Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「New Adventure」MY LITTLE LOVER

2016-05-28 01:20:35 | music
New Adventure
クリエーター情報なし
トイズファクトリー


なんで突然マイラバの古いアルバムをとお思いでしょうが、
今久々に引っ張り出して聴いて盛り上がってるわけです。

このアルバムは結構好きでありますが、
他のアルバムだって結構好きなわけです。
が、何しろNew Adventureですから。

マイラバはポップの冒険者であったと思うのです。
そしてその冒険はこのアルバムからグンと深まり奥地へ行っていると思うのです。

最近のakkoちゃんだけのマイラバもそれなりに好きですし
頑張っているのは応援したいところですが、
実際のところ昔のマイラバの冒険を引っ張っていたのはもちろん小林武史氏でありまして、
彼の冒険の軌跡が刻まれているアルバムなのですね。

というのは聴いた限りの勝手な思いですが、
このアルバムは実際すごい曲がいっぱい入っています。

2曲めのSTARDUSTはおそらくジョージハリスンのエコーが感じられるコード進行でしびれるし

5曲めの「雨の音」はこれは非常に好きな曲でありまして、
サウンド設計が個性的というか、非常に近い生の歌声に遠目の歪んだドラムスという好きな感じで、
これは7曲目「12月の天使達」とも共通するコンセプトでありまして、
楽器が共同しない、それぞれ別の世界で鳴っているような作り方なんですな

この別世界コンセプトにワタシはとても影響を受けていまして、
しばしばドラムスを遠くして派手にリバーブをかけたり
各楽器に全然違うディレイをかけるミックスをしてしまいます。

売れたマイラバのイメージからすると、王道のマイラバ曲はもしかしたら
「DESTINY」しかないのかもしれませんが、
全曲アレンジを凝りに凝った佳曲揃いです。

大オススメ

と言いたいところですが、
もしかして廃盤なのかしら?
この名盤が?
ええええ?

ということで、中古でもそんなに高くはなってないですね。



ジャケットがとても変で、
なんというか、いわゆるデジパックが塩化ビニール素材でできているというもので、
とても環境に優しくない感があるww
しかもブックレットには、このジャケットは経年劣化するかもしれんが、
アーティスティックな意図で作られてるんで勘弁してね的なことが書いてある。

我が家のこれはまだ全然劣化してません。




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「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー亀山訳

2016-04-20 21:58:23 | book
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
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光文社

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
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光文社

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
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光文社

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
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光文社

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)
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光文社


農奴制が廃止になり地主が徐々に凋落していく
社会主義者が台頭し始める
ロシア国教はヨーロッパのカトリックやプロテスタントの影響を受けながらも傍流の怪しげな宗派を擁しつつロシア的な情緒を孕み続ける
民衆はやはり貧しく貴族階級や役人といえど先細る
科学の成果が人々の生活や信念にじわじわと影響を及ぼし始める
合理主義と神秘主義が混交しせめぎ合う

そんな時代の小説であるが、そんな時代のすべてが人物の言動に溢れかえり渦巻いている。
世の中のすべて、人生のすべてを描いしてしまう「全体小説」が時折出現するが
これは19世紀末に現れた全体小説である。

カラマーゾフ家の父と3人の息子たちの愛憎を軸に、当時の民衆や支配層、あるいは先進的な、もしくは過激な層の思想が、様々な人物の口を借り語られるのは圧巻である。

冒頭近くゾシマ長老が語る素朴で伝統的な宗教思想、次兄イワンによる叙事詩「大審問官」に表れる超越的な人間像、長兄ミーチャが折に触れ語る感情と理性が相反し渦巻く特異な倫理観、少年コーリャによる社会主義・科学主義的な宗教否定、そしてゾシマ長老に深く影響を受けながらもそれらの生々流転を受け止めた末の個の原点に回帰するような(我らが)アリョーシャの呼びかけ。
どれもが激動の20世紀を揺るがし、現代もなお我々の存在の有り様に向かって問いかける力を持った問題軸であることに感動せずにはいられない。

ことに、ゾシマ長老が語り、終盤アリョーシャが追認することになる思想は、個人の体験に根ざした愛や善の発露と、それを源泉とする宗教の成り立ちを考えさせる。宗教とは非科学的なことを蒙昧に信じることではない。誰もが宗教の源泉と無関係に愛と善に生きることはない。そのことを最後にアリョーシャは神という言葉をまったく用いずに語りかけるところは圧巻である。

亀山郁夫訳による本書は、全体の章立てに合わせて4巻+エピローグ別巻という構成になっており、エピローグ別巻は、短いエピローグで幕を閉じた後、たっぷり1冊分ドストエフスキーの生涯とカラマーゾフの兄弟解題が仕込まれている。
また、各巻の終わりにも短めの解説があり、全巻により、小説とそれを理解する手がかりをふんだんに読むことができて、大変なお得感である。

****

誤訳問題とかで刊行後色々と苦しい思いをされたそうだが、そのことで本書の魅力はいささかも損なわれていないとワタシは思う。

本当は子供たちに読ませようと思って買ってきたのだが、ヤツらは根気がないので早々に投げ出してしまった。
仕方ないのでワタシの遺産にして、機が熟したら読んでくれることを願おう。
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「リアリティ・ツアー」デヴィッド・ボウイ

2016-03-28 00:58:09 | music
リアリティ・ツアー [DVD]
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ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル


引き続き追悼中なのですが、
ようやくこのDVDを観まして、
いやーすごいパワーですねえ。
かっこいいし、歌がしっかりしていて素晴らしい。

激しい曲は特にアルバム「リアリティ」に入っている曲などは
アルバムよりもアグレッシヴですごいです。
あのギターループで始まる曲をライブで実際にループ使ってやっちゃう演奏陣も強力だ。
一流というのはこうもすごいのか。

演奏陣ということではみんなすごかったんだけど
ベースのゲイル・アン・ドロシーさんがお気に入りですよ。
ベースもちろん上手い上に、ベース弾きながらボウイとデュエットして
強力な歌唱力を披露するんだよね。
楽器弾きながらアンダープレッシャー歌うというのはある意味これはフレディ超えだよね(笑)

ゲイル・アンはしかもワタシと同い年であります。
ワタシも頑張らないといけませんね。
彼女はアウトサイドツアーに参加していて
次のアルバム「アースリング」にも参加してるので、
あれですね、ツアーやってバンドが気に入ってアルバム作ったというやつですね。
ボウイをその気にさせる実力が素晴らしいな〜


いろいろ感想はあるけど
Life On Mars?のくだりで涙腺崩壊寸前になりまして
追悼面では満ち足りた感じでございます。

歌詞和訳が字幕であるので
ボウイの深みを感じさせて良いですよー

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「蜂の旅人」テオ・アンゲロプロス

2016-03-19 03:19:42 | cinema
蜂の旅人 [DVD]
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TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)


蜂の旅人O MELISSOKOMOS
1986ギリシャ/フランス/イタリア
監督:テオ・アンゲロプロス
製作:ニコス・アンゲロプロス
脚本:テオ・アンゲロプロス、ディミトラス・ノラス、トニーノ・グエッラ
撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス
音楽:エレニ・カラインドロウ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、ナディア・ムルージ ほか


アンゲロプロスとしてはいつものスケール感や
圧倒的な霊感、歴史の重み、などなどをあまり感じさせない作品でした。

主題はいろいろ過去を背負った老齢に達する男に訪れたメランコリーということになるだろう。
メランコリーをもたらしたいろいろなもの、ではなくて
メランコリーとはなにか、でもなくて
メランコリーな状態そのものが主題。
つまり徹底的に内向きなのですね。

マストロヤンニのスピロさんは映画の冒頭
娘の結婚パーティーのシーンからとにかくメランコリック。
いきなり。説明もなしに。
動作はにぶく、パーティーを楽しんでもいない。
ひとり別室にいって水道の蛇口から水を飲んだりしている。

スピロさんはメランコリーを充実?させるために
職も辞し、ひとり養蜂の旅に出るらしい。
どっぷりひたりこむつもりなのだ。それがメランコリーの特徴よね。

ところがそのひたりこみを阻害する要因が現れる
変に人懐こい若い女。
女だからいいじゃんと思わないこともないけれど、
最初はそれはひどく気分を害する存在なのだよね。メランコリーの人にとっては。
場違いというか異世界すぎる。

ウツのときに宴会に引っ張り出される気分かな。

そういう無理やりのぶつかりあいと混合がこの映画をけん引する力になっていくのだけど。
メランコリーなのにだんだん女にひかれていく自分もいるわけで
そういう両義的なありかたがまた愚かしくはらだたしい
ということで、憂鬱と劣情のあいだをゆっくり行き来しながら
二人の旅は行きつくところにいきつくのです。


いきつくところが閉館した映画館だというところは面白いですが
なんで映画館なんだろう。

あと肝心な養蜂のお仕事はあまり描かれないのがちょっと残念。
養蜂に打ち込む姿はメランコリックサイドに深みを与えたかもしれない。
でも仕事が観念的な扱いになっているところはアンゲロプロスらしいところかもしれない。
『エレニの帰郷』の彼の映画仕事みたいな扱いだ。
そういうふうにモチーフの具体性をさりげなく失わせることで
リアリズムっぽいのに実はファンタジーという彼の作風のトーンを生み出しているのかもしれないな。



マストロヤンニは動きがぎこちない印象
どの作品をみてもなにかぎくしゃくしていると思う。
動きが印象を支配するという点でジャック・タチっぽい(強引)


@自宅DVD
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「毛皮のヴィーナス」ロマン・ポランスキー

2016-03-01 02:09:47 | cinema
毛皮のヴィーナス [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン


毛皮のヴィーナス [DVD]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン


毛皮のヴィーナスLA VENUS A LA FOURRURE
2013フランス
監督:ロマン・ポランスキー
原作戯曲:デヴィッド・アイヴス
脚本:デヴィッド・アイヴス、ロマン・ポランスキー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック


軽妙なポランスキー
デヴィッド・アイヴスの戯曲の映画化ということで、
登場人物はふたり。
場面も劇場内のみ。
シンプルだけどこういう映画を撮るのは勇気がいるんじゃないかなあ(と推測)

主にふたりの話芸というか、会話と劇中劇のセリフで魅せるのだけど、
特にエマニュエル・セニエ演じるワンダが、マチュー君演じるトマを
そしてわれわれ観客をどうからめとっていくのかというところがキモですね〜

大変な役割をエマニュエルはよく演じていたと思うのよね。
まあベタかもしれないけれどもやはり
最初登場した時からのなんともうざったい女性が、
セリフ読みが始まった瞬間に、はっとするような変貌を遂げる。
その瞬間をうまく演じていたし
うまく演出していたよね。

それからこの戯曲の面白さであるとおもうんだけど
劇中劇?となっているマゾッホのなかでの二人の関係性が
ほのかにワンダとトマの関係とダブってくる感じになってくるところね。

トマが電話で奥方だか彼女だかに、今日は帰れない
って言うあたりの怪しさがいい感じ。
ほぼエロティック丸出しな場面はないんだけど(二人は触れもしないって感じなんだけど)
でもとてもエロティックな映画よね。
電話とか衣装とか舞台装置とか舞台照明とか
そういうものを絡めて二人の関係がどんどんエロティックになっていくのが
ステキね。

そうそう、人物が二人しかいない分、
照明とか装置が語るのよね
それに音楽が主張が強いw
(デスプラさんなのかデプラさんなのかいまいちわからないけれど売れっ子ですね。)


ポランスキー好きだわあ♪
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「アリゾナ・ドリーム」エミール・クストリッツァ2回目

2016-02-28 23:53:24 | cinema
アリゾナ・ドリーム [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ジェネオン・ユニバーサル


アリゾナ・ドリームArizona Dream
1992フランス/アメリカ
監督:エミール・クストリッツァ
脚本:デヴィッド・アトキンス、エミール・クストリッツァ
音楽:ゴラン・ブレゴヴィッチ
出演:ジョニー・デップ、ジェリー・ルイス、フェイ・ダナウェイ、リリ・テイラー、ヴィンセント・ギャロ

前回は面白く観たがやはりクストリッツァの本流ではないと思い
とくにこだわりを持っていない作品でありましたが、
今回マーメイドフィルムさん他による特集上映という機会に、
一度しか観ていなかったこいつをもう一度見てやろうと思い立ちました。

再観してこれは実に愛すべきフィルムだと思いました。
クストリッツァ的なモチーフとパッションはしっかり持っていて
舞台をアメリカに置いた、魔術的リアリズムによる青年成長譚
+失われるものへの哀歌でありました。

脚本にクレジットされているデヴィッド・アトキンスさんはどんな人なのか
あまりはっきりわからないのだけれど、
根拠のない推測としては多くの部分の原案を持ってきたのではないかしら
それにクストリッツァが反応してかなり肉付けをしたのではないかしら。
結果とても独特なアメリカが描かれることになる。
その化学反応に驚く。



冒頭からかなり意表を突かれ、
我々はあの冒頭の世界が何を意味するのかをずっと考えながら観つづけることになるわけだけど、
そこはそれでまあそのうち考えるとして(笑)、
ここで特筆しちゃうのは、「動物使いクストリッツァ」が
冒頭から強力に炸裂するところです。

あの犬たちはもう人間の言葉を解しているのでありましょう。
あるいはクストリッツァもしくは撮影スタッフの誰かが
犬語を操れるに違いありません。

犬たちの奇跡の名演技のうち、特に吹雪に吹かれながら
どこか平常心をもったまなざしでのアップを披露する白犬くん、
彼は終盤であろうことか人間の俳優によるそのショットの模倣が行われるほどの
雄弁な表情です。

もう必見です。

その後動物使いクストリッツァはやはり犬やら豚やらを多用して
見事な画面アクセントを刻み込むばかりか、
爬虫類である亀すらも意のままに操り絶大な効果を上げます。

というかあのテーブルの亀くんは
エンドロールでクレジットしてほしいくらいのコメディアンです。

エンドロールでは動物の扱いについて出ていましたが、
残念ながら目で追いきれませんでした。
おそらくは虐待には当たりません的なことがかいてあるのかな

****

動物で興奮してしまったが、、
もうひとつ。

空中浮遊はクストリッツァ的なモチーフだが、ここではガンガン飛ぶ。
『ジプシーのとき』ではどちらかというとタルコフスキーぽいつつましい浮遊でありましたが、
ここではああいうたしなみはなくガンガン飛ぶ。
『北北西に進路をとれ』を引用するのは実に正しい。それも2度にわたり。

ジョニデのアクセルくんは潜在的にモノを浮かせる力を持っているのだと考える。
すると『ジプシーのとき』との繋がりが表れる、かもしれない。
両者とも青年が代償を払って大人になる物語であるからだ。

彼らは愛する女性を宙に浮かせる力を持っていると考える。それは自覚されていないと思うけど。
アリゾナ・ドリームでは後半はもうそのことしか関心がない。
アクセルはエレインの飛ぶ願望の実現に昼夜を忘れて取り組み、成功させる。
それは愛の成就であるとともに、
もう一つの愛の終焉でもある。
あの夜に慎ましく椅子に座ったまま浮遊したグレースの姿を思い出す。
その幸福そうな笑顔と、その浮遊の意味を知っているはずの彼女の心の内を。

切ないねえ。

******

ジェリールイス演じるおじさんもなかなかに味わい深い。
彼は過去を体現する。
過去は甘く懐かしい。
彼はアメリカンドリームという大きな過去も
ホームムービーという小さな過去も体現する。
失われたもの。
彼との惜別もアクセルの成長の代償だ。

ヴィンセント・ギャロも素晴らしいよね
彼が劇中でも映画フリークだということが素晴らしい。
北北西に進路を取れ、レイジングブル、ゴッドファーザー。。。

そんでもってリリ・テイラーいいよねえ^^
前半はそうでもないけど
後半どんどん魅力的になっていく


というとりとめのない書き散らしでスンマセン。。。


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rainydays-Live20160210

2016-02-27 03:04:24 | sonimarium通信
先日sonimariumはライブをやりました。
ご来場いただいたかたもそうでない方も
ありがとうございました。
楽しい時間でした。

ライブから1曲
聴いてみてください

RainydaysLive20160210
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「ジプシーのとき」エミール・クストリッツァ

2016-01-25 16:00:07 | cinema
ジプシーのときDom za vešanje
イギリス/イタリア/ユーゴスラビア
監督:エミール・クストリッツァ
脚本:エミール・クストリッツァ、ゴルダン・ミヒッチ
音楽:ゴラン・ブレゴヴィッチ
出演:ダヴォール・ドゥイモヴィッチ、ボラ・トドロヴィッチ、リュビシャ・アジョヴィッチ 他


念願叶いついに観ることが出来。

暗い映画だよと聞いていたのですが確かに暗く、しかし劇中のセリフにあるとおり、人生は蜃気楼だという諦念に似たはかないものへの愛情に溢れた作品でした。

彼は運命の前になす術もなく心を捻じ曲げていき、最愛の女性の言葉すら信じないようになりますが、大きな代償を払い、自分の義務を知り、それをなんとか全うする。

これが感動ぜずにおられましょうか(*_*)

しかし一方では自分を捻じ曲げた運命への復讐心を抑えることはできなかった。これは彼の弱さでしょうが、しかし彼は真の強さを育む機会はなかったのです。

これを悲しまずにおられましょうか(*_*)

人生は蜃気楼。翻弄されながらも自分に残るまっすぐな気持ちに動かされしかし迷いながらいつの間にか人生は終わるのです。

クストリッツァがバルカンの非常にローカルな作家であったことが、逆にどの文化でも語れるような普遍的な作品を残した、そのことがよくわかる映画でした。
クストリッツァはこの後もっと大きな物語の中の変わらぬ人間の姿を、もっと軽妙なタッチを加えながら描いていくことになるのですが、そこには変わらずこの映画のエコーがあるように思えます。

****

「パパは出張中」でパルムドールのあと4年を置いての本作。ローカル色豊かな前作に比べ、後におなじみとなる祝祭的なドタバタとドラマの融合の要素が出てきたようである。

音楽はゴラン・ブレゴヴィッチ。「アンダーグラウンド」までクストリッツァ世界を担う音楽を書く。本作でも哀愁豊かなロマ音楽を聴かせる。おそらくは音楽は登場人物が奏でる形でしか登場しなかったのではないか?どうだったかな?
ラストの祝宴での音楽は演奏者は映らなかったと思うが、まあ現場で演奏してるよね。

動物使いクストリッツァは早くもここから手腕を発揮している。あの七面鳥は人間語がわかるのかいな。。。
優れた監督は優れた動物使いである、という命題が持論ですがw他にはジャック・タチかな。

あと子供が名演技。出てくる子みんながみんな素晴らしい。筆頭には妹くんを挙げましょう。

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David Bowie - Ashes To Ashes - 2016.1.10

2016-01-11 22:09:02 | music
David Bowie - Ashes To Ashes


デヴィッド・ボウイのアルバムで好きなものを列挙しようかと。

スケアリー・モンスターズ 対象商品
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ワーナーミュージック・ジャパン

SCARY MONSTERS(1980)
これが一番好きかもしれない。とくに前半が。
1曲目It's No Gameのおそらくロバート・フリップと思われる破壊的なリフと
日本語ヴォイスでしびれた。つかみはばっちりというやつである。
Ashes to AshesのPVも当時としては最高に凝っていたと思う。
曲の何とも言えぬ哀愁がよいですよ。

1991盤にはボーナストラックで「アラバマ・ソング」が収録されているそうだ。
この曲のアレンジもかっこよすぎる。ブレヒト=ヴァイルの作品を取り上げるセンスもよい。
ボーナストラックには「クリスタルジャパン」てのも入っている
そういえばそんなのありましたな。全然詳細覚えてないが。。。

Stage
クリエーター情報なし
Virgin Records Us

Stage(1978)
ライブアルバムですが最高にかっこよかった。
ベルリン時代の重い雰囲気をしっかりライブでパワーアップさせていて
深夜に浸りこんで聴いたものである。

エイドリアン・ブリューの名を知ったのはこのアルバムだったと思うが、キングクリムゾンでのほうが先だったかもしれん。
映画ウリ・エデル「クリスチーネ・F」(1981)でボウイのライブシーンがあり、
このライブの時の映像かもしくはそれを再現したものと思われるのだが、
スモークが立ち込め重苦しくボウイがゆっくり登場してくるなか、
そのライブチームのギタリストだけが軽妙なアロハシャツでニコニコしていたと記憶している。奴がエイドリアンだw

【追記1】
友人のツッコミによると、なんと「クリスチーネ・F」にはエイドリアンは出ていないそうだ(!)
ワタシの記憶違いのようである。ではいったいどこでボウイのうしろでへらへらしているwエイドリアンを観たのだろう?
こうなるとまったく思い出せないのであ〜る。。。【追記終わり】

アルバムではジギースターダスト時代の曲も披露されているが、アレンジと歌い方はベルリンモードに更新されており、これも実にかっこいい。

2005にリマスター版が出たが、オリジナル版と曲順が変えられ、
実際のライブでの曲順に準じたものとなっている。

Heroes
クリエーター情報なし
Virgin Records Us

"Heroes"(1977)
スケアリー・モンスターズを聴いてからヒーローズを買ったと思うので後追い。
ベルリン時代という先入観もあってか、非常に暗くドラマティックな内容で感動した。
今聴くと結構ダンサブルなトラックもあり面白い。
ブライアン・イーノのシンセサイザーと思われる奇妙な音がとがっててかっこいいのだ。
B面のインスト曲でサックスや筝を披露するボウイだがこれも暗く怖い感じでよい。
音が古びない名作だと思う。
アルバム・ジャケットの写真は鋤田正義で、これで鋤田氏の名前を初めて知ったと思う。

Low
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Virgin Records Us

LOW(1977)
"Heroes"の少し前にリリースされたアルバム。
こちらは暗さはあまり感じず。ボウイとイーノであれこれと実験的ポップロックを模索した感があり。
その意味であまりコンセプト的な焦点はぼやけた印象であるが、聴きこむとなかなか愛すべきアルバム。
B面だったインスト曲もすばらしいと思うけど、当時としてはだいぶ大胆な感じだ。
この時期のアルバムばかり並べているが、こういうヨーロッパ的なアートの雰囲気が
ワタシにはミソなんだと思う。ジャーマンロックの影響とか。ブラックコンテンポラリーの影響下にあったこれより前のアルバムとは一線を画すって感じだ。

ジギー・スターダスト
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン

The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(1972)
ジギー・スターダスト
歌い方もサウンドもちょっとグラムロックの香りをまとっているが
これはこれで好きである。
架空の人格を演じて架空の世界についてのコンセプトアルバムってのがまたかっこいい。
このアルバムは後追いで80年代になってから聴いたんだけどね。
曲はわりと普通なポップロックだけどいい曲多し。
starmanとか名曲。

ステイション・トゥ・ステイション 対象商品
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン

STATION TO STATION(1976)
Stageでの演奏がかっこよかったのでオリジナル盤を買ってみたのだが、
音が軽くてちょっとがっかりした記憶アリ。
当時レコードプレイヤーがない環境だったので、あろうことかカセットテープでリリースされたものを買った。
この中で非常に好きなのは最後のWild is the Windなんだが、これはボウイの曲ではなく、映画「野生の息吹き」の曲なんだね。こういう曲をレパートリーにするところも好きなところよね。エモーショナルでトラディショナルな歌も魅力たっぷりに歌えるんだよね。
そういやビング・クロスビーとデュエットとかしてたよね。
ジャケは「地球に落ちて来た男」のスチルからだね。

ロジャー 対象商品
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ワーナーミュージック・ジャパン

LODGER(1979)
地味なアルバムだと思うが結構好き。
1曲目のFantastic voyageが特に好きなのだが、ほかにもヤサシンとかルックバックインアンガーとかアフリカンなんとかとか面白い曲多し。
ベルリン三部作の一つということになっているが、これはくくらなくてもいいんではないかなと思う。
ロウとヒーローズはくくってもいいと思うけど。
エイドリアン・ブリューなどStageのツアーメンバーが参加。

Let's Dance
クリエーター情報なし
Virgin Records Us

Let's Dance(1983)
80年ころからボウイを聴き始めたので、新譜がでるぞ!って言って買ったのはこのアルバム。
でもとんがった暗めのボウイを好んでいたので、この路線はどうだろう?と思いつつも、
結構聞いたので好きなアルバム。
この後のTONIGHTからは新譜を追わなくなってしまったんだけどね。
1曲目MODERN LOVEの疾走感は好き。カラックスがまさに疾走シーンで使っていたよね。
ナイル・ロジャーズの軽快なギターも結構好きだった。
時代の気分によく合っていた。

The Next Day
クリエーター情報なし
Sony

THE NEXT DAY(2013)
「リアリティー」や「ヒーザン」などは聴いてはいたがそんなに乗れなかったんだけど、
このTHE NEXT DAYはワタシの心をわしづかみにしたのよね。
すごいアルバムがきたーと。
タイトル曲の俺は死なねーぞ的なボーカルワークがムネアツ。
サウンドも新しくとんがっている。
ボーカルがなくてもかっこいいといえるほどだ。
最高にかっこいいと思うのはIf You Can See Me
変拍子と不穏なコードを使ったアグレッシブなロック
還暦過ぎてこのサウンド。最高だね。

クリエーター情報なし
SMJ

★(2016)
そしてこれ。
昨日買ったばかりでまだ聴いていない。
PVをチラ見したがボウイがまだ一線にいることが強く感じられる。
ボウイは亡くなったが
音楽はこれからだ。

RIP



【追記2】
ハンキー・ドリー
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン

ハンキー・ドリー(1971)
このアルバムを入れるのを忘れていた。
地味といえば地味なのだが好きなのよね。
やはり特にLIFE ON MARS?が好きだが(われらがリック・ウェイクマンがピアノだしね)
その2曲あとのQuicksandという曲も大好きなのだ。
Quicksandは不思議な曲で、なんだか2曲分のアイディアをひとつにしたような感じだ。
ロマンティックなコード進行のサビ?がたまらん。
初期のアルバムではボブ・ディランの影響を受けている歌い方があるが
ここにはまさにSong for Bob Dylanという曲がある。
曲調はディラン風に始まるがその後ディランにはない凝り方をするのだが。

ディランといえば、後にディランのローリングサンダーレビューに参加するミック・ロンソンが
ギターで参加している。

ついでにリック・ウェイクマンのクレジットはRichard Wakemanだったと思う。
【追記終わり】
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「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」セドリック・クラピッシュ

2016-01-03 01:04:13 | cinema
ニューヨークの巴里夫(パリジャン) [DVD]
クリエーター情報なし
オデッサ・エンタテインメント



ニューヨークの巴里夫(パリジャン)CASSE-TETE CHINOIS
2013フランス/アメリカ/ベルギー
監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、セシル・ドゥ・フランス、ケリー・ライリー、サンドリーヌ・ホルト、フロール・ボナヴェントゥーラ、リー・ジュン・リー 他

原題は中国のパズルということのようで、
複雑とか困難とかを表すようです。

グザヴィエ君は自分の人生の顛末をもとに小説を執筆中のようで、
執筆中にもどんどん人生がややこしくなる出来事が起きる。
で、それをまたネタに書く。

映画でのストーリーが実は彼の小説の中の出来事なのかもしれず
彼が書いた結果を映画にしているのかもしれず、
というまあよくある構造ではあるけれども面白いよね。


グザヴィエ君、まったく自分の意志とは違う出来事により
ニューヨークに居を移すことになり奮闘。
10年連れ添ったウェンディと離婚。
親友イザベルの頼みで人工授精の父親となり。
ひょんなことから中国人タクシードライバーを人助け。
アメリカでの居住権を得るために中国人娘と結婚。
二人の子供と隔週で会う日々は楽しそうだけど。
そこに昔の恋人マルティーヌが子連れでやってくる。
疎遠だった父もなぜかやってくる。
イザベルはベビーシッターのイザベル(同じ名前だ)とできてしまう。
陰険な移民局が絡んでくる。

終盤誰もかれもグザヴィエ君のアパートにやってくるのがおかしくてたまらんが、
決して笑いをとろうとして仕組んでいるのではないところが素敵だ。
人生十分に複雑で可笑しいので
ことさら笑いをとらなくてもよいと思うのだ。
そういうスタンスなので軽妙だけどなんか渋い。
彼の自称ダメ人生を淡々と提示して
我々はそれを観て、ほのぼのと笑って時に共感し時に疑問に思う。
それ以上はいらんという感じ。

脚本がとてもよいよね。
パワーの7割くらいは脚本かも。
映像もいいんだけど。
ニューヨークがパリと違って背が高く雑多で
下層から上層まで階層があることをよく映像でとらえていると思う。
クラピッシュさんなかなかの才能だわ。

***

「スパニッシュ・アパートメント」で始まったグザヴィエ君の人生を追うシリーズの3作目ですが、
彼らも40代に差し掛からんとして、
複雑で迷いがあり御しがたい人生だけれども
それをそれとしてどうやって受け入れてどうやって幸せを求めていくかということについて
それぞれが次第に方法を身に着け始めているというところで、
なんとなく生き様にも深みが出てきたなーと思わせて
3作中ではいちばん面白かったかも。

ショーペンハウエルやヘーゲルまで現れて(笑)
彼らの引用に深く共感するグザヴィエ君に
やっぱり同じくややこしくも大人になっちゃった我々もまた思いを同じくするのです。

ところでいちおうハッピーエンド風に終わったけれども
続編はあるのかなー?

*****

クラピッシュさん、フォトグラファー役でちょい出演しているようだ。
フォトグラファーというとあれかな
グザヴィエとナンシーの結婚式のときのカメラマンかしらね。

オドレイはとてもいい感じよね。
いいわー

あとベビーシッターのイザベルも可愛くていいわー

子供たちも名演技で最高です。

*****

こういう連作は当然トリュフォーを思い出すのだけれど
トリュフォーもやはりドワネル君のややこしくもひょうひょうとした
複雑で滑稽な人生を淡々と追っていった感じで、
スタンスが結構似ていると思う。
あっちのほうもまた観たくなりました。

うふふ。

@自宅DVD
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