ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

それでも私は、旅に出る - 2

2018-10-31 12:59:26 | 徒然の記

 金纓 ( キム・ヨン ) 氏著「それでも 私は旅に出る」の、続きです。

 学生運動の首謀者として、ソウル大学を退学させられた彼女は、頑張って延世大学に入学します。牧師志望なので神学部に在籍していますが、ここで日本人留学生の、澤正彦氏と出会います。二人は、昭和45年に卒業と同時に、結婚します。ここからは、彼女の叙述を引用しましょう。

 「澤は、東京大学の法学部を卒業したのち、」「牧師となるために、東京神学大学に学士編入した。」「彼が大学院在学中の、昭和40年に、日韓条約が結ばれた。」「隣国同士が仲良くなることは、良いことなのに、」「韓国人、特にクリスチャンまでもが、激しく反対していることを、」「不思議に思っていた彼は、在日大韓キリスト教会の、」「李仁夏 ( イ・インハ )牧師の説教で、 」「日本人がかって、いかに韓国人を苦しめたかを知って、ショックを受け、」「その韓国人の友人になろうと決意して、延世大学に留学したのだった。」

 「結婚など考えたこともない、しかも反日教育の中で育った私は、」「日本人にプロポーズされたことだけで、侮辱されたとまで感じる程だった。」「結果的には、彼の涙ぐましい努力と、」「周囲の説得によって、韓国で生活することを条件に、」「結婚を承諾した。」

 これが、本の5ページから6ページにかけての、叙述でした。「なぜ韓国人は、これほどまで執拗に日本を憎悪するのか。」・・・。おそらくこれは、私が抱く終生の疑問でしょう。この疑問を解くため、何十冊と本を読んできましたが、未だに理解できない部分が残ります。

 反日教育で育ちながら、しぶしぶ日本人と結婚したというのですから、彼女が答えを示してくれると期待しながら、本を読みました。私が素直に楽しめず、なんとも不可解で、厄介な本という印象を持った理由が、ここにあります。これだけ日本に愛着を感じ、理解していながら、それでも反日であるというのですから、理解に苦しみます。

 結局、彼女は最後まで、反日の中身を語りませんでしたが、私の頭の中には、2年前に読んだ李滎氏の書著がありました。氏もまた、強烈な反日の韓国人でしたけれど、一般の韓国人とは、違った意味での反日でした。そのため、氏は現在でも、知日派として攻撃されています。参考のため、2年前のブログから、一部を転記いたします。

 「日本は、正当な代価を支払うことなく、無慈悲に、」「わが民族の、土地と食料と労働力を収奪した。」「だからわが民族は、草の根や木の皮で、ようやく命をつないだり、海外に放浪するしかなかった。」「過去60年間、国史教科書は、このように国民に教えてきました。」「ですから、大部分の韓国民がそのように信じています。」

 「2001年 ( 平成13 ) に発行された、高等学校の国史教科書には、」「 日本は世界史において、比類ないほど、」「徹底的で悪辣な方法で、わが民族を抑圧し収奪した、」「 と書かれています。 」「例えば総督府は、全国の農地の4割にも達する土地を、」「国有地として奪い、移住してきた日本人農民や、」「東拓のような国策会社へ廉価で払い下げた。」

 「また総督府は、生産された米の半分を奪い、日本へ積み出した。」「農作業がすべて終わると、警察と憲兵が銃剣を突きつけて、」「収穫の半分を奪っていった。」「このように解釈できる文脈で、生徒たちを教えてきました。」

 「1940年代の戦時期に、約650万名の朝鮮人を、戦線へ、工場へ、」「炭鉱へ強制連行し、賃金も与えず、奴隷のように酷使した。」「挺身隊という名目で、朝鮮の娘たちを動員し、日本軍の慰安婦としたが、その数は数10万人に達した。」「教科書は、このように記述しています。」

 「高校の国史の時間に、このくだりが出てくると、教師は今にも泣きそうな顔になり、生徒も涙したといいます。」「このように悪辣な収奪を被った祖先たちが、あまりにも不憫で、これが泣かずにいられるでしょうか。」

 「しかし、私はあえていいます。」「このような教科書の内容は、事実ではありません。」「びっくりされる方も多いと思いますが、単刀直入に言うと、」「そのような話はすべて、教科書を書いた歴史学者が作り出した、物語です。」

 ではなぜ、李滎氏は反日の韓国人として、日本を憎み続けるのかと言いますと、氏は「日本人が韓国を統治した」という事実が、許せないのです。韓国より非文明国だった夷狄の日本が、誇り高い小中華の国を支配したという事実が、認められないのですから、これはもう、「感情的嫌悪」というしかありません。息子たちには、同じ韓国人の反日感情にも、こうした2種類があることを知って欲しいと思います。

 聡明そうに見える金氏が、どのような内容で反日を語るのかが知りたくて、本を読んだとも言えます。しかしその期待ははぐらかされ、彼女は最後まで語りませんでした。韓国と日本の架け橋になろうとした、夫の澤氏は、49才の若さで病死します。子育てを終えた彼女が、仕事も家も処分し、世界旅行へ出かけるという気ままさには、こういう事情もありました。

 韓国の反日教育が、いかにデタラメなものであるのか、現在では、インテリの間で知られているはずなのに、どうして澤氏は簡単に韓国牧師の話を信じたのか。これも、私には疑問の一つです。戦後の東大生は、頭脳は明晰ですが、日本人の魂が抜けた人物が多く、簡単に国を裏切ります。学者にも政治家にも、マスコミにも沢山いますので、氏もそんな日本人の一人だったのでしょうか。

 こんなエッセイすら楽しめないのでは、心の狭い人間になったものと、自分でも考えますが、しかしどうでなのでしょう。昨日も、韓国の最高裁は、戦前の徴用工問題で日本企業に有罪判決を出し、罰金の支払いを命じました。「売春婦問題」の嘘がばれたら、今度はまた「徴用工」です。こんな悪意と捏造の憎しみで、日本人を苦しめ、自国民の憎悪を駆り立てる隣国を思うと、金氏の著作だって、嫌悪したくなるのも無理はないと、私は思います。

 人に生き方を教える牧師なのに、金氏は、一番肝心な、在日韓国人の生き方を、語っていません。日本人に対しても、キチンというべきことは言うべきでしょうに・・。今でも、これからも、私には、彼女が「不可解で、やっかいな人物」であることに、変わりがありません。

コメント (2)
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