Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

フランケン葡萄処漫遊記

2024-06-21 | 試飲百景
ヴュルツブルク訪問の目的の一つにワインの試飲もあった。四半世紀前に出かけた時は可也上流のフォルカッハとかで物色した覚えがあて、そこのマドンナ像の絵葉書が今も手元にある。その後所謂フランケンヴァインに関しては、リースリングのメッカに住んでいるものとしてはその土壌の石灰質からして評価するのは難しくなって、試飲しに行くだけの価値は見いだせなかった。

要するにすっきり辛口とか言われるそれは、直ぐに黄色くなってしまうような質の悪い表層的な辛口リースリングでしかないとなる。本格的なリースリングは雑食砂岩のエッジの効いた辛口でしかない。

そのような中でもミュンヘンのダルマイヤーなどでのシルファーナーの食事への合い易さなどから見直していた。そこで今回は、時間のある日曜日に開いているVDP加盟醸造所からシュロース・ゾンマーハウゼンに出かけた。オーナーがワイン街道ノイシュタットのミュラーカトワール醸造所の前名親方シュヴァルツの下で修行したということである程度の傾向を掴んで出かけた。

辛口のジルファーナ―とリースリングを一通り試した。やはりお得意はジルファーナ―であって、流石に2021年のヴィラージュワインとなるとスモーキーであってとても価値があると同時に、流石ステンレス熟成名人のそれを習って清潔度と純度からの新鮮度がよいかった。しかし、比較で出されたブラウワージルファーナ―の濃くと旨味は通常のグリューナーと変わらないピュア―さに加えて深みとなっているのだ。二年程は寝かせるワインだというのも直ぐに分かった。

そもそも通常のそれが中世からマインから遠くないカステルという街で栽培されてから、フランケン地方でも広がったようだが、戦後にそこのゾンマーハウゼンで色づいた葡萄を選別して新たなクローンとして栽培が始まった様である。だから本格的にも1985年以来の品種となって、今にあるので初めて出逢っても不思議ではなかった。

その他プルミエクリュのアルテレーベンとか、グランクリュと試したのだが、本数を重ねて楽しめそうなのは上のヴィラージュの二種類しかなかった。つまり、自宅で開けて二本三本目と楽しめるワインというのはそれなりの深みがないといけないということだ。そういうワインはフランケンではそんなにないのである。

結局通常の三本でまだ最後のアスパラガスを食して飲み干してしまい。ブラウワーの方の六本は二年ぐらいかけてゆっくりと試しようと思っている。なるほどこの醸造所は既に息子の代なっているようで、木樽による付加価値化を考えているようだ。私が先代にシュヴァルツ親方のそのものだと伝えてくれと語る一方、その熟成に関して質したからなのだが、実際にグランクリュワインが僅か32ユーロしかしないというのは、VDPの組織やそのコンセプトからすると拙い。

はからずしも、またまたVDPの隠密活動みたいになって仕舞った。最後に印籠を示したところだった。お忍びの独ワインの旅となった。ワイン試飲でも音楽の催し物でも同じような塩梅になってきている。



参照:
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今後のシュミレーション

2024-06-03 | 試飲百景
ナーヘでの試飲会だった。とても価値があった。帰路の酒気帯びはやはり気持ち悪かったが、昨年よりも速度違反の疑いはない。比較的しっかりしていたと思う。しかし記憶が飛んでいる区間もある。

どうしても来年新車でというシュミレーションを兼ねている。自身が問題がなくとも例えばマイバッハに当てられたら、酒気帯びだけに責任を擦り付けられるとなるとやはり怖い。新しい車は渋滞とか急ブレーキでの見逃しは避けられて、車線を越えての衝突も避けられる。しかし当てられるのを防ぐのはどこ迄避けられるのかは分からない。速度違反は自車のカメラが速度規制を監視しているので急な工事現場などでも見落としはない。やはり巻き添え事故となるとこれは酒気帯びはとても不利である。車両保険も下りない可能性もある。やはり一時間ほどのところでも宿泊の可能性も考える。

往路も思わずハンドルを外して自動運転に切り替えようとしたくなる。全てシュミレーションでしかないのだが、やはり為れれば安全性が高まると思った。如何に平素から事故を未然に防止する監視よりも速度超過を如何にしないかにしか注意が向いていない。これを全て車に任せて、不意の事象の把握に努めれる。

数年前に信号無視したことを思い出すのだが、あれも歩行者の信号の赤が眼に入っててっきり交差する道路が赤だと勘違いしたことがある。視界に入っていてもその情報を的確に判断するには情報量を絞ることの方が重要である。自動車クラブの申請にも如何に道路の情報を絞るかがあって、広告や無駄な交通標記を撤去するように具体的な要請が為される。

特にここ数年は速度測定はナヴィを前提としていて実際に肉眼では特に高速では見落とすほどの細かな制限が敷かれるようになっている。日中だけの制限速度などもいちいち把握しなければいけなかったが、それも車のカメラが認識してくれる筈だ。

醸造所では初めて裏筋の駐車場に停めた。それなりの台数が駐車できるようになっていて、今迄は停めたことがなかった。今回の目玉はどこにも書いてなかったグランクリュの前落としの葡萄からのリースリングで、特にナーヘの最高級のヘルマンスヘーレの先落としワインは試飲リストにも乗っておらず、通常はレストランなどに供給されるもので、この試飲会だけでの特別奉仕品だった。勿論価格もついていないので求めないと売って貰えないものだった — 実際に事務所で求めても分からないというので、隣で対応していた先代の奥さんが、整理番号を教えて、そして最後には価格はこれと指さした。この三日間でも購入した人は特別な客だけだとそれで分かった。

多くの醸造所では面積当たりの収穫量を落としグランクリュの価格を上げて瓶詰本数を減らす一方、その先落とし葡萄からのワインに価値を付けて瓶詰めするブルゴーニュ方式が徹底して来ている。それによってその下のヴィラージュワイン迄に価値を付けるという戦略である。今回はフェルセンベルクと二種類だったが、21ユーロはお買い得で、現時点では旨味がなくても二年先かにグランクリュの瓶熟成を推測してシュミレーションする為に取り分け有意義となる。これがパイロットワインとなるグランクリュの68ユーロも義務として勿論購入した。

そして、競り用のブリュッケとは、正しくこの醸造所が醸造する世界最高のアイスヴァインの地所からの辛口リースリングである。ここ十年程でのこの醸造所の進化は目覚ましい。(続く)



参照:
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いい時に手をつける

2023-09-26 | 試飲百景
ラインガウワインの試飲会を何とか済ませた。今年は旅行が多かったので未だグランクリュ解禁後の出かけられていない醸造所がある。早速メールを出しておこう。月末にでも立ち寄れるか。

だからルクセムブルクに出かける12本詰めの段ボール箱が届けられていて不意を突かれた。醸造所に試飲がてら取りに行って木箱で欲しいと思っていたからだ。それ程日程がたちこんでいたので手が回らなかった。

そこで木箱を貰うのとそのものダース買いとなった2021年産グレーフェンベルクの一年前の試飲に続き、再度リリースを迎えた熟成度を試した。僅か12本しかないところで一本でも無駄には出来ないのでこうした試飲会でじっくり味わっておかないと今後の発展が確信できないからだ。

グランクリュワインの場合は基本的に瓶詰から二年は寝かしておく。既に一年経っているのでもう一年は開ける意味がない。しかし試飲すると想定外に熟成が進んでいてとてもうまかった。2021年は長雨で九月の好天での熟成と決して容易な年度ではなかったので、ストレスはあったのだろうが、抑々リースリングは天候が悪いぐらいの方が可能性が高まる。即ち気温温暖化でのリースリングは本当の味を出さない。

そこで問題となるのは如何に長く葡萄を下げておいて酸の分解を待つか。同時に秋の長雨になれば腐るだけである。そして貴腐なりが生えてくるといい辛口ワインとはならない。要するにこのワインはそのギリギリのところでの収穫となっていたのだろう。昨年は気が付かなかった若干のポトリテュス風味のようなものが出てきているのだが、健康な果実であったことは疑わない。それによってアイスヴァイン風の干しブドウ味と切れのいい酸が同時に楽しめる。そして一年経って幾分黄ばんだと思う。しかし、同時に葉緑素の色でもある。そして酸が効いている。

嘗てならばこうした既に出来上がった感じのグランクリュワインを取らなかったのだが、何年寝かすかどうかは考えずにいい時に手をつけることを学んだ。永遠に駄目なものは駄目なのだ。それよりは寿命が半分でもこれ程素晴らしいものに投資しないことはありえない。因みに高品質のグローセスゲヴェックスは最低8年は瓶熟成を見込め、新鮮さも20年程楽しめる。

一年前に試飲した時に確信をもっていたのでそれは自慢でもあるのだが、ここまで熟成が進んでいたのは想定外だったとなる。それ自体が否定されるべきことではなくて、来年の今頃一本空けて愉しんでみることで最終評価へと近づけるだろう。少なくともこの醸造所のグローセスゲヴェックスでは頂点であった。

そこでミネラルは豊富なのだが2022年度は酸が弱い分どうしても退屈になるので、奥さんにお願いして2021年のラインガウワーリスリングを別けて貰うことにした。僅か6本で悪いのだが、これはこれで上のワインを開ける時にパイロットワインともなりえる。そして早速開けてみると酸が効いていて新鮮で決して悪くはないのである。そこでも親方に話したのだがザールでも態々2021年物を所望したということで、明らかにリースリングの為のヴィンテージだったのだ。



参照:
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モンツィンゲンの垂直試飲

2023-09-10 | 試飲百景
今月になって入手のワインを蔵に運んだ。三ダースほどだったので、骨折り仕事だが、出来るだけ早く落ち着かせてやりたい。水曜日から涼しくなるので、愈々再びズボンを履いてワインを飲んでの生活に戻る。

地下に持ち込んだらフランススーパワインの一本が同じのが重なっていて、これも早く開けれる。但し期待に沿わなかった時が厳しい。スイスのメルローもあるので、次にそこを通る11月初め迄に先ずは愉しんで今冬の在庫を考えよう。

ナーヘにワインを回収するときにナヴィに二件目のモンツィンゲンを入れてあったので遠回りして仕舞った。感覚的にも分かり難いところで降り口を通り越してしまった。それでも予定より10分遅れぐらいだった。急ぎは二件目で試飲して世界最大のワインフェストで賑わうワイン街道に帰宅するのを遅くしたくないからであった。

一件目のデーノッフ醸造所では葡萄の収穫量にも満足しているようで、既に熟成して、今後の寒暖の差でのいいワイン酸の発展と拠る要素が多い。早めに収穫可能なので、天候もそれほど酷くならないだろう。2022年産よりも多くを期待できそうだ。

そこからナーヘ川を奥へと遡るのだが、PCで調べると名地所ヘルマンスヘーレを通って走るルートが近道と知って、それならば往路で間違った場所を二度通る必要がない。且つて一度車を走らせたのだが奥に迄は通り抜けていなかったので、ワイン地所を越えていく感じで走った。

2022年度産は一本65ユーロと最も高価なその地所のグローセスゲヴェックをを購入した為に、丁度いい写真撮影が出来た。オーバーハウゼンの村に入る石橋が写り込んでいる。その橋を渡ってこちら側がまたアイスヴァインなどで有名なブリュッケの地所である。奏法とも違う意味で世界のリースリングの頂点にあるワインや地所である。

そして奥に入ったゲーテが愛したモンツィンゲンの地所から有名なフリューリングスプレツヘンも古い2009年、2013年、2015年、2018年、2022年と垂直試飲した。細身のいかにもリースリングの2009年は見事でどんな上品な食事にも合わせられ、2013年は若干雑味があり、2015年は脂っぽい若干ぺトロール香のリースリングなのだが、強い食事には文句なく、更に十年寝かしても酸が効いていると思う。2018年は傷がない酸の弱いリースリング乍意外に高品質ではないかとの感想となった。こちらは2023年の葡萄をまだまだ10月中旬まで下げておこうとしていて、天候との勝負になるのであろう。

週末にベルリン行きの準備を纏めておかないと間に合わなくなった。土曜の朝に走って肉屋によって帰って来てワインを片付けて、週明けに帰って来てからの準備もしておかないといけない。試飲会でベルリン・ミュンヘンから帰宅後にボッフム行で泊る街から来ているポーランド人夫婦がいた。ワインを知るようになったのはプファルツの友人のところに来た時からだと知ってなるほどと思った。



参照:
石橋を叩いての樽試飲 2015-06-08 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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赤か白か、有りの侭

2023-05-21 | 試飲百景
日本語版ツイッターのキーワードを変えた。過去にも一度会ったのだが合衆国のなヴァダのパラダイスというラスヴェガスの近いところからログインされたとあった。あまり関連させておらずそれ程怖くはないのだが、パスワードを調べると自身の名前が入っていたので、ネット検索で可也の情報が出て来る筈だ。年齢などは嘘の情報を入れてあるが、住所、電話番号にメールアドレスなどは出てくる。スパムなどが増えると嫌なので早めにパスワードを変えた。さらに最近はカムガールに名前まで呼ばれて、おかしなところから素性が明らかになるかもしれない。日本でもよく銀座などで有名になっているようなものだ。

日曜日は午前中から試飲会に出かけるので、金曜日の成果をざっと纏めておかないと忘れる。幸い飲み過ぎることもなく、土曜日に残ることもなく、いいものを見つけられた。アルコールが抜けるように、早めに就寝出来るように、日曜日に備えたい。

先ずは酸は円やかで、若干渋みのようなものを感じたが苦みはなくて、最初から取り付きやすいリースリングだった。アルコールを押さえて醸造してあるので、幾らでも飲んで仕舞えるために、通常はハウスワインを9本購入するところを12本購入した。16ユーロで、更に古い年度の各上のものがあったので、同年の2016年グランクリュワインを開けるための参考にそれを一本購入した。自分自身は購入後二年の内に全て飲み干していたので手元にはない。〆て220ユーロで、その他を秋の為に予約しておいた。

その予約の一本が、息子兄弟が棚を作って曾おじいさん植えた1949年のゲヴュルツトラミナー種の辛口である。これはその種が早く芽を出すこととその地所の湿気などからぺルゴらと呼ばれる棚を作って、新たに収穫したブドウのようで、コロナ期間中の大きな手仕事だったようだ。勿論その様な小さな農業科の苦労話でワインを選ぶことはない。そして試して見るとなるほど南ティロルの様な冷えた空気がないので涼しさは少ない。しかし綺麗な辛口になっていて、その種特有の香ばしい香りとの対照が著しかった。これは秋にはどうなるかという話しで、先ずは一本確保した。秋の試飲会には行けなくても少なくとも来年からの参考にはなる。

もう一つ注目は、所謂ピノグリ種のワインで、注いで貰ってロゼかなと思ったのでもう一度注がせたぐらいに色がついていた。そして味もいつものとは違って酸が効いていた。こうなると、ここの醸造所の24時間浸けおいてから絞る醸造法の仕業としか思われない。その件を質した。そして白ワイン種であるが抑々色が付いている種をどのように扱うかの話しとなる。つまり赤みが掛かった白ワインの市場での売り方である。

こうなるともう私には、セクシャルの話題しか浮かばない。つまり、白か赤で売らないでも有りの侭でいいのではないかと。今時は性別に態々チェックを入れる必要がなくなっている。これには若い息子たちの賛同が得られ、恐らく大きなワイン展示会でも今後はこのように紹介されるようになるだろうと確信した。

実際にロゼ―自体も皮を剥いでしまって薄く醸造していて、ピノグリに赤みが掛かっているのも当然ともなる。有りの侭でいいのである。食事にも面白いアレンジが可能だと思われる。



参照:
モンサント買収の意味 2016-05-26 | アウトドーア・環境
トレントの銘酒に触手を伸ばす 2012-06-12 | ワイン
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運動可能になった週明け

2022-11-16 | 試飲百景
火曜日から右足の親指が調子悪かった。第二関節が捻挫したようになった。それから親指の付け根まで炎症で腫れた。二月の足の裏とは異なり、指だったのでその前の週にテューシューズの様なクライミングシューズを履いて足を酷使したからだと思った。その意味では複雑骨折というような危惧はなかった。しかし痛風が一番嫌なので気になったがその様な痛さではない。但し靴は前回と異なり履けたのだが、正常な歩行が出来なくなっていた。幸運にも週末から徐々に腫れが収まりだして、日曜日のワイン試飲会も足元は不自由なものの普通に参加可能だった。

月曜日にはマンハイムの会計士の事務所に出かけ、よりよくなったので走りに出かけた。通常の歩行は不自由でも健康の為に、先週の距離は先ず置いておいて、準備運動から歩みを進めた。坂を上るのが苦しかった。片足仕掛けれず、右足も外側で支えるだけだ。それでも何とか上り、今迄の最低ではなかった。但し下りはスピードを出せずに殆どワーストだったと思う。一週間ぶりによくやった。心拍数も苦しさの割には166までしか上がっておらず、今後の参考になるだろう。翌日になって足がどうなっているかである。なんとなく左足と異なり早く治る様に思う。

ワイン試飲会は、少なめの参加者であったが、グーツ―スリング、オルツリースリング、エルステゲヴェックス、グロセースゲヴェックスとVDPの方針に従って整理されたことから、選択は楽だった。

以前はグローセスゲヴェックス即ちグランクリュ「イムブロイメル」と称する地所「ブルガーガルテン」の中の塀に囲まれた一角からのリースリング、それに続いてそのエルステゲヴェックスが一つに絞られて、その下が整理されたオルツリースリング即ちヴィラージュ「ハールト」となっている。ここが以前は本当に町ごとになっていたが収穫量や土壌の性格からして整理した方が品質をあげられて、売り易いに違いない。

今回はオーナーにこの件に関して訊く時間はなかったが、その下のグーツリースリングの品質も含めて成功しているのではなかろうか。こうした昨年のワインではなく今年の収穫に関してケラーマイスターに尋ねたところ、日焼けなどで結構苦労したということで、振り返ってなるほどなと思う。どうしても纏めて量を出すとなると、悪い葡萄を如何に捨てて行けるか、樽を上手く合わせて行けるかであるから、こうした中規模の醸造所ではグーツリースリングをいいワインにするのが一番難しいと思う。そして、そのリースリングこそが地元のノイシュタットのレストラン等では最も地元のいいワインとして提供されるのだから、儲け頭でもあるのだ。一般蔵元価格0.75リットル10,60ユーロという事は七掛けとして7ユーロ、レストランでグラス一杯7ユーロで出せれば儲けが出る。

来月初めのオペラの新制作「魔女」のお勉強準備を始める。先ずは総譜もあったので落としておく。686頁程しかないので、それほど苦労はしないと思うが、一度も耳にした事がない曲なので、下調べから音源探し迄全く始めての事にぶつかるかもしれない。主役のアスミク・グリゴーリアンは週末まで東京なので、戻ってきたら管弦楽練習などをを通して、総稽古へと仕上げとなってくる。



参照:
イアーゴに騙されるな 2018-11-06 | 文化一般
スキー宿をキャンセル 2018-01-09 | 雑感
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谷の見晴らしの良い所

2022-06-01 | 試飲百景
ナーヘ渓谷にワインを買いに行った。コロナ後二度目の試飲会だった。ここは昨年亡くなった人気番組「アルフレッドシモ」でお馴染みだったビオレック博士も顧客で番組でもそこのワインを飲んでいたと思う。番組にはドイツで登場する多くの大オペラスターも出ていたので、誰が何を飲んだかまで確認したいぐらいである。

往路には、お勉強が急務の「ルサルカ」の動画を流していたが、あまり使いものにはならなかった。なによりも音質が悪く割れていた。そしてお得意にしているフレミングが歌っていてグランドオペラの様になっているが、本当かなと思った。更に口元が閉らないような歌い方で、チェコ語が分からないでもおかしいと思った。そして指揮のコンロンもよさそうではない。パリのオペラ座の程度としても程度の低い一幕だった。

アンデルセンの「人魚姫」の話しでそれ程複雑ではない筈だが、今回の新制作では主役らもダブルキャストになっていて、歌う人と芝居で二面性を見せる様な演出になるらしい。歌手の歌は大切であるが、役者の芝居の仕方によっては違う効果が示されるだろう。

早速楽譜もダウンロードすると600ページ程あるが、楽譜面も思っていたよりもドヴォルジャーク風でリズミカルな運びが目につく。チャイコフスキーとは全然異なる。

ここワイン街道からは100km程でバーデンバ―デンなどとも距離は変わりないのだが、アウトバーンを降りてから谷を入っていくので一時間半以上時間が掛かった。特に渋滞もあって、更に谷筋も川沿いには走れずに上部の迂回路から回ったので、余分に時間が掛かり、15時終了の間近に到達した。急いで試飲を済ませることになった。

お陰で帰路に見晴らしの良いところでテルモスのお茶も飲めて良い覚ましにゆっくり出来たのがよい。秋とは違い試飲してからもカンカンと日が照っている春の試飲の良さである。秋には真っ暗になってから帰ってくる。

醸造所には北イタリアからの研修女性がいた。赤ワインよりも白ワインの地域で、南ティロルと変わらないようだ。技術的に最も高度なドイツのワイン醸造所で研修して帰るととてもいい勉強になるだろう。特にそこの醸造所の甘口は酸が取り分け効いていてべとべとしない。

特に2021年産は実りが良かったようで、酸も果実度も高い。その為か下位の辛口ワインも若干糖が残っている感じがするが、夏には冷やしてサマーワインとして飲める楽しみもある。



参照:
公共放送の義務と主張 2005-12-24 | マスメディア批評
身体に染みついた味 2019-09-21 | ワイン
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緑の風に誘われて試す

2022-05-04 | 試飲百景
ワインの試飲会を二件申し込んだ。双方とも今までは連絡無しに突然出かけて試飲してきた醸造所である。しかし流石に一件は中庭で着席で行うというので、予約無しでは難しく、もう一件も人数が集まって賑わう醸造所なので連絡を入れておいた。両方ともまだ何とかなるだろうが、連絡を待つ。

その週末の間にはバーデンバーデンの祝祭劇場に行って、SWR交響楽団演奏でマーラーの七番交響曲を聴く。前の週にミュンヘンで「ブルートハウス」初日があって、その前の週はフランクフルトでオペラである。つまり最初の週を除くと毎週音楽会若しくはオペラがあって、6月第一週も入る予定だ。その他にも幾つかあるのだが出かけている時間も余裕もない。

そろそろ、フランクフルトの「フェドーラ」とハースのオペラだけはお勉強しておかないと間に合わない。マーラーは先ずは小手調べになる。私のような凡人にとってはやはり重荷でアップアップになりそうだ。

そこにワインの話しが入ってくる。2021年度の生育状態などの情報に目を通すと、リースリングとしては熟成度も高い反面健康な果実の摘み取りも可能だった様で酸は可也良さそうだ。

金曜日に中一日で走ると、全く左足で蹴れなかった。頂上攻撃の疲れが出ていて力が入らなかったのだろう。上体を無理にゆすって足を進めた。それでも上りも早めで下りに10分ほどしか掛かっていなかった。しかしなぜか足を怪我する前の一時期から比べても大分早くなっている。恐らく暖かくなって裸で走れるようになったのが大きいのだろう。同時に気温が低めで暑さを感じずに走れたからだろうか。

BGMにLPを流した。面倒なのであまりそういう無駄なことはしないのだが、二三回に分けて四枚組を流してしまった。ヘルベルト・フォンカラヤン指揮ブルックナー交響曲八番である。ベルリンのフィルハーモニカーを指揮して新旧二種のLPを所持しているのだが、旧盤が今後も残ると確信した。新盤は当時の最新録音で新フィルハーモニーで録音されたのでその録音技術とも重要な録音だと思っていた。しかし、旧盤の教会での不完全な録音乍、その演奏の美質に気が付くと、その比較にならない中声での表現力などを聴くと最早比較にならない録音だと分かった。

なるほど技術的には現在のフィルハーモニカーとは比較にならないのだが、その音楽的なアンサムブルと響きは秀逸で、この指揮者がトスカラヤンと呼ばれたトスカニーニ指揮に魅了されていた時代から同じEMI録音でヴァルター・レッグのプロデュースでロンドンで録音されたそれらを髣髴させると同時に、昔のフィルハーモニカーのドイツ的な音楽の歌い口にも溢れていて魅了される。これならばフルトヴェングラ―指揮の圧倒的な音楽にも対照化されるだけの人気に徐々になってきていたのも頷ける。



参照:
敵失で決定のカラヤン 2021-01-11 | 音
将来を決するヤーマイ 2022-03-22 | 文化一般
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中々お目に掛かれない様

2019-09-23 | 試飲百景
口内が喉まで荒れている。週末の試飲会後に酷くなったのだが、酸とは関係なかったようだ。軽い風邪ひき症状だろう。喉雨で誤魔化しているが、このまま何とか治まって欲しい。流石にTシャツは走るときだけだが、体温調整も上手く行っていないようだ。今晩辺りは茄子を熱くして、また生姜などを効かして食事としたい。

書き忘れていたことがあった。週末の試飲会断章だ。今迄は軽食がどんどん出て来たが、もうでなくなったばかりか、先にデポ金を取るようになった。私はいつも忘れて払わないが、要するに立食パーティーにただでと言う輩が多かったのだろう。訪問客も減った。フランクフルトの顧客を持つといっても結局はこの程度だ。

今回は丸いバーに暫く行ったり来たりしていて、一人の男に気が付いた。酔っぱらってはいないが何となく閉鎖的な感じの男だ。反対側に立っているときに、その男がいた付近に老夫婦が座った。そして男が帰って来て、「グラスはどこ行った」と叱責する。「友達のグラスで、誰がワインを飲んだ」と乱立している空きグラスを覗く。

そして老夫婦も「片づけたのじゃないかな」と当然のことを言うのだが、男は興奮気味にグラスを除いて「どこだ」と騒ぐのだ。流石に爺さんも「気が違っているよ」と席を横にずらす。おかしな男がその場を外した。

こちらも正面から見ていて、おかしなことを言うなと、老夫婦と視線を交わして、「飲み過ぎているのだろうよ」というので「見てたよ、どうせ只じゃない」と私らしいことを言って援護した。

そして更に男の様子を観察していた。そして気が付いた。男は一人だと。中々本物の狂人にはお目に掛かる機会は少ないが、これは完全にサイコものだと分かった。身なりなどは若干乱れた感じはあるが、普通である。そして泥酔している様子はなかった。

そして後で考えると、自分自身は金も払わずにただ飲みしているが、当然あの男は早い時期から予約していて金を払っている。こちらは当然購入して返金されることしか考えていないが、30ユーロを払って飲みに来る者もいるのだろう。するとあの男はグラスが無くなっているので本当に怒っていたのかもしれない。新しいグラスに注がせればよいのだろうが、買わないとなると三杯目にはそっと出しになるのだろう。

ズビン・メータ指揮イスラエルフィルのベルリンでのコンサート評も良かった。ヴァイオリニストに関しては賛否両論あった。子供の弾くようなメンデルスゾーンを弾く親仁ギル・シャハンをどう思うかの違いかもしれない。音色も含めて狙っているところが正しいかどうか、少なくとも個人的には20歳の若造の様な演奏をしたカヴァコスよりは理があると思うが、見解の分かれるところかもしれない。管弦楽団の弱さもあるので放送の日によってはツアー中でもあまりよくなかったりするが、確かにこの日は上手く行ったのかもしれない。



写真:グレーフェンベルク2016年産アイスヴァイン、フルボトル430ユーロ



参照:
隠密のラインの旅 2019-09-22 | 試飲百景
眠れなくなる射幸心 2019-06-06 | 試飲百景
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隠密のラインの旅

2019-09-22 | 試飲百景
ワインを試飲してきた。天気が良かったので、気温も例年並みに上がった。それでも気持ちよかった。渡しも思いの外長く待ったが、その間対岸の船着き場も確認出来て、ジークフリートではないが向こう側へ呼びかけたくなった。ホルンを吹くところだろう。

今迄に無く視界も効いたので、メッテルニッヒ家のシュロースヨハニスブルク、ずっと右にエルトヴィレの城郭、その山の方に薔薇の名撮影でも使われたエバーバッハ修道所、さらに右にキードリの村の後ろ側にグレーフェンベルクの斜面が明るく見える。

ワインを取りに行く序でにいつものおっさんにその話しをすると、新しく植えたところは畝の幅を広げてあるという事だった。機械を入れやすいからと説明したので、「手摘みでしょ、だから作業ね」と重要なところを指摘しておいた。勿論説明としては、「日当たりも良く、風が抜けるように」まで加えなければいけないが、倉庫番の親仁を教育するまでの必要はない。但しグローセスゲヴェックスは平方当たりの収穫量は落としてあるからとポイントだけは加えておいた。

醸造所に行って細々と教育するのがVDP会長の隠密と言われる所以で、買い物をして無料で指導までしてくるのだから余程の大人好しである。しかしそうすることでこちらもインサイダー情報を貰える可能性が強いので、益々詳しくなる。

さてワイン自体は想定した通り、斜面の上の地所であるテュルムベルクが一番良かった。他の人を見ていてもそこへ杯が進んでいた。音楽でも同じだが、そうした好みと言うのは決して外れたものではないのである。

グレーフェンベルクは悪くはなかったがやはり酸が効いていない。予約しておかなかったのはそれを予想していたからだった。そして今年の収穫状況からすると2019年は良くなる可能性が強い。

2016年のアイスヴァインも試したが、こちらはかび臭かった。2013年にも似ていて、一般的には嫌われる要素だが、要するにハーブ風で甘さが隠れるのがいい。

グーツリースリングはやはりコクが無くてつまらない。安かろうでがぶがぶ飲む生活は辞めた。そして次のヴィラージュのオルツリースリング「キードリッヒ」は残糖を5.9gまで押さえてあるので悪くはない。兎に角酸が効いていないのであまり強い作りでは仕方がない。更に上の石灰土壌のクロスターベルクは重みがあって喉に引っかかる感じが悪かった。それ以外ではシャルタやテュルムベルクのシュペートレーゼなどまあまあだったが、買えるようなものはなかった。

結局可成り飲んで、帰宅後も飲んで、若干残る感じがあった。こういう時の原因はアイスヴァインに帰す場合が多い。

朝早く起きて、摂氏気温11.5度の森の中を走った。少し早めだったが、陽射しも強く、結構気持ちよかった。汗を掻いて、窓を開け放して、サンルーフを開けっ放しで走るとやはり目立つ。

土曜日は、仕事をしていて少し遅れたが、ミュンヘンのティケットネット一般発売の列に並んだ。新制作「死の街」の二日目の公演一般発売だった。初日の券を貰っているので、必要ないのだが今後の参考の為に情報収集をした。販売方法が若干変わったからで、重要な情報を得た。何時も絶えずこうしたノウハウの為の情報はアップデートしておかないといけない。



参照:
夕暮れの私のラインへの旅 2017-09-29 | 試飲百景
ラインガウへの途上で 2015-09-27 | 試飲百景

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アルコールも欲しくなる

2019-09-13 | 試飲百景
週末のワイン試飲会の事を纏めていない。これといった大きなことは無くはなかったが、ワインとはあまり関係ない。どうもそれが影響しているらしい。ナーヘでは、何時もの様に試飲会の前に、デンノッフ醸造所で発注していたリースリングを回収した。

春の試飲会で2018年の酸の弱さとか力強さで、余り複雑なGCは発注せずに、その下の二種類のGCを購入した。最後の火山岩質のフェルツェンベルクは2013年以来だ。早く開いている時しか買い難く、それほど複雑さは無くても違う味筋のミネラルなので二年もすれば楽しめるだろう。もう一つのデルヒェンは早めに楽しめるバランスの良いリースリングである。一本41ユーロをどう見るか?片方は36ユーロ。三本づつにもう三本既に六本以上楽しんだトーンシーファーリースリングを日常用に買い足した。

更に谷奥に入って俗物ゲーテの愛したモンツィンゲンのシェーンレーバー醸造所で、グローセスゲヴェックスを試飲。古い年度の試飲が良かった。2018年産が2009年産に似ているという事で、ハレンベルク(ハルガンツ)、フリューリングスプレッツヒェンGC、ハレンベルクGCで、今回はハレンベルクが開いていた。二年前ぐらいは反対だった。シュペートレーゼも甘口乍ら、糖が徐々に落ちてきていて、チーズなどには使えそうだった。結局発注していたのは違っていてと言うのは既に書いた。しかし2016年産のリースリングのゼクトがきりっとしていたので三本所望した。

翌日の南ワイン街道のレープホルツ醸造所では、結局買い足しの三本の御用達リースリングのオェコノミラートとその上のクラスのフォンブントザントシュタイン、そして発注していた最上級のガンツホルン三本でかたを付けた。例年通りだが若干クラスを下の方へと比重を下げた。同じ超辛口でも2018年産はそれ程魅力が無かったからだ。

さて、一本は味見で開けた。次はどれを開けるか?自宅で開けていないで既に飲み頃の様な開けれるものはない。オェコノミラートでお茶を濁しておこうか?なぜならばトンシーファーの方はまだこれから年内は瓶熟成しそうだからだ。何か疲れて、軽く飲んで、リースリングでパリ風の棒々鶏でも食したくなった。ジャガイモが無いから米で誤魔化すか。レモンとニンニクを強めに効かせると合うだろうか。

最近はワインの消費は落としている。健康と経済的な一石二鳥を狙っているのだが、購入する数は減らず、高価な方へと寝かすワインへとスライドしているので、金額は明らかに増えている。その分在庫は増えていて、ついつい平素から高級リースリングへと手が出そうになる。価格も一軒当たり数百ユーロ支払うことになり、合わせると年間千ユーロを軽く超えるようになった。

稀に高額席を購入して音楽会や劇場に行くような額を一件に一回で支払い、それなりに交通費も掛かっている。やはりかなりの贅沢であることがこれでも分かる。

それでも昨晩の放送の様な演奏会中継録音を流すと芯から堪えるのでアルコールも欲しくなる。緊張が勝つシェーンベルクなどは出来るだけ流すようにしているが、それでも楽譜を見たりすると、誰かさんではないが発狂しそうになる。あまりにも見事な処理に声を何度も上げる。心臓麻痺になる婆さんに同情する。やはりシェーンベルクの音楽は図抜けて強烈である。あれほど美しい音楽なのでそれゆえに訴えが増強される。チュイコフスキーの方が意外に楽譜が必要になった。視覚的な情報がかなり強かったと思われる。放送ではそれ程の粒立ちが無い。来週のスイスからの放送を比較してみたい。



参照:
2018年産最初の試飲会 2019-05-05 | 試飲百景
眠れなくなる射幸心 2019-06-06 | 試飲百景
分かるようになる話 2019-06-02 | 試飲百景

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眠れなくなる射幸心

2019-06-06 | 試飲百景
日曜日の試飲会はそれなりに価値があった。昨年は忙しくて日程を忘れていた。だから数週間前に試飲していたのにも拘らず売り切れてワインを買えなかった。それどころか人のためにいいワインを勧めておきながら、その価値の分からぬような人間がワインを購入して自分自身が買えなかった。いい加減、そやつの口にワインの瓶を押し込んで流し込んで込んでやりたかった。そんな不条理なことは許せない。結局秋にお慰め程度に下から二番目のリースリングだけを六本別けて貰った。勿論それ以上は要らなかった。

そして今年は2018年という暑い年のリースリングに拘わらずそれなりに満足した。つまり昨年のように収穫量が少なく、貴重な神の雫をバカ者が口にしてしまうような不条理は起きない。しかしあまりにも親しみやすいリースリングとなっているので、選択がより難しくなった。このナーヘ側の上流にあるデーノッフ醸造所は昔のアイスヴァインなどに定評があって、有名人が押し寄せる。今回もバイロイトでも有名な歌手に会えて声を掛けれるかと思ったが日曜日には来ていなかった。以前見かけた時には誰か分からなかったが、既に数晩はキリル・ペトレンコ指揮で聞いている。

ベーシックなグーツヴァインも悪くは無かったが、流石に薄造りでミネラルも控えめだ。そして結局二番目のトーンシーファーが気に入った。アルコールも12.5%とと高めだが、2017年産のイガイガ感が全く無く、その完熟した果実の酸と同時に清潔さとシーファー土壌のミネラルが清涼感にさえなっていて、更に価格が12.8ユーロと大変お得だ。秋にもまだ残っている可能性があるが9本購入した。先代の奥さんがまた端をまけてくれたので、一本12ユーロ以下でこれだけの質の高アルコールのリースリングを購入した。充分に地元のオルツリースリングを地元価格で別けて貰ってもこれだけのミネラルは味わえない。要するに飽きが来ないということだ。

酸がどうしても効いていないのはゲストに来ていたラインガウのキュンストラー醸造所のそれで明らかだった。それからすると先月の同じナーヘのシェーンレーバー醸造所の2018年よりも酸が良く効いていた。やはり谷の冷え方も違うのだろう。そこで先日会った親仁がまた来ていた。「どこで会いましたかね」から始まって、親仁を追いかけまわした。オペルのデザイナーのようで、地元で案内してやるからと名刺を渡しておいた。その他に前々日にレープホルツ醸造所で出会った夫婦にも声を掛けた。

やはり人の話を聞くことは自身の選択の根拠をはっきりさせるためにも役に立つ。何事もそうであるが、考えの道筋をつけておくことは何事にもまして重要だからだ。でなければ試飲会などに出かけても無駄でしかない。しかし上の親仁を二回しか会っていないのにとても気に入ったのはオタクを超えた典型的な数寄者だからだ。

親仁はオークションにも札を出すのだが、その締め切りを前にして夜も眠れ無いと語る。嫁さんが「あんた何をしているのよ」と質すと「どうしようか、ああ幾らにしようか」とあれやこれや考えて眠れないのだ。もうこれを聞いただけで、一人でやらせておけないと思ってしまうのだ。あんたも好きねとしか言えない。差し詰め、音楽ファンならば、どの日にどの辺の席を狙おうかとか思ってあれやこれや考えて眠れなくなるのと似ている。オークションもネット販売もよく似たところがあり、簡単に手に入らないとなると余計に射幸心を煽るのだ。先日知り合ったモーゼルのリーザ―醸造所にも奥さんを運転させて早速訪問したという。我慢がならなかったのだろう。

さて重要なグローセスゲヴェックスの品定めである。新たにグランクリュ指定された「クローテンピュール」と「ミューレンベルク」はもう少し様子を見てみなければいけないが、火山性の「フェルツェンテュルムヒャン」が珍しく癖が無かった。通常は何年か寝かしてバランスが取れたところで味わうリースリングだが、これほどすんなりと楽しめそうな年度は初めてだ。要するに葡萄の熟成が健康極まったのだろう。すると「デルヒェン」も更にどんな食事にでも合わせ易そうでよかった。最も複雑で完成する「ヘルマンスホェーレ」はその分拮抗する内部バランスが弱く感じられた。一本50ユーロ近くするグローセスゲヴェックスであるから何もそういった年度に無理して購入する必要はない。

ほかの甘口などは決して良くなく、オークションリースリングの辛口「ブリュッケ」も良くは無かった。総じて、逃した2017年産よりは遥かに清潔で、ミネラルも充実しているが、酸がどこまで効くかだけだ。少なくとも現時点で弱く感じていなければ、こなれた酸であれば弱ることは無いので大丈夫だと思う。但し寝かして放って置いたら思いがけなくよくなったということはなさそうだ。ミネラルが開いたところでお楽しみである。



参照:
2018年産最初の試飲会 2019-05-05 | 試飲百景
ラインガウワーの印象 2018-05-19 | ワイン
しぶいゼクトを購入 2018-09-20 | 試飲百景
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分かるようになる話

2019-06-02 | 試飲百景
明日試飲会に出かける前に金曜日のそれを纏めておこう。出かける前に冊子を読んでいたように、特別な葡萄の成長過程についての話しがあった。つまり異常に地中に水分の含んだことから、葡萄の生育が遅くなって、今度が四月からの成長が通常は二月掛かるところを四週間で育ってしまったこと、そして八月に摘み取りが始まるという高級ワインを醸造する醸造所では例外的な作業になったこと。それによって集中した手摘みの作業に若い人が奮闘して、そのお蔭であったとの特別な賛辞が発せられた。

そして我々消費者にとってはその出来上がりだ。オーナーでドイツ高級ワイン協会VDPの支部長レープホルツ氏の御講話である。先ずは色の付いたロゼが出された。匂いを嗅ぐとむっとした。その通り1990年産だ。皆はこの醸造所で期待するのは白ワインでしかないが、アメリカでバカ売れしているようなので、試しにこの古いものを出してきたらしい。その心は、2018年の異常な天候からの出来上りのなかでアルコールを11.5%に抑えつつ残糖を0.4gに抑えた出来は、そんなに急いで飲まなくても30年前のものにもまだ酸が効いているので、数年は何ともないという話しである。当時は駆け出しで尖がっていて更に辛口に仕上げていたのだが、その成果である。

三本目は2009年のピノブランが出された。貝殻石灰土壌のもので、現在のそれに相当するものとしての比較試飲である。つまり2018年産は2009年産と共通点があり、ハーブの味はこうして寝かせると食事に合う旨みとなるということで、オリーヴ油のような感じとなると南欧食に合そうということになるか。

五本目はムスカテラーで2005年産であったが、完全に青臭さが落ちていて、なるほどこれぐらい置けば、食事にも合わせやすいというのが分かった。

七本目は貝殻石灰のリースリングだった。これが2005年産で、黄色く成っておらず、ぺトロール香への説明もあったが、その大事な酸は最初に駄目だと思ったら後まで変わらないということを挙げた。つまり、分解された酸でいい感じに感じなければ幾ら寝かしても駄目だということだ。獣臭とか駄目だと。

九本目は同じく今度はロートリーゲンデス土壌のもので2007年産であった。

重要な情報として、雑食砂岩リースリングが百パーセントガンツホルンの地所からのワインになったということで、正真正銘のセカンドワインとなった。

あれ程酸が弱いと思ったリースリングなどを試飲したが酸にやられて歯がガタガタになっている。それでもクールさがあるのは、こなれた酸だけで無しにミネラルの出方だとの話しになった。さて明日はどうなるだろうか?

その前に今晩は幾つもの放送がある。ミュンヘンからのストリーミングはオンデマンドがあるので、それを観ておけば十分だろう。同じような時間に重なっているが、私は真っ直ぐベルリンへと向かう。なんと言ってもユロウスキー指揮の先月16日の中継録音が楽しみだ。メンデルスゾーンのヘルブリーデン序曲からシュトラウスのヴァイオリン協奏曲を日本で人気のイブラギノーヴァのソロで、そして田園を指揮する。通常版での演奏だと思うが一体また何を口から出まかせで語るのか、フィラデルフィアのネゼセガン、ブロムシュテットの講話と同じぐらいに面白い指揮者の哲学の出まかせが楽しみである。

写真:醸造所に行く手前の踏切。何度となく通っていても初めて踏切を待った。そして多方向に遮断機がある。まるで自分の車が間違って踏切内に停車しているような不安に陥った。どこをどのように通るのか中々分からなかった。



参照:
ブロムシュテットの天命 2019-02-14 | 文化一般
トレンドは冷えた「神の雫」 2018-05-15 | 試飲百景
花火を打ち上げる奴 2019-01-01 | 暦
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2018年産最初の試飲会

2019-05-05 | 試飲百景
週末はお勉強とか言いながら、試飲会に出かけた。ナーヘのモンツィンゲンである。ゲーテの推しのワイン産地であった。2018年は暑い夏で、酸が弱い分、残糖を多めにしたものと完全にアルコール化したものとに二種類に大きく分かれた。勿論後者の若干アルコールが高い方を買うのだが、それでも酸が効いていないと重くて退屈になる。

今回飲んだ2018年産シェーンレーバー醸造所のものではオークションワインの「アウフデアライ」が飛ぶ抜けて酸が効いていた。残念ながらオークションであることとどうも高くなりそうなので、初めから試みない。しかし今まで試したこの地所の成果としては一番良かったかもしれない。

そしていつものように「フリューリングスプレッツヘン」と「ヘレンベルク」を比較する。樽試飲であるので両方とも開いていないが、今年も「ヘレンベルク」は購入しにくかった。青スレートとしては平べったく構築感が無かったからである。もう一つの「フリューリングスプレッツヘン」は熟成度が高くて丁度南ティロルのトラミナーのような感じがあったので三本だけ予約しておいた。

しかし今回の目玉は皆口を揃えて好評だった新製品だった。「ヘレンベルク」地所の若干谷奥側の斜面の真ん中当りの新たな区画で昔の名前から「ニーダーベルク」と称するピュルミエクリュである。導入年度なのでまだ正式には名を名乗っておらずNBとしか表示されていない。これが二番目ぐらいに酸が働いていた。全く今飲んでも楽しめるのだが、少なくともまだ半年ぐらいは更に大きく開花して貰いたい。これは価格も中間の26ユーロなので比較的容易に判断が付いた。半ダース予約しておいた。土壌も青スレートの大き目の石ということで期待度は高い。

さてお持ち帰りは、ここは価格を落として「ミネラール」で手を打っておいた。酸が少々弱くとも早飲みなのでいいだろう。14ユーロをどう見るかであるが、最近は飲む量を落としているので許容範囲である。但し来月明け向かうデーノフ醸造所の「トーンシーファー」と比較して土壌感は落ちる。兎に角、家で食事と合わせて甘過ぎないかを試してみなければいけない。

夜中にメトからの中継を録音しておいた上手く行ったようだが、まだ全編は流していない。プーランクのオペラでこの辺りになるともはや音楽監督ネゼセガンに任しておかなければどうしようもない。今晩は同じ指揮者がフィラデルフィアでブルックナーの八番を振るが、こちらは期待できないでも聴かずにはいられない。しかし30分遅れでロンドンからのYouTube中継がある。前半のジョンアダムスはどうでもよい曲であるが、後半の幻想交響曲でラトル指揮のロンドン交響楽団の芸術程度がよく分かるのではなかろうか。

気温が下がって、摂氏2度ほどになったが日差しが強くてパンツ一丁で峠往復を走れた。土曜日早朝も雨降り前にチャンスがあったのだが、サボってしまった。週明けにでもまた一回分ぐらいは取り返せるだろう。

ヴィーンから中継録音でマルキという女性指揮者が交響楽団を振っている放送が流れている。写真でよく見る顔だが、初めて聴いた。「パルシファル」などの難しい曲を持ってくるのも大胆だと思うが、なるほどいいところは分かったが、やはりこの程度の指揮では一流には程遠いと思う。女性枠で仕事はあるが、一流女性指揮者が活躍するまでにはまだ暫く時間が必要だと思う。ヴィーンの交響楽団も監督ジョルダンの実力を反映してか大分下手なのも分かった。

来週は千人の交響楽の生中継があるようで、丁度バーデンバーデンに出かけるので留守録音しなければいけない。オーストリアの東端と西端で一週間違いで同じ曲が演奏させる。地理的にも遠いので重なる人は殆どいないであろう。本来なら都での演奏の質が比較できないほど高くても良い筈だが、ヴィーナーフィルハーモニカーがいつものようにごちゃごちゃの演奏をしそうでこれもあまり質を期待できない。



参照:
二日間の試飲の旅 2018-05-08 | 試飲百景
週末に考えること 2019-01-26 | マスメディア批評
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もぞもぞとした地所の味

2018-11-05 | 試飲百景
ボストンからの生中継を録音した。上手くいったようだ。同時刻にアーカイブ録音として、エッシヘェンバッハのアメリカデビューをセル指揮でというのがあった。クリーヴランドの楽団からも「いいよ」を貰ったが聞けなかった。やはり過去のものよりも現在のトレンドの方が重要な情報だ。その過去もそのモーツァルトのピアノも嫌というほど聞いているので確かめるだけでしかなかったからだ。実は寝入ったのは、放送が始まる午前一時の十分ほど前だが、起きだすと三時まで眠れない。徹夜する価値はない。両方を録音することも可能だが、これも睡眠に影響を与えるので断念した。

最初のハイドンの交響曲もボストンのあのアンサムブルの妙が心地よく、同時に鳴りは小澤の時よりも遥かに良い。なるほどライプツィッヒでは出来ないことも可能としているので、二足の草鞋は続くのかもしれない。高名なホールの音響も綺麗に捉えられている。生放送の鮮度が違うのだろうか?

タネージの新曲は、意外に交響楽団が発音に慣れていないような感じで、なぜかゲヴァントハウス管弦楽団の方が初演慣れして遥かに上手いという先入観を覆す印象である。確かに小澤のころからボストンはぐずぐずした発音が特徴で、メリハリがない代わりにボストンサウンドのようなものを形作っていた印象がある。何か当時は、ケンウッドかトリオか東芝がそのようなキャッチフレーズで観音開きのステレオ家財道具を販売していたような記憶がある。シックと称するそれは、些かもこもこした音がしたのだろう。

そうしたなにか歯切れの悪さは後半のエルガー作「エニグマ変奏曲」には向いているのかもしれない。その意味ではいかにもな感じだったが、総合的にゲヴァントハウスとの演奏比較は、芸術性文化性を度外視しても、一長一短であり、よほどのことがない限りアンドリス・ネルソンズがゲヴァントハウスを投げ出す根拠はないと思う。

試飲会に出かけた。結論からするとそれほどいいものは見つからなかったが、悪くもなかった。三種の一級地所からの三種類を比較するのに熱心になった。毎年は出ないギメルディンゲンの「マンデルガルテン」と称する地所のものが出ていたからだ。それの問題はアルコールが13.5%もあって糖が三グラムとなる。要するに栄誉たっぷりなのだが酸が乗っていて、同類のナーヘのシェーンレーバー醸造所の「ハルガンツ」などよりも軽く感じる。いくらでも飲めそうなのが厄介で、飲み過ぎ食い過ぎになりそうだ。日本酒感覚ならばこれでもよいのだろうが、小さな食事と合わせるとやはりぶつかる。今すぐ飲み干すならば香りも高く一番上手かったかもしれないが、半年も置いておくと丸くなって退屈しそうなのだ。だから結局クラシックな選択で「ビュルガーガルテン」を購入した。これは、もぞもぞとしたミネラルで2017年産は特別な出来ではなかったが二年ぐらい掛けて熟成して開いてくる可能性高いからである。要するにがぶがぶ飲んで無駄をすることがないリースリングだ。価格も20ユーロを切っているので文句はない。それに比較すると29ユーロのグローセスゲヴェクスならよそで更におもしろいものが買える可能性が高い。



参照:
赤みが薄い今年の紅葉 2018-11-03 | 生活
還元法は十五年も前のこと 2015-05-06 | 試飲百景
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