フランス大統領選の成り行きには興味がある。サルコジ候補が学生市民運動である68年闘争の否定を最後まで強調してそれを掲げて、社会党に「あれがなければ、二世のサルコジも大統領になる事も無ければ、女性大統領もありえない」と矛盾を突かせる。またフランスの植民地主義に根を持つ戦中戦後への懐疑に終止符を打って、一気に駒を進めようとする姿勢は知識人の顰蹙を買っている様である。
確かにあの世代から若い世代への交代時期には違いない。しかし皆が興味あるのは、本当はグローバル化の中での自己保存であり、如何に民主的な自由主義体制を 進 め る かにあるのだろう。しかし、それでは政治として選挙に勝てないと言う鉄則があるようだ。
その政治体制も、先日亡くなった歴史家ルネ・レモンの説によれば、上からの調整を善しとする強引なボナパリティズムと言われるものから、王の分家をオルレアンを名に冠する人権尊重の派閥、そして王権神授の王制をモットーとする三派をここ二百年間に渡るフランス保守の伝統とするらしい。
その点からすると、新自由主義と国益を重視しながら、市場原理主義を担う68年運動世代を批判して、更なる前進を目指すとするサルコジ候補が、来る総選挙で国会の支持を固めると、かなり強権な体制が出来るのだろう。しかし、それで国内外巧く行くとは誰も思わない。最も弱者に圧し掛かる社会の不安定要素を、本当に取り除く事が出来るのか?
しかし、遵法と違法の後者をして、自由と呼ぶ思想がフランスにはあるようだ。「最小限度の遵法可能となる規制」を善しとするリベラリストのミッシェル・オンフレーは、サルコジとの対談で、「権威があって、規範がある。それが無い所では違法行為も無くて、自由も無い。違法は自由だ。」と述べている。そうした土壌での安定要素とは何なのか?
反対に知識人にはロワイヤル女史の人気は、依然として高いようである。そしてTV討論会での彼女のファッションや仕草や態度が多く話題となっているようである。立て襟のブラウスとTVでは終始隠されていた上着と同じ黒色スカートのモノトーンアンサンブル、そしてメーキャップや装飾品の無い男装気味の井出達に、親子の軋轢として有名な父親の士官服をイメージした人が多い。
その点からも、フィリップ・ソレルスの様に彼女を「洗練されたフランス女性」と賛美する者がいる一方、彼女はフランス人の小母となって、子供達を監視するとする観方もある。そして、それは彼女の生い立ちへと遡り、共和国の時代逆行を余儀なくするとされる。
何れにせよ、基本姿勢に反全体主義と混合の新哲学を観て、ミッテランやシラクのオーラの終りと、共産主義に続くネオファシズムの没落をこの選挙に見るようだ。
しかし、如何に上手に説明を試みても、このような複雑な構造になるので、それらはイデオロギーとしての真価を失っているようで、選挙戦ではそれを解りやすく二律背反させるために四苦八苦としなければいけなかったのだろう。もしかすると、第六共和制と耳にするような共和国制度以上に選挙の方法自体が、実態に追いついていないのかもしれない。
今晩の選挙開票が楽しみである。
サルコジ氏が勝利した。ロワイヤル女史への賛辞とその支持者への尊重から始めて、移住者や地中海連合構想や環境問題など敗北者の声をも代弁した。問題の地区ではゴミ箱などが燃やされたというが、現時点では平静である。ならず者を押さえ込んで来た前内務大臣の業績だろうか。
52%が税金を納めていないと言う低所得層の増大を、失業対策や税無し時間外労働で埋め合わせて行く事が出来るのだろうか?富豪層と底辺層の社会格差は思いの外大きい。
フランスには日産ルノーのヴェルサティしか高級車が無い。二輪車のパパラッチのTVカメラに手を振り呼びかけながら、窓を開けて若い嫁さんを横に走るサルコジ次期大統領が新鮮な風を送り込む。
就任後直ぐの訪問先ベルリンでメルケル首相との会談に挑み、ブリュッセルへと廻る。つい先頃シラク首相の親称で呼びあった別離の公式式典を終えたメルケルは、新しいフランス大統領と同様な関係を構築するべく会談に挑む。
さてサルコジ大統領がワイン街道のハムバッハー城を訪れるのは何時になるだろうか?
ロワイヤル女史の敗北宣言にあるように、この成果を引き続き活かして、今後は中道との連結を強化して行くのだろう。
参照:
ここにいたか、売国奴よ! [ 歴史・時事 ] / 2007-01-17
"Ségolène ist so schön reffiniert" von Jürg Altwegg, FAZ. vom 5.5.2007
民主主義の政治モラル [ 女 ] / 2007-05-05
東部前線での選挙動向 [ 歴史・時事 ] / 2007-04-25
サルコジ批判票の行方 [ 女 ] / 2007-04-23
確かにあの世代から若い世代への交代時期には違いない。しかし皆が興味あるのは、本当はグローバル化の中での自己保存であり、如何に民主的な自由主義体制を 進 め る かにあるのだろう。しかし、それでは政治として選挙に勝てないと言う鉄則があるようだ。
その政治体制も、先日亡くなった歴史家ルネ・レモンの説によれば、上からの調整を善しとする強引なボナパリティズムと言われるものから、王の分家をオルレアンを名に冠する人権尊重の派閥、そして王権神授の王制をモットーとする三派をここ二百年間に渡るフランス保守の伝統とするらしい。
その点からすると、新自由主義と国益を重視しながら、市場原理主義を担う68年運動世代を批判して、更なる前進を目指すとするサルコジ候補が、来る総選挙で国会の支持を固めると、かなり強権な体制が出来るのだろう。しかし、それで国内外巧く行くとは誰も思わない。最も弱者に圧し掛かる社会の不安定要素を、本当に取り除く事が出来るのか?
しかし、遵法と違法の後者をして、自由と呼ぶ思想がフランスにはあるようだ。「最小限度の遵法可能となる規制」を善しとするリベラリストのミッシェル・オンフレーは、サルコジとの対談で、「権威があって、規範がある。それが無い所では違法行為も無くて、自由も無い。違法は自由だ。」と述べている。そうした土壌での安定要素とは何なのか?
反対に知識人にはロワイヤル女史の人気は、依然として高いようである。そしてTV討論会での彼女のファッションや仕草や態度が多く話題となっているようである。立て襟のブラウスとTVでは終始隠されていた上着と同じ黒色スカートのモノトーンアンサンブル、そしてメーキャップや装飾品の無い男装気味の井出達に、親子の軋轢として有名な父親の士官服をイメージした人が多い。
その点からも、フィリップ・ソレルスの様に彼女を「洗練されたフランス女性」と賛美する者がいる一方、彼女はフランス人の小母となって、子供達を監視するとする観方もある。そして、それは彼女の生い立ちへと遡り、共和国の時代逆行を余儀なくするとされる。
何れにせよ、基本姿勢に反全体主義と混合の新哲学を観て、ミッテランやシラクのオーラの終りと、共産主義に続くネオファシズムの没落をこの選挙に見るようだ。
しかし、如何に上手に説明を試みても、このような複雑な構造になるので、それらはイデオロギーとしての真価を失っているようで、選挙戦ではそれを解りやすく二律背反させるために四苦八苦としなければいけなかったのだろう。もしかすると、第六共和制と耳にするような共和国制度以上に選挙の方法自体が、実態に追いついていないのかもしれない。
今晩の選挙開票が楽しみである。
サルコジ氏が勝利した。ロワイヤル女史への賛辞とその支持者への尊重から始めて、移住者や地中海連合構想や環境問題など敗北者の声をも代弁した。問題の地区ではゴミ箱などが燃やされたというが、現時点では平静である。ならず者を押さえ込んで来た前内務大臣の業績だろうか。
52%が税金を納めていないと言う低所得層の増大を、失業対策や税無し時間外労働で埋め合わせて行く事が出来るのだろうか?富豪層と底辺層の社会格差は思いの外大きい。
フランスには日産ルノーのヴェルサティしか高級車が無い。二輪車のパパラッチのTVカメラに手を振り呼びかけながら、窓を開けて若い嫁さんを横に走るサルコジ次期大統領が新鮮な風を送り込む。
就任後直ぐの訪問先ベルリンでメルケル首相との会談に挑み、ブリュッセルへと廻る。つい先頃シラク首相の親称で呼びあった別離の公式式典を終えたメルケルは、新しいフランス大統領と同様な関係を構築するべく会談に挑む。
さてサルコジ大統領がワイン街道のハムバッハー城を訪れるのは何時になるだろうか?
ロワイヤル女史の敗北宣言にあるように、この成果を引き続き活かして、今後は中道との連結を強化して行くのだろう。
参照:
ここにいたか、売国奴よ! [ 歴史・時事 ] / 2007-01-17
"Ségolène ist so schön reffiniert" von Jürg Altwegg, FAZ. vom 5.5.2007
民主主義の政治モラル [ 女 ] / 2007-05-05
東部前線での選挙動向 [ 歴史・時事 ] / 2007-04-25
サルコジ批判票の行方 [ 女 ] / 2007-04-23
彼がいいと。。。彼女は、日本に、関心がないとか。
。。。今回の選挙で、これからの、フランスの、命運が、決まるような気がしてます。でも、ユーロって、腹が立ちます!日本人が、ハルカに、頑張っているのに。。。これからも、フランス銀行は、大きな顔をしていくのでしょうか。。。でも、女の直感ですが、メルケルと、ロワイアル、ゼンゼン、違いマスねえ。。テレビで、彼女の雰囲気や、発言を、素人目で見る限りですが、彼女、政治的な修羅場の場数が、あまりにも、少ない感じがして、サルコジの対立候補として、物足りないです!でも、知識人に、人気あるのは、よく解ります。最後に、おっしゃるように、選挙の。。。は、同意権です。
万が一ロワイヤルが大統領になる場合、その後の総選挙をみて、メルケルの調整役が手本となりそうです。実務能力はなんとも言えませんが、静と動の違いがありますね。
ユーロ高ですか?これは日銀の政策以上に東京政府の意向が働いているので、EUはキャリートレード防止のために東京に利上げへの圧力をかけていますね。
フランス人の労働時間35時間は難しいとしか言えないです。
頼りがいがある?
まあ、ハッキリしているのは、サルコジさんは、シラクさんと違って知日派ではないし、相撲ファンではないってこと。
ところで、「ここにいたか、売国奴よ!」って記事が読めない。
タカ派と革新性と積極性が結びつくのは仕方が無いとして、その政治文化へと寄与しなければいけない偏狭な個人的人生哲学が私腹を肥したりする方へと動かないのかと心配になりますね。
ご指摘記事のリンク、早速張り直しました。
ヤハリ、彼でしたねえ。。。正直申しまして、デュ・
ドビルバンが、後退してから、彼だと、確信しておりました。デモ、これでも、1年以上前、はじめて、NHKが、ロワイアルを、紹介してから、直感人間のワタクシ、ヒョットしたら。。。と、TAROさんのブログで、コメントしましたが、フランス政治通の、助六さんから、見事に、一蹴されました。ですので、ココまで、よく彼女陣営は、頑張ったと思いますが。。。でもねえ。。。ロワイヤルが、メルケルのようなタイプだったら、タブン、フランスも、初の女宰相に、確実になっていたと思います。ロワイヤルで、ココまでの、接戦でしたので。。。所詮、彼女は、あの、エリ-ト校の同級生の、傀儡人形!女しか、解らないと思いますが、彼女、これまでに、バンバン、子供、作っていマスでしょう。。。あまりにも、政治的空白が多すぎるというか、スキがあるというか。。。チナミニ、メルケルは、以前、ご教示、頂きましたが、政治一色でしょう。。。ひとり子育てするのにも、どれほどの、エネルギ-がいるか。。。サッチャーは、確か、若い時に、双子で、一回で済ませていますでしょう。。。
裕福な人間が住んでいる、市長を、チョウネン、ジジ殺しで、今日の日を迎えるため、頑張ってきた人間とは、オーラの質が、違うなあと、最近の2人を、ミテ
感じていました。
おっしゃるように、サルコジって人は、自分の為だったら、簡単に、悪魔に魂を、売っちゃう人。やっと、彼の先輩とも、いうお方が、退陣表明したとたん、今度は、こっちに、ご登場とは。。。天使と、悪魔じゃあないけど、敵ながら、悪魔さんって、アッパレと、思いたくなります。(笑)デモ、今日の、彼の輝かしい顔、ミテ、母性本能くすぐるタイプだと、思いましたから、ダイジョウブ!メルケルが、上手く、彼を、ティーレマンファンの、アタマいいご主人様の、庇護の下
上手く、操縦してくれるワイ!と、直感しました。。タブン、シラクよりも、仲良くなるはず。
マタ、そうじゃあ、ないと、ヨーロッパのみならず、世界にとっても、困ります!タブン、次の、イギリスの主は、あのお坊ちゃんだから、いくら、バックが、あの財閥であろうと、マダマダ、ひよっこ、ですもの
メルケル、サッチャー以上の、女宰相となるでしょうねえ。。いや、そうじゃあなきゃあ、ワタクシ、コマル!(笑)
次は、アメリカ大統領選ですねえ。。。。。ワタクシは、史上初の、黒人男性と、祈っていますが。。。でも、黒人女性の可能性が、無くなったようで、安堵しています!!
特にドイツ側からは、世界で最も重要な二国間関係の一つと考えています。
その地理的歴史的距離の割には、両国間の理解度は限られているのも事実ですが、共同の歴史教科書作成など、今後も絶えず前進するでしょう。
既に社会党内では路線問題が紛争していると言いますが六月の選挙に何が間に合うのでしょう?アルザスなどは全滅状態のようです。
子育ての問題等も女性のキャリアーとしてよりも、広く人生設計(ライフスタイル)の問題でもあるようにも思います。しかしこれなども、高齢化や少子問題として世界共通の政策課題で、従来の社会福祉政策(ジェンダー等)では測れない課題ですね。
この辺りがイデオロギーが作用しない非構造主義的分野で、今回のロワイヤルの政策の曖昧さにも通じているようです。
ドイツとフランスの蜜月を演出するとなると、EU憲章絡みで詰めて行くと言うことになるのでしょう。ユーロ高問題も、フランス総選挙横目に、次ぎサミットに向けて大きな課題になると思われます。