ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ピアノは生き物

2015年09月14日 | レッスンメモ
秋になり、空気が乾燥してきました。ピアノにとっては喜びの時でしょう。梅雨入りから始まって蒸し暑い夏の間、ピアノにとっては試練の季節です。もちろん大事なピアノのために空調にはとても気を使っています。エアコンと乾燥機を駆使してできる限りの手を尽くしていますが、やはり完全な湿度管理はむずかしい。どうしても重たくねっとりとしたタッチになって私を困らせます。日本の夏、特に九州の夏はピアノには厳しい場所かもしれません。

ピアノはその本体はもちろん、いろんなパーツに木を使っています。木は切られて木材になって、もう生きてはいないと思うのは大間違いで、木材になっても呼吸していて水を欲しがるものだと、ピアノを触って音を出しながら長年感じています。木造建築の住宅もそうですね。我が家は木造ですがこの家を作るときに、設計士さんや大工さんが、木材のもつ生命力についていろいろ説明してくれたことを思い出します。

生活の中でも空気が乾燥してくると、シーツもお肌もさらさらになって気持ちよくなります。そうするとなぜか大きく息を吸いたくなって、庭の緑の香りをいつも以上に感じるし、ピアノの部屋に入るとピアノの木の香りまで分かるようになります。決して新しいピアノではないのですが、それでもかすかに木の香が漂ってくるのです。

ピアノは常に呼吸しながら暑苦しい夏に耐え、秋を待ちわびて、一機に吸いすぎた水分を外へ発散し始めるようです。でも、その繰り返しがピアノを大いに狂わせます。夏の疲れが出た私のピアノたちは、「早く調律してくれ~」と叫んでいます。6月に調律してやっと今週末に調律することができます。もう少し早くしたかったんだけど、なかなか日程があわず・・・、ごめんねピアノさん。

ピアノは生き物です。本当に日々時間の中でも表情が変わります。それを敏感に感じてそれに反応できるような技量を身につけなければなりません。耳をすませ、ピアノと深いところで交信して、そして、タッチを操るコントロール力を身につける。ああ、とても難しいことですね。でも長年同じピアノと付き合っていると、その辺の感覚が少しずつ分かってきて、うまくコントロールできることもあります。こうなるともう本当に単なる生き物ではなくて、私の大切な相棒ですね。さて、今日の私の相棒のご機嫌はどうかな? 最近ちょっとくたびれ気味だけど、もうすぐ調律だから、もうひと頑張りね。調律というのはピアノにとって温泉リフレッシュみたいなものじゃないかしら? お互い体のケアを大切にして末永くお付き合いしたいですね。

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