ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ターシャの教え

2015年09月18日 | レッスンメモ
ターシャ・チューダーさんといえば世界的に有名な絵本作家であり、また、広大な自宅の敷地に広がる庭づくりを通じて、ガーデナーとしても大変有名な方です。今年はターシャ・チューダーさんの生誕100周年ということで、NHKが過去に放送したターシャの特別番組をBSで再放送しました。これは絶対観なきゃ、と思って全部で三篇にわたる放送を録画しておきました。それから数日かけて少しずつ観ていましたが、昨夜ようやく最後までたどりつきました。いやあ、ほんとに見ごたえのある番組でした。

番組ではターシャの生活の様子がつぶさに紹介されました。「ターシャの庭」では、以前、雑誌の写真で見たことのあるシャクヤクの花が咲き誇っていて、なんて素敵なんだろうとため息が出ました。たくさんのチューリップも見事でした。ただ、ターシャの魅力はこのように素晴らしいお庭や、数多くの作品にとどまるものではなく、彼女の生き方そのものにあるのだと思います。それをじっくりみせてくれたのがこの番組の一番良かったところだと思いました。

今から100年前、ボストンの裕福な家庭に生まれたターシャは、とても風変わりな少女だったようです。農作業や家畜、小動物のお世話が大好きで、お裁縫もお料理も何でも自分で上手にやってしまう。それにもまして大好きだったのがもちろん絵を描くこと。とにかく小さなころから夢見る夢子ちゃんで、同時に、なんでも自分の手でお世話したり、作ったりするのが大好きな自立心あふれる女の子だったようです。

そんな彼女がバーモント州にある広大な土地を手に入れてそこに移り住んだのは57歳の時。自然と共存する形での暮らしにあこがれて第二の人生をスタートをしたのがその年齢なのです。それは彼女自身が口にする夢への切望(デザイア)とそのための努力や忍耐(ペイシャンス)をずっと続けてきたからできたこと。90歳を過ぎたターシャが、自分流のその生き方をつらぬいて、自身の最晩年の日々を心から楽しみながら静かに暮らしている姿は感動的でした。彼女を突き動かしている原動力は「デザイア」なんですね。つまり何かを焦がれるほど強く願うこと、求めること。人には(特に若いころには)誰でもそんな「デザイア」がありますね。「夢」と言い換えてもいいかもしれません。だけど往々にして人生はそんなにうまく運ばないもの。年月を経るにしたがって自分のデザイアや、夢と向き合うことを自分であきらめてしまうことがあります。だけどターシャは何度も強調するのです。「ペイシャンス」つまり忍耐すること、これが大切なんだと。ターシャは「夢をかなえるために焦ってはダメ。ずっと忍耐強くあきらめずに、ずっと夢を追い続けるの。ず~っとね」と、さらっとした口調で、しかもきっぱりと語るのです。

最後の最後まで忍耐強く、自分のデザイアに沿って生きていく、その凛とした強さ、わたしはこれに打たれました。見習いたいと思いました。

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