日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

愛すべき建築 都城市民会館

2006-10-14 11:21:09 | 建築・風景

『建築家「菊竹清訓」の代表作と言うだけでなく、1960年代の日本を象徴する建築として「都城市民会館」は僕の頭にこびりついている。

僕の手元に「菊竹清訓 作品と手法」という、なんと30数年前の当時6800円もした分厚い作品集が在るが、建築の世界に飛び込んだ若き日、この本を何度めくって建築への夢を馳せたか。
ことに、写真家小山孝の撮影した、見事な山脈を背景にして豊かな街並みの中に突然舞い降りたガメラのようなこの建築の写真は、建築家と言われるようになった今でも僕の脳裏を刺激する。

都城の人々はこの異景にさぞ驚いたと思う。しかし多分今ではこの建築を異景と思う人はいなくなり、都城のランドマーク、愛すべき建築として心のどこかに留まっているに違いない。

都城に行けば、この建築にあえる、この建築を愛する人々ともその想いを分かち合える。
都城を訪れたことのない僕にとっても、青春を呼び起こすこの建築が、いつまでもそこにあってほしい。』

<都城の建築家、市民の声>
宮崎県都城市の建築家ヒラカワさんから,「都城市民会館40周年記念展(mch40)」(10/6-9)に展示する都城市民会館についてのメッセージがほしいと連絡をもらった。上記文章は僕のメッセージだが、トルコ行き直前の要請だったので、このブログを読んでくださっている方々へのお願いが出来なくて残念だった。それでもDOCOMOMOから僕のほか建築家鰺坂さん、東海大学助教授の渡邉さん、其れに工学院大学の初田教授がこの建築へのメッセージを寄稿してくれたようだ。

昨年の9月24日、僕のこのブログでも『取り壊されるかもしれない都城市民会館』と題してこの建築を紹介しながら、保存を望む市民からの声を伝えて僕の想いを書いたが、一年後の今でも地元の建築家や市民はこの建築を何とか残したいものと腐心している。

都城市では、10月の末から12月にかけて各公民館単位で『市民会館に対する住民の意見を聞く会』を行い、年明けに住民からのアンケートをとって最終的な方針を決定することになったとのことだ。

JIA九州支部や地元の建築家、市民が主催した存続を願うシンポジウムがこの夏(7/22)行われたが、DOCOMOMOに要請があって鈴木博之会長が赴き、基調講演を行い、地元の主婦白水さん、宮原さん、菊竹事務所のOB遠藤さん、建築学会四国支部長の多田さんと共に討論に参加した。
ヒラカワさんからはこれから「秋の陣」が始る、とメールが来た。
一時は解体の方針だと報じられたが、この建築を愛する大勢の市民の努力と声が届き始めたのかもしれない。