聴いても、それを聴く時間と場(空間)によってずいぶん異なる印象をもちます。それがまた楽しい出会いでもあります。
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