ミュンヘンやらフランクフルトでも歌っている人のようだが、ネットで聞いてみるとどちらかというと軽い方のバリトンでイヤーゴには厳しいと思った。そして代演するのがブルガリア人のウラディミール・ストヤノフという人でそれ程出番は多くはないがこの役を得意としているようでその声は深い。演出にもよるだろうが、昨年ミュンヘンでジェラード・フィンレイの歌唱で聞いたので、技術よりも今度は声の力だけある人でもいいと思った。どちらかというと昔のギャウロフとかそちらの方の声を思い出す。顔つきも実年齢よりもどすが効いている。なによりもオテロ役のステユーワート・スケルトンのオテロが特に心配になる。どう考えても声も個性も弱い。兎に角二日も行くことになっているので何とかして欲しい。
Vladimir Stoyanov - Tribute
この劇場で有名な催し物はヘンデルフェストと呼ばれる比較的歴史のある催しだが、ヘンデルに関しては所謂小楽器ブーム以前から大劇場でも取り扱われていたこともあり、こうした保守的な劇場が催してもあまり関心を呼ばない。時々、話題になるので新聞評やプログラムなどを見るが態々出かけるだけのものはなかった。そして今回その座付管弦楽団を聞いて益々足が遠のきそうである。
DAS SCHLAUE FÜCHSLEIN - Trailer
現在監督は小沢の弟子とされるダスティン・ブラウンというケムブリッジ出身の指揮者がやっているが、二期以上に亘って長くやっていてあの音楽的な水準しか残していないので注目不必要な音楽家であることも確認できた。地元に住んでいる人ならばあれやこれやというのだろうが、我々となると一瞬で判断を下していかないと限が無い。要するに実際に聞かないでも見切りをつけるだけの予測の自信はある。勿論音楽監督自体が棒を振れば拍が決まっていただろうことは容易に想像可能であるが、管弦楽団の土台として全くなっていなかった。大野の頃の方が少しまだましだったかもしれないと考えてもおかしくはないであろう。そもそもあのポストに何年もいることが多くを語っている。
2017 Europe Tour Behind the Scenes Video 9, October 28, Luxembourg City, Luxembourg
さてその音楽的な出来の悪さは承知で出かけたのはアニメーションを観たかったからで、クリーヴランドで長く評判の良かったマルティメディアプロジェクトだった。欧州では一昨年ヴィーンの楽友協会で二三回放映されただけで、今回は二回目だと思う。その時の音楽はメスト指揮のクリーヴランド管弦楽団の演奏で、ルクセムブルクではコンツェルタント形式としてアニメーション無しに演奏された。最初のガイダンスでも話しがあったが、170のセクエンスが切られていて、そのインデックスで演奏の経過に合わせて、次のセクエンスへと切り替えられる。実際に冴えない棒とリズムで演奏されるので、若干繋ぎが唐突な感じがするとことも無くは無かったが、大きな事故も無かった。興味深いのは、年長者向きディズニーなどを印象させる縦のフィルムノイズ線を入れてあるとの説明だったが、これは鵜呑みに出来なかった。恐らくその動く線が無いと、カットの繋がりやスクリーン前との同調で目立ちやすい歌手が顔を出す窓の開閉などが目立ち易くなるのだと思う。この説明には疑心暗鬼した。
The Cleveland Orchestra "The Cunning Little Vixen" :30 spot (Edited by Miceli Productions)