Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

サルコジ批判票の行方

2007-04-23 | 
フランスの大統領戦初戦の結果が出る前に、一言だけ書き措こう。

サルコジ候補が選挙戦終盤に南フランスで戦時中の対ドイツ傀儡政権下でのやむを得ぬフランス国民を主張して、その正当性を繰り返しているのが、伝えられている。勿論これは、自己の排他主義を擁護してのことである。ドイツを指して「ホロコーストの訳の分からない奴ら」とする、対立候補ロワイヤルが「ドイツを屈辱している」と非難するその対抗馬の言い草は、今後も独仏関係に尾を引く事となろう。

反対に、ロワイヤル候補は適当な時期にベルリンを訪れ、友好関係を強調して、尚且つ選挙戦にもスペイン首相を街頭演説に引き出して、外交経験の無い政治キャリアーを隣国との友好関係を強調することで補っているようだ。それにも増して、生まれ故郷ロレーヌの小さな町シャマーニュを訪れての選挙戦は、その育った本土以外の領土での生活感を交えて、フランスの辺境へも眼差しを投げ掛けさせる。

これは、アルサスやローレーヌ地方をドライヴすると判るのだが、パリから取り残された地域には、サルコジが力ずくで問題を解決しようとする移民者の問題とは違う問題が潜んでいる。各々の故郷を越えた経済圏への依存は、更なる友好関係があってこそ有効に働くもので、パリから見てこれらの地域は厄介ものでしかないのが、問題を起こす移民者にも似ている。

ルぺン候補も永年の活躍のせいか、立派なスーツに身を包んで紳士然とした雰囲気をかもし出しているように思われるが、大分サルコジの票の一角をも食っているような気配がある。最新の予想では、16%まで支持を伸ばしているとされる。

中間派のバイル候補は、ここに来て支持を20%まで伸ばしているようだが、サルコジ勢力に対して決戦投票で戦えるのは、社会主義者のロワイヤル候補でしかないであろう。

40%が未決定と言うから、地方を主に女性候補ロワイヤルに票が流れるとも考えられるが、なんと言ってもその政治手腕は未定で、隣から見ていても些か頼りない。

しかし、今回は前回の欧州憲章承認直接投票時のメディア先行型の世論作りのようなものが感じられないことから、意外にサルコジ支持票と同じぐらい批判票も入るような気がするがどうであろうか?サルコジの内政の手法は、それほど悪くはないと思うが、独仏を軸としたEUの結束を考えると、大きな疑問が投げ掛けられている。


共産党や緑の党は左へ左へと支持を表明するが、そうしたやり方はフランスの政治が今一つ現代化していないことを表していて批判される。高い投票率は、暴動の第9選挙区での政治的関心の高まりも挙げられている。それでもサルコジが目標を果たして、二位の対抗馬とその政治を、一番でなければいけないフランス政治にかけて二者択一の二番目の選択肢としていた。その一方、二位の女史の演説は全てを見通していたように、世界の中のフランスと民主主義の理念を示す大層広大な演説となっていた。あれを聞いていると、大統領こそロワイヤル女史で、サルコジは所詮首相止まりと思わせるから面白い。ロワイヤル候補を日本や韓国の記者が嬉しそうに追いかけていたと笑い話が第三放送で紹介される。



参照:
Election présidentielle 2007
Le Figaro
France2
四苦八苦する知識人 [ 文学・思想 ] / 2007-05-07
民主主義の政治モラル [ 女 ] / 2007-05-05
東部前線での選挙動向 [ 歴史・時事 ] / 2007-04-25
コメント (11)
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